MINIMAL AUDIO RIFT レビュー:次世代のディストーションサウンドを提供するマルチエフェクトプラグイン

MINIMAL AUDIO RIFT レビュー:次世代のディストーションサウンドを提供するマルチエフェクトプラグイン

 今回ご紹介するのは、近年多くのプロデューサーがこぞって口にする、ディストーションに特化したマルチエフェクトプラグインRIFT。Mac/Windowsで動作し、AAX/AU/VST/VST3プラグインとして使用可能です。それでは、次世代のディストーションサウンドを提供するRIFTにクローズアップしていきましょう。

30種類のユニークなアルゴリズムを組み合わせオリジナルのディストーションサウンドを生成可能

 RIFTは、全機能にアクセスできるADVANCED VIEW(上の画面)と、厳選された機能にのみアクセスできるPLAY VIEWという2つの画面を装備。これらは画面最下段中央にある2つのボタンで切り替えられます。

RIFTのPLAY VIEW。全機能にアクセスできるADVANCED VIEWと比べてシンプルなインターフェースとなっている。ユーザーレベルや目的に合わせて使い分けることができる

RIFTのPLAY VIEW。全機能にアクセスできるADVANCED VIEWと比べてシンプルなインターフェースとなっている。ユーザーレベルや目的に合わせて使い分けることができる

 またライトモードとダークモードを搭載し、画面最上段にあるプリセットメニュー横の丸いボタンで選択可能です。今回は長時間の使用において目の疲れを軽減できるという、ダークモードで解説をしたいと思います。

RIFTのライトモード画面。ダークモードへの切り替えは、画面最上段のメニューバーにある丸いボタンをクリックするだけである

RIFTのライトモード画面。ダークモードへの切り替えは、画面最上段のメニューバーにある丸いボタンをクリックするだけである

 まずはDRIVEセクションに着目しましょう。DRIVEノブは入力ゲインをコントロール。値が大きくなるほどひずみも大きくなり、画面中央にあるDISTORTION SCOPEの波形がリアルタイムに変化します。DRIVEノブの右上にある“2X”と記載されているボタンはDRIVE BOOSTボタンと言って、DRIVEノブの調節範囲を2倍に変更可能。つまり、より強烈なひずみを得ることができます。

 次は画面右上にあるOUTPUTセクション。ここではOUTPUTノブで出力ゲインの調整が可能です。右上にあるOUTPUT LIMITERボタンでは内蔵リミッターエフェクトのオン/オフのほか、PURPLEとREDという2種類のソフトクリッピングモードを選択できます。私の場合はDRIVEノブを全開かつソフトクリッピングをREDモードに設定し、Roland TR-808系のキックベースやサブベースに用いることが多いです。とても野太いサウンドにすることができます!

 RIFTの中心部であるDISTORTIONセクションも見ていきましょう。画面中央にあるSCOPEセクションは2つの波形を表示。1つはディストーションの波形で、もう1つは出力音の波形です。これらの波形をリアルタイムに確認しながらサウンドメイキングしていくことができます。

 SCOPEセクションの上部にある2つのボタンでは、SCOPEビュー/MULTIBANDビューの切り替えが可能。MULTIBANDビューではDISTORTION/FEEDBACK/FILTERの3つを組み合わせ、マルチバンド・クロスオーバーに送ることができます。任意の周波数帯域にのみ適用させることができるため、例えば“低域だけひずませたくない”“中域だけひずませたい”といったときなどに便利でしょう。

 SCOPEの両サイドを見ると、POSITIVE SHAPEとNEGATIVE SHAPEという2つのディストーションノブがあります。両ノブの上にはメニューバーがあり、ここには30種類のユニークなアルゴリズムが収録されています。つまり、これらを組み合わせてオリジナルのディストーションサウンドを生成することが可能なのです。ちなみに両ノブの右上にあるLINKボタンをオンにすれば、これらの動きを同期させることもできます。細かいところまでよく考えられていますね!

24種類の個性的なカスタムフィルターを搭載 直感的にアサイン可能なモジュレーションエフェクト

 画面下段も見ていきましょう。左側にあるFEEDBACKセクションでは複雑なステレオディレイ処理やコーラスエフェクトを加えることができます。FREQUENCYノブの上部にあるメニューからSYNCを選択すると、ディレイをDAWのテンポに同期させることも可能です。PING PONGモードやSPREADノブ、HIGHPASSノブ、LOWPASSノブなどもあるので、音作りがしっかりと行えるでしょう。

 画面下段の右側にあるFILTERセクションではフェイザーのほか、母音を意味するボウェル(Vowel)、動物の遠ぼえを意味するハウル(Howl)といった計24種類のカスタムフィルターを選択できます。個性的なので、今までにない創造性が刺激されますね! PRE/POSTといったルーティング変更ボタンを搭載しているのもポイント。DISTORTIONセクションの前段にFILTERセクションをルーティングし、RESONANCEノブを全開にするとアシッドライクなサウンドや、分厚いサウンドにすることが可能です。

 またCUTOFFノブでは、メニューからHZではなくTUNEモードを選ぶことで、音階をなぞりながらカットオフ周波数のポイントを変更できます。さらにFILTERセクション右下にある鍵盤のアイコンをクリックすればFREQUENCY PITCH SNAPモードになり、特定の音階を指定することも。こんなに音楽的表現が行えるディストーションプラグインは、これまでに見たことがありません。

 最後は画面下段の中央にあるMODULATIONセクション。FOLLOW/LFO/CURVE 1/CURVE 2という計4つのモジュレーションソースをRIFTの各パラメーターにドラッグ&ドロップでアサイン可能です。CURVE 1/CURVE 2に関しては、ユーザーが自由にシーケンスカーブを書けるので、オリジナルのステップシーケンサーを作成することができます。これだけでも、あっという間に時間が過ぎていきそうです! MODULATIONセクションの下部には2つのマクロコントロールノブもあるため、複数のパラメーターを1つのノブで簡単に調整したいときにお勧めです。

 現時点でディストーションプラグインとしては“最高峰”と言えるくらいのRIFT。ジャンルを選ばず、どんなシーンにも対応できるポテンシャルを秘めています。サチュレーション的な使い方から、クリエイティブエフェクト的な使い方まで自由自在。気付けばすべてのトラックに挿さっている……なんて方もいるかもしれません!

 

Blacklolita
【Profile】サウンドデザイナー。ダブステップを軸にダンスミュージックやゲーム音楽を制作する。サンプルパックのデベロッパーKYMOGRAPHの運営も手掛けている。Twitter:@_Blacklolita_

 

 

 

MINIMAL AUDIO RIFT

オープン・プライス

(市場予想価格:21,450円前後)

MINIMAL AUDIO RIFT

REQUIREMENTS
▪Mac:OS X 10.9以降、AU/AAX/VST/VST3(いずれも64ビット)対応のホストアプリケーション
▪Windows:Windows 10以降、AAX/VST/VST3(いずれも64ビット)対応のホストアプリケーション
▪共通:アクティベーションのためにインターネット接続が必要

製品情報

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