ケーブルをメインにハイグレードなオーディオ・アクセサリーを手掛けるACOUSTIC REVIVE。今月からは製品のヘビー・ユーザーにインタビューを行い、その魅力を語ってもらう。このたび登場していただくのはエンジニアの吉川昭仁氏。主宰するSTUDIO Dedeを訪ねて話を聞いた。
位相の乱れなどを感じず劣化しない印象
吉川氏がACOUSTIC REVIVEの製品を使い始めたのは10年ほど前のこと。エンジニアの檜谷瞬六氏から、AES/EBUのデジタル・ケーブルを借りたのが発端だったという。
「デジタル・ケーブルについては、それまではBELDENなどの製品を使っていたくらいで、さほど気にもしていなかったのですが、ACOUSTIC REVIVEに換えてみたら圧倒的に良くなって。音が劣化しない感じなんです。その後、BNCのクロック・ケーブルなども試して“これも良いぞ”と思い、ライン・ケーブルや電源ケーブルを含め導入することにしました。ほかのケーブルでは位相が乱れたり、出音がにじんでしまうようなこともあるのですが、ACOUSTIC REVIVEならベースやキックなどの低音楽器まで、きちんと“見える”。そういう部分に分かりやすく差が出ますね。奇麗な音が必ずしも満点かどうかは分かりませんが、個人的にはやっぱり好きなんです。また、仕事でジャズやクラシックに接することも多いので、おのずと鮮度の高い音が求められます」
ACOUSTIC REVIVEのケーブルには音響専用導体の“PC-TripleC”が採用されており、これが単線であることから一般的な撚り線(よりせん)ケーブルとは異なり、迷走電流が発生しないのだという。結果、伝送スピードに乱れが生じず、ピントの合った音が得られるそうだ。絶縁材も特徴で、よく使われる塩ビよりも誘電率(いわば電気を止めようとする力)が2倍以上も低いテフロンを採用。伝送スピードの向上やエネルギー・ロスの低減に寄与しているという。
ACOUSTIC REVIVEを高く評価した吉川氏は、AVID Pro Tools | HDX/HDシステム用のDigiLinkケーブルを共同開発。「それまでも何社かがDigiLinkケーブルを開発していましたが、いずれにも色付けがあった印象です。僕らが作ったものは“I/OからI/O本来の音がする”といった点を主眼にしていて、実際に各方面からポジティブな反応をもらっています」と吉川氏。本誌連載でも、その性能の高さをさまざまなクリエイター/エンジニアらが検証してきた。
機材の内部配線に至るまでPC-TripleC
さて現在のSTUDIO Dedeは、どのような部分にACOUSTIC REVIVEのケーブルを用いているのか?
「まずは、オーディオ用の200Vブレーカーから各部屋のトランスに電気を渡すためのケーブルがACOUSTIC REVIVEです。コントロール・ルームに関しては、電圧別に用意したトランスにタップをつないで壁コン代わりに使っているのですが、そのトランス~タップ間のケーブルも、タップ自体もACOUSTIC REVIVE。コンピューターやアウトボードの電源ケーブルも同様です。また、ライブ・ルームからコントロール・ルームに引いているタイ・ライン(アナログ回線)は12ch分がACOUSTIC REVIVEで、その出口となるパッチ・ベイやパッチ・ケーブルもそう。狂ってますよね(笑)」
マルチトラック録音用のオーディオI/Oに至っては、電源部をACOUSTIC REVIVE仕様にモディファイしたそう。
「スイッチング電源からアナログ電源に換えていて、その内部配線にPC-TripleCを使っています。I/Oとモニター機器の接続にも、メイン・スピーカーの内部配線や電源にも、さらにはMERGING Pyramixシステムの配線にも使用しているので、頻繁に抜き差しをしない部分についてはACOUSTIC REVIVEの占める率がかなり高いんです」
ことデジタル・レコーディングについては“ロスの積み重ね”だと吉川氏は言う。
「そのロスをいかに減らせるかが、最終的な結果を向上させると思います。だからケーブルにしても、良いものを使うべきなのではないかと。もちろん何か一つで100%解決することはありませんが、例えば20カ所に気を配った人と0カ所の人なら、仕上がりの良さは全然違うはずです」
吉川昭仁
<BIO>ボストンのバークリー音楽院でジャズ・ドラムを専攻。演奏や録音に明け暮れる。2006年に帰国後、STUDIO Dede設立。2010年、マスタリング・スタジオのDede Air Mastetringを立ち上げる。2019年1月、マスタリング・スタジオをNYに移転。東京、NYと活動の幅を広げる
■ACOUSTIC REVIVE製品に関する問合せ:ACOUSTIC REVIVE