「WARM AUDIO Direct Box Active / Direct Box Passive」製品レビュー:CINEMAG 製トランスと可変PADを搭載するアクティブ/パッシブDI

WARM AUDIOから新たに発売されたDI、「Direct Box Active」と「Direct Box Passive」

撮影:川村容一

 WARM AUDIOは、あこがれのビンテージ・アウトボードのクローン機をリーズナブルな価格帯で提供していることで、最近よく目にする新進気鋭のブランドです。筆者も幾つか試したことがあり、注目していました。今回、同社から新たに誕生したのはなんとDI。プロの世界でも宅録の機会が増える昨今、音の入口である高品質なDIの需要が増えています。早速レポートしてみましょう。

位相を逆転させるPHASEスイッチや
ハム・ノイズを抑えるLIFT/GNDスイッチを装備

 筆者の手元に到着したのは、9V乾電池または48Vファンタム電源で動作するアクティブDIのDirect Box ActiveとパッシブDIのDirect Box Passiveの2種類。筐体はどちらもアルミ製で標準的なDIの大きさです。Direct Box Activeは、JFETオペアンプをバイパスさせてパッシブDIとして使えるので、両方を使い分けたい人にはDirect Box Activeがお薦めです。また、通常だとアクティブの方がレベルがはるかに大きいのですが、Direct Box Activeはアクティブ時とパッシブ時とで同じレベルに調整してあるとのこと。それによりアクティブで使う際、一般的なアクティブDIより出力が小さくなっていますが、問題は起こらないでしょう。

 Direct Box Activeのフロント・パネル。マイク・アウト(XLR)、アクティブ/パッシブのモード切り替えスイッチ、VARIABLE PADノブとそのオン/オフ・スイッチを備えている

Direct Box Activeのフロント・パネル。マイク・アウト(XLR)、アクティブ/パッシブのモード切り替えスイッチ、VARIABLE PADノブとそのオン/オフ・スイッチを備えている

 Direct Box Passiveのフロント・パネルには、マイク・アウト(XLR)、VARIABLE PADノブとそのオン/オフ・スイッチを用意

Direct Box Passiveのフロント・パネルには、マイク・アウト(XLR)、VARIABLE PADノブとそのオン/オフ・スイッチを用意

 さてDIで一番重要なものは、トランスの品質ですね。これがDIのキャラクターを決定付けているのは間違いありません。一部にはトランスを使わないもの、自社のオリジナルや専用メーカーのトランスを採用しているものもあります。今回の2機種には共通してアメリカのCINEMAG製トランスが使われています。WARM AUDIOの製品によく採用されている老舗オーディオ・トランス・メーカーで、JENSENやLUNDAHLと並ぶほど評価は高いです。もともとALTECに居た人が独立して作った会社ということもあり、あの西海岸の“カラッ”とした明りょうさが特徴のサウンドを持っています。

 

 入力はリアに配置されたフォーン端子の1系統のみ。入力インピーダンスが1MΩなので、1MΩ以上のハイインピーダンスなピエゾ・ピックアップを直接入力する場合はマッチするかを確認する必要があります。また、スイッチをINSTRUMENTからAMP OUTへ切り替えると、アンプのスピーカー・アウトをじかに受けることも可能。この場合THRU 端子(フォーン)には必ずキャビネット・スピーカーを接続する必要があります。マイク入力とライン入力を混ぜて使う用途でもこの手法は使い勝手が良いですね。出力はXLRでマイク・レベルなので、標準的なDIと同じでマイクプリの併用が必須です。また、位相を逆転させるPHASEスイッチも便利。というのも、ギター・アンプなどには当たり前のように位相が逆転している製品があります。なので、マイク入力とライン入力を混ぜて使う場合はどちらかの位相をDIかPA側のミキサーで反転させなければいけないことは往々にして起こります。ライン入力のみで使う場合でも、ライブ会場などではピックアップのハウリングやモニターの聴こえ方に影響することがあるので位相の確認は必ずやるべきでしょう。

