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「MACKIE. MP-320/MP-360/MP-460/MP-BTA」製品レビュー:最大4基のドライバーを搭載したイアモニ&Bluetoothアダプター

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 MACKIE.と言えばミキサーやスピーカーなどを扱うメーカーのイメージでしたが、2018年にインイア・モニターMPシリーズを発表。プロ用機器を数多く開発してきた同社ならではの製品クオリティとコスト・パフォーマンスの優秀さに驚きました。今回ご紹介するのはその上位モデルとしてリリースされたMP-320/MP-360/MP-460の3機種とBluetoothアダプターMP-BTAです。

原音に忠実で分離の良いMP-360
生演奏の緊張感まで伝わるMP-460

 まずは3機種のインイア・モニターをそれぞれレビューしていきます。MP-320はL/Rそれぞれ3基のダイナミック・ドライバーが搭載し、低域のアタック感が心地良く非常にパンチのあるサウンドです。良い意味で音が手前に張り付いてくるようで、楽曲の音圧感がストレートに振動として伝わってきます。3基のドライバーが受け持つ周波数帯域は異なり、非常にバランス良くチューニングされているので、帯域別のムラは感じません。そして、ダイナミック・ドライバーとは思えない明りょうな音質です。ライブ用としては、大音量を出すバンドでも生音にマスキングされずにクリアな音でモニタリングできそう。ロックやダンス・ミュージックの制作では音のエネルギーを感じながら気持ち良く作業できると思います。

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写真左から、MP-320、MP-360、MP-460。それぞれL/Rごとに、MP-320は3基のダイナミック・ドライバー、MP-360は3基のバランスド・アーマチュア・ドライバー、MP-460は4基のバランスド・アーマチュア・ドライバーを搭載している

 MP-360はL/Rに3基ずつのKNOWLES製バランスド・アーマチュア・ドライバーを搭載。原音に忠実で各パートの分離が良く、ディテールも明りょうに再生されます。ちょうどギターのレコーディングがあったので試しました。MP-320と比べるとベースやキックの太さや重さが控え目で少し物足りなく感じましたが、使っていると低音楽器本来の輪郭やタイミングが精密に再生されていることに気付きました。色付けの無い本来のタイム感でのグルーブが感じ取れ、結果的によりタイトな演奏ができたのです。高域は音量を上げても痛くならず、ライブ用としてステージ上で正確なピッチ、タイミングでのモニタリングが可能。リスニング用としてはジャンルを選ばずクリアな音像で、耳も疲れにくく仕事を忘れて音楽を楽しめます。後述のBluetoothアダプターMP-BTAとの組み合わせで、ずっとそばに置きたいと感じました。

 

 MP-460はL/Rそれぞれに4基のKNOWLES製バランスド・アーマチュア・ドライバーを搭載したフラッグシップ・モデル。MP-360よりさらに原音に忠実で、かつ広がりと奥行きが加わったサウンドです。4基のドライバーは周波数がかぶって濁らないよう細部まで調整されていて、けた違いに解像度の高いサウンドとなっています。こちらは低域のパンチもありますね。ボーカルの息遣いやギターが弦に触れる瞬間などをリアルに感じ取れて、生演奏の緊張感が伝わってきます。ジャズやクラシックなど、空気感を多く含む音楽にも抜群に合いました。また、リバーブ・テイルの消える間際まで鮮明に確認できたので、ミックスでも使ってみたいと思いました。

 

交換可能なMMCXコネクターを採用
MP-BTAによるBluetooth接続で取り回し改善

 3機種は共に編組シールド・ケーブルを採用。高耐久性でノイズの乗りにくい設計となっています。マニピュレーターとしては、ステージ上ではノイズの元となるコンピューターや電子楽器に囲まれるのでこの設計はとても助かります。コネクターはMMCXを採用しているので、本番直前に断線などのトラブルが起きても簡単に交換ができて安心ですね。本体の形状はライブ・パフォーマンス中にも耳から外れにくいオーバー・イア・デザインを採用し、遮音性も高いです。カスタム・メイドでないイアモニは装着した際にすき間ができてしまい低域がスカスカになることがありますが、本機の形状は人間工学に基づいて設計されているのでその心配もありません。

 

 イア・チップは4種類の素材(フォーム/シリコン/ワイド・ボア・シリコン/トリプル・フランジ)、各3サイズが付属。人によって耳に合う素材とサイズが全く違うので、一通り試してフィットするものを選ぶとよいと思います。特に低域が足りないと感じるときはサイズを変えてみて、よりフィットするものを選んでみてください。ハード・ケースが付属するのもうれしいですね。同社のミキサー並みに頑丈そうです。

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各機種にはハード・ケース、ステレオ・フォーン変換プラグ、4種類の素材×3サイズのイア・チップ、インライン・リモート付きケーブル、クリーニング・クロスが付属。MP-360、MP-460にはクリーニング・キットも同梱される

 最後にBluetoothアダプターMP-BTAを試しました。こちらもケーブルはMMCXコネクターを採用。両側がケーブルでつながっているので、完全ワイアレスのように片側だけ落とす心配もありません。MPシリーズのインイア・モニターはもちろん、コネクター部がMMCXであればどの製品でも使用可能です。APPLE iPhoneで試したところ、Bluetoothデバイスとして簡単に接続できました。現行のiPhoneはイアフォン・ジャックが無いので助かります。音質はBluetoothの仕様上、多少劣化はしますが、仕事を離れ気軽に音楽を楽しむには十分なレベル。移動中などは取り回しが抜群に良くなるので、ワイアレス接続もぜひ試してみてください。

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BluetoothアダプターMP-BTA。Bluetooth 5.0を採用し、最大10時間駆動

阿瀬さとし

【Profile】Kco(vo,ac.g)とのアコトロニカ・ユニット=Cojokでギターとプログラミングを担当。現在Smash Roomに所属し、CMソングや映画サントラの制作、マニピュレーションもこなす。

 

MACKIE. MP-320/MP-360/MP-460/MP-BTA

オープン・プライス

(市場予想価格:MP-320/36,500円前後、MP-360/48,700円前後、MP-460/60,900円前後、MP-BTA/12,200円前後)

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SPECIFICATIONS
●MP-320
▪インピーダンス:15.5Ω±15% ▪トランスデューサー・タイプ:トリプル・ダイナミック ▪感度:100dB±3dB

●MP-360
▪インピーダンス:29Ω±15% ▪トランスデューサー・タイプ:トリプル・バランスド・アーマチュア ▪感度:107dB±3dB

●MP-460
▪インピーダンス:14Ω±15% ▪トランスデューサー・タイプ:クワッド・バランスド・アーマチュア ▪感度:106dB±3dB

●MP-320/MP-360/MP-460共通
▪周波数特性:20Hz〜20kHz ▪付属品:イア・チップ(フォーム、シリコン、ワイド・ボア・シリコン、トリプル・フランジを各3サイズ)、ハード・ケース、金メッキ変換プラグ(ステレオ・ミニ→ステレオ・フォーン)、インライン・リモート付きケーブル、クリーニング・キット(MP-360/MP-460)、クリーニング・クロス

●MP-BTA
▪Bluetooth:バージョン5.0 ▪コネクター:MMCX ▪連続駆動時間:最大10時間

 

MACKIE. MP-320/MP-360/MP-460/MP-BTA 製品情報

mackie-jp.com

 

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