USB端子装備の画期的なオーディオ用CD-Rレコーダー

TASCAMCD-RW4U

今回紹介するTASCAM CD-RW4Uは一言で言うと、非常に使い勝手の良いCD-Rレコーダーだ。

具体的に使い勝手の良い点を挙げると、非常にコンパクトなボディ、20ビットAD/DA内蔵の高音質なオーディオ用CD-Rレコーダー、USB経由でパソコンと接続可能......ここまで聞いた時点で、"これは買い!"と思った人も多いことであろう。しかも価格が59,800円! 数年前にあった、SCSI端子でパソコンと接続可能なオーディオ用CD-Rレコーダーは、この10倍の価格をしていた。時代の流れとはいえちょっと安過ぎない?と、まだ疑っている読者諸君のために、本機が本当に"お買い得アイテム"なのかどうか、1つ1つチェックしてみよう。

コンパクトなデザインと
USB接続が魅力


本機のボディはミニ・コンポ・サイズ。今使っているミニ・コンポやパソコンと簡単に同化してくれるサイズである。正面パネルは比較的シンプルにデザインされていて、ミニ・コンポ用のCDプレーヤーやMDデッキとほとんど変わりがない。Rec、Play、Stopなどの主立ったボタンが並んでいるだけである。シンプルではあるが実際に使ってみても不便さは感じられなかった。正面パネルのかなりの面積を占めているディスプレイもなかなか見やすい。ちなみに本機にはワイアレス・リモコンが付属して、テン・キーなどのあまり使わないボタン類はこのリモコンに搭載されている。


リア・パネルを見てみよう。入出力端子はデジタル(コアキシャル)が1系統とアナログ(RCAピン)が1系統装備されている。オプティカル(光)のデジタル端子が無いのがちょっと残念。最近のMDデッキなどの中にはデジタルはオプティカルしか搭載されていない機種があるので、それらの機器とデジタル接続したい場合は、光=同軸のデジタル変換器を使う必要がある。でも大抵の場合はコアキシャル(同軸)で済むのでよしとしよう。それから本機には前述のようにUSB端子が装備されている。これはすなわちパソコンと接続できることを示しているのである。普通のオーディオ用CD-Rレコーダーはオーディオ入力のみでパソコンとは接続できない。また、パソコン用のCD-Rドライブにはオーディオ入力は付いていない。録音にも使いたいし、データの書き込みもしたい人は2種類のCD-Rをそろえるか、パソコン・ベースのHDレコーディング・システムをそろえる必要があったが、結局手軽さに欠ける上に二重のコストがかかっていたのである。


本機はそのような不便さを解消しており、オーディオ用CD-Rレコーダーでありながらパソコンとの接続も可能。これはなかなか画期的なアイテムである。


音質、操作性ともにバランスよく
実用性に優れた機能を搭載


それでは一番肝心な、オーディオ用CD-Rレコーダーとしての機能、性能をチェックしてみる。


OPENボタンを押すとディスクを乗せる比較的しっかりとしたトレイが出てくる。最近はこのトレイが薄っぺらい機種が多く、使っているうちに変形してトラブルの原因になってしまうことがある。その点で本機はポイントが高い。録音、再生に必要な操作ボタン類は、シンプルにまとまっているので、操作性は問題ない。本機を使い始めて約1カ月になるが、録音、再生に必要な機能に関しては全く不便さを感じていない。


また、本機はディスクを入れなくても、Recボタンを押せば入力信号をモニターできる。中にはディスクを入れてRecポーズ状態にしないと入力モニターできない機種があり、実際に使ってみると不便なモノなのだが、本機はその点でも合格だ。


もう1つ便利機能があるので紹介しよう。デジタル・ボリューム機能というデジタル入力信号のレベルを−60〜+18dBの範囲で調整できる機能で、元の素材のレベルが低かった場合に、デジタル領域でレベルを稼ぐことができる。ちなみに本機はサンプリング・レート・コンバーターを内蔵しており、48kHzサンプリングの素材を突っ込んでも、自動的に44.1kHzに変換してくれる。そのほか、デジタル・コピーIDの設定(コピー・ガードのON/OFF)やフェード・イン/アウト機能など、実用性の高い機能も搭載されている。


肝心な音質はと言うと、一言で言えば問題無い。この価格帯のモデルとしてはかなりのレベルの仕上がりで、20ビットAD/DAは相当な実力だと言える。低域の線がやや細くなる傾向はあるもののサウンド全体のまとまりは良い。配布用のデモCDなどを作るのには十分なクオリティである。


前述の通り本機はUSB経由でパソコンと接続でき、Macintosh、Windows両方のライティング・ソフトB's Recorder GOLDが付属している。筆者も愛用している非常に使いやすいソフトである。デバイス・ドライバーも付属しており、ソフトのインストール、セットアップも非常に簡単である。1つだけ注意点は、本機の機種名はCD-RW4Uだが、内蔵されているCD-RドライブはCD-W54Eなので、専用のドライバーをインストールする必要がある。ライティング・ソフト上にもCD-W54Eとドライブ名が表示されるのでお間違いなく。


実際にMIDIデータやオーディオ・ファイルのバックアップにCD-Rを使っている(または使いたいと思っている)読者も多いであろう。本機ならば、レコーディングや配布用CD-Rの書き込みのほかに、パソコン・データのバックアップなど、非常に用途が広がる。パソコン・ベースのHDレコーディング環境を持っている人ならば、AIFFやWAVファイルから、エディットしてパソコン側からCD-Rを書き込む技も併用できるので非常に用途の幅が広がる。あとは使い方次第だ。


ちなみに本機はCD-Rの他に、CD-RWディスクも使える。互換性に乏しいのでCD-RWをレコーディングに使うことは無いだろうが(音も悪くなる)、何度も上書きできるので、データの一時的なバックアップには便利である。あと、本機はいわゆる民生用CD-Rディスク(音楽用と称して販売されているモノ)だけではなく、普通のCD-Rディスクも使用可能である。普通のCD-Rディスクの方が種類が豊富なので、プリンタブル盤を使用して、後からオリジナルのレーベル・デザインを施すなどの芸当も思いのままである。


以上簡単ではあるが、なぜ本機が"お買い得アイテム"なのかを検証してみた。まだCD-Rを導入していない人や、買い換えを考えている人は、この辺で一度検討してみてはいかがだろう。



TASCAM
CD-RW4U
59,800円

SPECIFICATIONS

■再生可能ディスク/CD、CD-R、CD-RW
■記録可能ディスク/CD-R、CD-RW
■記録方式/トラック・アット・ワンス、ディスク・アット・ワンス、マルチセッション、他
■周波数特性/20Hz〜20kHz(+1/−0.8dB)
■SN比/88dB以上(再生)/83dB以上(録音)
■動作環境/Windows 98 SE/Windows Me/Windows 2000/Mac OS9