Direct Box Active/Direct Box Passive共通のリア・パネル。左からインピーダンスとバランス信号を切り替えるAMP OUT/INSTRUMENT切替スイッチ、オーディオ・イン(フォーン)、PHASEスイッチ、THRU出力(フォーン)、LIFT/GNDスイッチ

Direct Box Active/Direct Box Passive共通のリア・パネル。左からインピーダンスとバランス信号を切り替えるAMP OUT/INSTRUMENT切替スイッチ、オーディオ・イン(フォーン)、PHASEスイッチ、THRU出力(フォーン)、LIFT/GNDスイッチ

 そしてVARIABLE PADという可変式PADが付いており、ENGAGEにスイッチを入れるとPAD回路がオンになって−3〜−30dBの範囲でゲインを下げることができます。試したところ−3dBの位置でも、どういうわけか10dB近くゲインが下がるようでした。LIFT/GNDはアースをつなげるか浮かせるかを切り替えるスイッチで、アース・ループによるハム・ノイズが出ている場合などはLIFTに切り替えてノイズが解消されるかを試します。

エレキベースは力強い音で太さも十分
レンジが広く生き生きと元気な印象

 まずは両機種をDIの定番ソース、エレキベースに使ってみました。とても力強い音で、太さも十分。スペック上ではDirect Box Activeが10Hz〜90kHz、Direct Box Passiveが20Hz〜70kHzの周波数特性なので、ピッキングのニュアンスも生々しく再現します。スタジオにあったRUPERT NEVEDESIGNS RNDIとも比較しました。同じくらいのワイド・レンジがありますが、RNDIの方がまとまりの良い分上品さがあり、Direct Box Active/Direct Box Passiveの方がパンチーな印象です。COUNTRYMAN Type 85との比較では、低域も高域も圧倒的にDirect Box Active/Direct Box Passiveの方が出ますが、中域の密度の濃さはType 85も捨てがたいと感じました。

 

 Direct Box Activeをパッシブに切り替えても全体的なレンジ感は大きくは変わらず、ピッキングのニュアンスにパッシブ特有の甘い感じが出ます。なので、今どきのギラギラした明るいエレキベースには、パッシブの方がちょうど良くまとまってくれるかもしれません。ブライトな倍音を持つデジタル・シンセでもこの傾向は同じで、パッシブで使ってもいわゆる“カマボコ型”のナロー・レンジな質感が無く、生き生きと元気な印象が強いです。変な癖は感じられず、アクティブに切り替えるとよりそのストレートな傾向が強まります。使われているパーツも高級なので音が良いのは当たり前という感じですが、やはりコスト・パフォーマンスの良さが際立っていると思いました。他社とかぶっていないキャラクターも好印象で、DIの良い選択肢が増えたなと思います。

 

林田涼太
【Profile】いろはサウンドプロダクションズ代表。録音/ミックス・エンジニアとして、ロックからレゲエ、ヒップホップとさまざまな作品を手掛ける。シンセにも造詣が深く、9dwのサポート(syn)としても活動。

 

WARM AUDIO Direct Box Active

オープン・プライス(市場予想価格:21,800円前後)

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SPECIFICATIONS ▪電源:48Vファンタム、9V乾電池×2 ▪周波数特性:10Hz〜90kHz(±0.5dB) ▪ひずみ率:0.01% 以下(20Hz〜50Hz)、0.03% 以下(50Hz〜20Hz) ▪入力インピーダンス:1MΩ ▪出力インピーダンス:600Ω(マイク・レベル)

WARM AUDIO Direct Box Passive

オープン・プライス(市場予想価格:15,800円前後)

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SPECIFICATIONS ▪電源:パッシブ ▪周波数特性:20Hz〜70kHz(±0.5dB) ▪ひずみ率:0.01% 以下(20Hz〜100Hz)、0.04% 以下(100Hz〜20Hz) ▪入力インピーダンス:1MΩ ▪出力インピーダンス:600Ω(マイク・レベル)

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