Shimmer Shake Strike 2 レビュー:423種類の楽器を収録するパーカッション音源

Shimmer Shake Strike 2 レビュー:423種類の楽器を収録するパーカッション音源

 普段、筆者は音楽制作でパーカッション・ループをよく使う。NATIVE INSTRUMENTS Kontakt/Kontakt Playerで起動するパーカッション音源IN SESSION AUDIO Shimmer Shake Strike 2は、個人的にもワクワクする製品。楽しんでレビューしていく!

パターン作成からEQ/エフェクト付加まで対応

 Shimmer Shake Strike 2はバージョン2ということで、新たに101種類の打楽器が追加され、全部で423種類を収めている。タンバリン、シェイカー、トライアングル、カウベル、スナップ、クラベス、鈴、さらにスルド、スネア・ブラシ、シンバルなどドラム的な音、クラップ、足音、時計など生活音に近いものまで、リズムで生きそうな音が多数ある。

 個人的に、この手のソフトはオケ中で埋もれやすいのが難点だと思うので、使用感のチェックで一番重要なポイントは“抜け”である。ということで早速だが、オケにプリセットのループを入れてチェックしてみた。すると非常に音抜けが良い。それどころかループを聴いていると、実際にパーカッショニストが演奏している光景が見えてくるようなクオリティ。既に僕の頭の中には、曲のイメージが浮かんできた。

 次に画面構成を見ていこう。メイン・メニューはMAIN、PATTERN、MIXERの3つ。MAINは使用する楽器の選択、ボリュームやパン調整など、トータル管理をする画面だ。ここで3種類までの楽器を同時に選択することが可能。次にPATTERNで複数あるリズム・パターンを決める。ROLAND TR-808やTR-909、最近のリズム音源でもおなじみのステップ・シーケンサーになっており、視覚的にも分かりやすい。ここでは、ベロシティの変更、元のパターンに対して“RATE”を変更して3連符にしたり、“HUMANIZE”“FEEL”や“SWING”を変更してより人間的なノリを出したり、パターンのプリセットにエディットを加えることも可能だ。

PATTERNのタブを選択したときの画面。選択可能な3つの楽器のステップ・シーケンサーが表示される。HUMANIZE、FEEL、SWINGなどのノブを操作することで、人間的なノリに調整することもできる

PATTERNのタブを選択したときの画面。選択可能な3つの楽器のステップ・シーケンサーが表示される。HUMANIZE、FEEL、SWINGなどのノブを操作することで、人間的なノリに調整することもできる

 MIXERはイメージ通り、各パートの音量や定位のほか、さらにエフェクトの有無、ピッチまで操れる。パーカッション音源にありがちな“曲とキーが合わない問題”などは、ここでピッチをいじって修正可能。“きらびやかとか、ひずみっぽく”など質感の変更もできる。さらにEQも付いていて、これもよくある“ビートと帯域がかぶる問題”の際には、迅速に対応できる。

MIXERタブ内には3つの楽器のEQやエフェクト調整ができるほか、3つの楽器のマスターに対してもEQ、コンプ、テープ・エミュレーション、ディレイ、リバーブ、ディレイをかけることができる

MIXERタブ内には3つの楽器のEQやエフェクト調整ができるほか、3つの楽器のマスターに対してもEQ、コンプ、テープ・エミュレーション、ディレイ、リバーブ、ディレイをかけることができる

ミュートを用いてライブ感のある演奏も可能

 僕がリズムを打ち込むときは、ループを張り付けてからノリをエディットする方法と、ワンショットを抜き出して好きなタイミングで鳴らす方法の2つがある。そのノウハウでShimmer Shake Strike 2を音楽制作に用いてみた。

 まずMAINで3つの楽器を選択後、所有しているMIDI鍵盤を押してみる。F1~D#2の各鍵盤にはPATTERNにあるステップ・シーケンサーの情報がアサインされており、押すと3種類のリズム・ループがまとまって再生された。そのループを楽器単独で再生したければC1~D1それぞれに3つのソロ・モードがアサインされている。C1~D1の鍵盤を押しながら、F1~D#2のループ再生をすると、その瞬間だけミュート奏法も可能。これはライブ感が出せる仕様で面白い。

ループとワンショットの両刀使いが可能

 次に単音で打ち込みたい場合は、E3~B3の鍵盤にワンショットでパーカッションがアサインしてあり、自由に打ち込むことが可能。E1は“LINK”ボタンのスイッチで、これを解除するとワンショットでまとまっていた3種類のパーカションがステップごとの個別になり、E2~B2、E3~B3、E4~B4それぞれにアサインされて、さらに細かい打ち込みもできる。ワンショットとループを併用する筆者にはとてもありがたい機能だ。また、DAWなどにリズム・ループを打ち込んで再生したい場合は、MAINの右上にあるMIDIボタンをDAWのアレンジ画面にドラッグ&ドロップすることで、MIDIデータを生成できる。これにより迅速に自分の楽曲へリズム・ループを追加でき、楽曲の構築速度がアップ。ダンス・ミュージックは直感と速度も大切なので、MIDIデータをそのまま追加できる機能はありがたい。もちろんMIDIデータなので違う音源を鳴らして遊んでみても面白い。例えばメインの16分音符で鳴らしているフレーズに3連符を混ぜ込み、鳴らす楽器をクラップにすればスパニッシュなリズムもできてしまう。これにギターを乗せればフラメンコが完成。そんな使い方もできる。

 Shimmer Shake Strike 2は楽曲制作を始めたばかりの初心者には特にお薦めできる。操作性も良い上に、音質もパーカッショニストが実際に演奏しているかのようだ。そしてジャンル的には、パーカッションを多用するアフロ・ハウスやオーガニック・ハウスの制作にも向いている。またライブ感のあるソフト音源なので、ダンサーのショーケースのトラック制作や、ラップトップ・アーティストとジャズ・ミュージシャンのライブ・セッションといったシーンでも使えると思えた。

 

KENTARO TAKIZAWA
【Profile】DJ、プロデューサー。20年近くダンス・ミュージックを軸に音楽家として活動。エイベックスなどから作品をリリースした後、2017年に自主レーベルHaus It Feelin' Recordsを立ち上げる。

 

IN SESSION AUDIO Shimmer Shake Strike 2

15,114円(価格は為替相場によって変動)

IN SESSION AUDIO Shimmer Shake Strike 2

REQUIREMENTS
▪Mac:OS X 10.12以降、AAX/AU/VST対応のDAW
▪Windows:Windows 8以降、AAX/VST対応のDAW(32/64ビットで動作)
▪共通:NATIVE INSTRUMENTS Kontakt/Kontakt Player V6.3以上の動作環境で起動

製品情報