「AMS NEVE RMX 16 500 Series Module」製品レビュー:デジタル・リバーブの名機AMS RMX 16のAPI 500互換モジュール版

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 AMS NEVE RMX 16 500 Series Module(以下、RMX 16 500)は、世界で最も愛されるデジタル・リバーブの一つ、AMS RMX 16をAPI 500互換モジュールで復刻したモデル。筆者はオリジナルのRMX 16にとてもなじみがあり、現在はそのエミュレーション・プラグインも使用しています。オリジナルのRMX 16は、歴史のあるスタジオには“必ず”と言っていいほど常設されていますが、発売から約40年が経過しているため、現在では状態の良くない個体が多いのも事実。そう言った意味でも、今回API 500互換モジュールとして復刻されることには大きな意味があると思います。

100個のユーザー・メモリー・スロットを備える
SAVE/RECALL機能

 このRMX 16 500、まずは一目で“オリジナルのRMX 16”をほうふつさせるデザインに魅力を感じました。先述のようにRMX 16 500はAPI 500互換モジュールのため、使用時はAPI 500互換モジュール・ラックが必要です。

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RMX 16 500 Series Moduleを使用するには、API 500互換モジュール・ラック(写真左)が必要。なお、本体のサイズは3スロット分で、スロット1とスロット3に相当するコネクターでラックと接続する

 サイズは3スロット分で、スロット1とスロット3にあるコネクターでラックと接続します。スロット1にはインプットとLchのアウトプット、スロット3にはRchのアウトプットが割り当てられていますが、これは本機がモノラル入力/ステレオ出力であるためです。

 

 フロント・パネルの左上にはブランド・ロゴがあしらわれ、その下には100個のユーザー・メモリ・スロットを備えたSAVEとRECALLボタンを搭載。さらにその下には4段階のLEDインジケーター、プッシュ式のロータリー・エンコーダー、内蔵リバーブをセレクトするためのPROGRAMボタン、ディケイ・タイムを変更するためのDECAYボタン、初期反射を調整するためのPREボタン、ディケイ・フィルターを低域/高域で選択できるLO/HIボタン、リバーブのドライ/ウェット量を設定するためのMIXボタン、入出力レベルをそれぞれ調整可能なIN/OUTボタンなどを装備。

 

 なお、最下段の左端にはUSB(Type-C)端子を備えていますが、これはコンピューターと接続してファームウェアをアップデートするために用います。筆者が気に入ったのは、フロント・パネル右上にある大きな有機ELディスプレイ。オリジナルのRMX 16に採用されている“赤色の14セグメント表示”を、忠実に再現しています。

 

音楽的で濃厚なリバーブ・サウンド
AD/DAは24ビット/48kHzに対応

 RMX 16 500の操作方法は非常にシンプル。まずはPROGRAMボタンやDECAYボタンなど、調整したいパラメーターのボタンを押し、ディスプレイを見ながら設定を進めます。このとき、プッシュ式のロータリー・エンコーダー、UP/DOWNボタン、フロント・パネル右下の“キーパッド”と呼ばれる16個のボタンの合計3通りの操作方法を選択可能です。複数のボタンを組み合わせるような複雑な操作はほぼ無いため、オリジナルを扱ったことがあるユーザーはもちろん、今回初めてRMX 16に触れるというユーザーでも、操作に手間取るといったことは恐らく無いでしょう。

 

 実際にRMX 16 500を使用して感じたのは、非常に音楽的で濃厚なリバーブ・サウンドだということ。本体内蔵のリバーブ・プログラムは全部で18種類あるのですが、その内訳はオリジナルのRMX 16にあった9種類と、アフター・マーケット用に追加された9種類となっています。

 

 特に筆者が好きなプログラムは、あらゆる楽器にオールマイティな“Program 1:Ambience”、歌やギターに温もりと色気を与える“Program 4:Plate A1”、80'sドラム・サウンドでよく聴くゲート・リバーブの“Program 8:Nonlin 2”、サイケデリック・サウンド作りにも効果的な“Program 9:Reverse 1”など。どのプログラムにおいてもボーカルや楽器を奥に引っ込めることなく、リッチな空間と広がりを与えることができるでしょう。

 

 またアグレッシブにリバーブを足していっても違和感を覚えず、リスナーを“引き込む”ような自然な音作りが可能。インサートでも使用してみましたが、聴感上の音質劣化は全く無く、ダイナミック・レンジは112dB@24dBuと文句無いクオリティです。

 

 オリジナルのRMX 16やプラグイン版と比較してみたところ、全体的にRMX 16 500の出音はハイファイであるように感じました。これは、オリジナル機が12ビットのADコンバーターを搭載しているのに対し、今回のRMX 16 500が24ビット/48kHz対応のAD/DAコンバーターを採用しているためでしょう。またRMX 16の方が、プラグイン版よりもソースとリバーブ成分の分離が良いと感じました。

 

 冒頭で述べたように、オリジナルのRMX 16は現代においても最も愛用されているデジタル・リバーブの一つです。RMX 16 500はその正統な後継機として十分なサウンドと機能を持ち併せています。ハードウェアでの音作りにこだわるユーザーからオリジナル版との入れ替えを検討しているスタジオまで、幅広く受け入れられるプロセッサーと言えるでしょう。

 

中村フミト
【Profile】Endhits Studioを拠点に録音からミックス、マスタリングまでを手掛けるエンジニア。直近では、にしな、DEAN FUJIOKA、GOOD BYE APRIL、一寸先闇バンドらの作品に携わっている。

 

AMS NEVE RMX 16 500 Series Module

167,000円+税

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SPECIFICATIONS
▪ヘッドルーム:>+22dBu@1kHz(<0.5% THD+N) ▪ダイナミック・レンジ:112dB@24dBu ▪SN比:82dBu、20Hz〜20kHz、+4dB ▪周波数特性:±0.25dB、20Hz〜18kHz ▪全高調波ひずみ率(THD+N):0.002%@1kHz(+20dBu、10Hz〜20kHz Filter) ▪ライン入力インピーダンス:≒20KΩ、Balanced in Slot1 ▪ライン出力インピーダンス:≒150Ω、Balanced in (L)Slot1、(R)Slot 3 ▪ビット/サンプリング・レート:24ビット/48kHz ▪外形寸法:114.3(W)×133.4(H)×145(D)mm ▪重量:840g

 

製品情報

www.minet.jp

 

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