ACOUSTIC REVIVE ヘビー・ユーザー・ストーリー「ニラジ・カジャンチ」

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 ケーブルをメインに高品位なオーディオ・アクセサリーを手掛けるACOUSTIC REVIVE。今回のヘビー・ユーザーはレコーディング・スタジオNK SOUND TOKYOの主宰ニラジ・カジャンチ氏。エンジニアとしてアメリカで経験を積んだ彼は、どのような目線で製品を使っているのだろう?

Photo:Hiroki Obara

 

“広がりが欲しい機材”の電源供給に愛用

 「周囲に居たアメリカのエンジニアたちは、音の一つ一つを奇麗に聴かせること以上に曲のグルーブ、ケーブルや電源などよりもマイクやアウトボードといったギアに関心が高く、僕も日本へ移って数年はケーブルとか電源に興味を持つことがなかったんです」とニラジ氏。意識改革の契機となったのはSTUDIO Dedeのエンジニア吉川昭仁氏で、彼が愛用するACOUSTIC REVIVEの製品群を見て、自らも導入し始めたそう。まず手にしたのは、AVID Pro Tools | HD/HDXシステム用のケーブル=Digi Linkだった。

 

 「DSPカードとI/Oをつなぐためのものですね。当時はまだ自分のスタジオを所有しておらず、持ち運び用のシステムに試してみたのですが、純正品から差し替えた途端、それまでの音から激変して。すぐにはアジャストし切れなかったので、慣れるために自宅のシステムへ移してみたところ、その良さに気付くことができました。ステレオ・フィールドがものすごく広く見えるようになったんです。だからこそ、慣れるまではナローにミックスしがちでしたが、一度覚えてしまうとパンニングが楽になってきて。細かいコントロールもストレス無く行えるし、何より音楽に集中できるんです」

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コントロール・ルームのパッチ・ベイには、バンタムではなくXLRのケーブルを使用。ACOUSTIC REVIVE XLR-Absolute-FMなども活躍中だ

濁りが一歩下がって聴きたい部分が出てくる

 その後、ACOUSTIC REVIVEのXLRライン・ケーブルや電源ケーブル、ACスタビライザーなどを持ち運び用のシステムに導入し、2014年にはNK SOUND TOKYOを開設。「製品の良さが最も生かされ、それにより音楽のクオリティが向上するポイント。ACOUSTIC REVIVEのケーブルや電源機器も、そういうところに使っています」と語る。

 「2年前にスタジオをリニューアルしたとき一番こだわったのが、分電盤から出ているFケーブルなんです。普通は低廉なものを使う……というか、施工会社に委ねる部分なんですが、僕はアウトボードの電源にACOUSTIC REVIVE仕様のFケーブルを引き回し、なるべくエナジーのロスが出ない状態にしました。効果がよく分かるのは“音に広がりが欲しい機材”。マスタリング系が多く、SPL Iron(コンプ)やPRISM SOUND Maselec MEA-2(EQ)、MASELEC MTC-1X(コンソール)などの電源供給にバッチリです」

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ラジカセへの入力にはRCA-1.0TripleC-FMを愛用している。クライアント・チェック時にもピュアな音を届けたい思いからだ

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電源ボックスはRTP Absoluteシリーズの8口版(特注品)もスタンバイ

 ブースとコントロール・ルームのパッチ・ベイを接続するケーブルにも、ACOUSTIC REVIVEのものが使われている。

 

 「多くの商業スタジオでは、マルチケーブルを使用する部分です。でも僕は“単線のXLR”でやりたかった。実は計3ブランドのケーブルを10本ずつ引いていて、ソースに合わせて選べるようにしているんですが、ピアノとキックには絶対にACOUSTIC REVIVEを使います。例えばピアノは、音が重なると濁りが出るものの、ACOUSTIC REVIVEのケーブルを介して録れば、その濁りが一歩後ろに下がったようになり聴きたい成分が前に出てくる。キックも同様で、ローエンドが素直に聴こえるんです。それは中と外に立てたマイクをブレンドした際によく分かり、位相が良いからか20~50Hz辺りがちゃんと聴こえます。故に細かくEQできるし、ローエンド収音用のマイクも選べるようになりました」

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ピアノのそばには、アコースティック・コンディショナーのRWL-3が設置されている

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APPLE Mac Proに使われているACスタビライザーRAS-14 TripleC

 ニラジ氏いわく、ACOUSTIC REVIVEのケーブルは長距離伝送による信号の劣化が極めて少ない。「ほかのケーブルと比較して分かりました。だからサウンド・チェックが速く済むし、すぐに演奏を始められます」と言う。

 

 「ミュージシャンも喜んでくれますよね。それに、ケーブルのせいで特定の帯域がピーキーに聴こえてしまうことがないから、ミックスのときもEQやコンプを使わずに音が作れてしまう。前よりもクライアントの方々からの一発OKが増えましたし、仕事がさらに速くなりました。“EQとコンプを使う人はエンジニアじゃない”と語っていた、アル・シュミット大先生に1%くらいは近付けたかもしれませんね(笑)」

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エレピの上で7.83Hzの低周波を発するRR-777。音質改善効果を特徴としている

ニラジ・カジャンチ
<BIO>NYやLAでエンジニアとして活動しボーイズIIメンやマイケル・ジャクソンなどに携わる。日本へ移住後も三浦大知、さかいゆう、SKI-HI(AAA)、安室奈美恵、SUGIZOなど一流のアーティストを手掛ける。近年はジャズのセッションも多く、年間にミックスだけで約300曲こなす

 

■ACOUSTIC REVIVE製品に関する問合せ:ACOUSTIC REVIVE
https://acousticrevive.jp/

 

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