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ACOUSTIC REVIVE クロス・レビュー「XLRライン・ケーブル」

“原音忠実”の理念の下、ケーブルなどのオーディオ・アクセサリーを手掛けるACOUSTIC REVIVE。今回は同社のXLRライン・ケーブルをクリエイター/エンジニアにクロス・レビューしていただこう。

第11回「XLRライン・ケーブル」

ACOUSTIC REVIVE代表
石黒謙、氏の技術解説

ACOUSTIC REVIVEのライン・ケーブル最大の特徴は、導体が“単線”であるという点です。市販のライン・ケーブルのほとんどは細い線をより合わせた“より線”を導体に採用していますが、より線はストランド・ジャンプ現象と呼ばれる迷走電流の発生が避けられません。この迷走電流はノイズやひずみ、付帯音や雑味となり音質を劣化させてしまいますが、一般的なライン・ケーブルがあえてより線を採用する理由は、取り回しの良さでしかありません。

ACOUSTIC REVIVEのライン・ケーブルのもう一つの特徴として、世界初のノイズ除去機能付きケーブルであることが挙げられます。軟磁性ノイズ吸収素子である“FINEMET”を装着することで、ライン伝送上のノイズを副作用なく一掃することに成功しています。単線導体とFINEMETにより、これまでのケーブルとは一線を画す伝送劣化や損失の無い超高SN比と超高忠実度を実現し、録音が難しかった楽器の収録も容易となります。

<Price>
●LINE-1.0X-TripleC-FM:38,000円(写真:1m/2本一組)
※長さの特注可。0.5mあたり12,000円(2本一組)
●LINE-1.0X TripleC-FM-Sマイクケーブル:19,000円(1m)
※長さの特注可。1mあたり9,000円
●XLR-1.0TripleC-FM:188,000円(1m/2本一組)
※長さの特注可。0.5mあたり62,000円(2本一組)
●XLR-1.0TripleC-FM 1.4×1.8mm導体仕様:218,000円(1m/2本一組)
※長さの特注可。0.5mあたり88,000円(2本一組)

Cross Review

Producer
nishi-ken
NK<Profile>シンセに魅了され、DAW主体の音楽制作/ライブを開始。これまで小室哲哉や中田ヤスタカ、GReeeeN、ケツメイシ、SCANDALなどの制作に携わってきた。

特筆すべきは中域の繊細さ
ミックスの課題が見えてくる音質

僕が考えるモニタリングの重要なポイントは、楽曲が完成形に向かう過程において、弱点や欠点に気付けるかどうかです。ミックスやマスタリングはもちろん、作曲や編曲、さらには作詞にも影響してくるため、良い鳴りでモニタリングできる環境は自分にとって欠かせません。

今回試したのは、LINE-1.0X-TripleC-FM(3m)です。オーディオ・インターフェースとメインのモニター・スピーカーの接続に使用し、日ごろの聴こえ方からどう変わるのかをチェック。率直な感想を述べると、試聴した自作品のミックスをやり直したくなりました。良いものを使うというのは、そういうことなんです。このケーブルが、ミックスの欠点や“まだクオリティを上げることができる”という伸びしろに気付かせてくれました。周波数的には、低域のリリース感の明確さ、中域の繊細さ、高域の伸び方が向上し、トータルのスペースがグッと広がった感じ。特に印象的だったのは、中域の鳴り方の繊細さです。このケーブルは、作った方に愛されているんだなと感じました。

Recording/Mixing Engineer
伊東俊郎
IT<Profile>フリーのエンジニア/サウンド・プロデューサー。TM NETWORK、渡辺美里、米米CLUB、吉田美奈子、山下達郎、Hound Dogなど多くのアーティストを手掛ける。

中低域〜中域の密度が高く
ソースのディテール表現にも優れる

XLR-1.0TripleC-FM(1m&2m)をマイク・ケーブルとして使用しました。まずは高感度マイクに使用した際の“周波数レンジの広さ”にとても驚きました。ハイエンド&ローエンドの伸びが素晴らしく、高次倍音をしっかりと確認できたのです。また中低域〜中域(約250Hz〜約1.8kHz)の密度がとても高いため、中高域のアタック成分のみが飛び出す、といった高品質ケーブルにありがちなことも起こらず、コントロールがしやすいです。

ダイナミック・マイクに使用した際は、中低域〜中高域の密度が格段に増すため、素晴らしい表現力を持った音になり感激しました。このケーブルによって、ダイナミック・マイクのポテンシャルの高さを再確認&再認識。マイク・セッティングの調整による音の距離感やレンジの変化もハッキリと聴き分けられ、作業が早くなり、なおかつ楽しくなりました。見た目よりも柔軟性があり、取り回しがとても良く、収納も容易でしょう。このハイレゾ時代に、常時使いたいケーブルです。

Recording/Mixing Engineer
ニラジ・カジャンチ
N<Profile>エンジニアとしてNYやLAで活動し、ボーイズⅡメンやマイケル・ジャクソンなどに携わる。日本へ移住後は三浦大知や[Alexandros]、アニメ・ソングなども手掛ける。

パワーと透明感を兼ね備え
作り手の思いをスムーズに伝える

いろんなライン・ケーブルがある中で、一つ一つ個性があって、日々レコーディングしている曲に合わせてケーブルを選ぶのが、僕の中での一つの楽しい遊びです。ACOUSTIC REVIVEのXLRケーブルは、パワーがとにかくすごいです。ほかのケーブルと比べたときに、ヘッド・アンプのゲインが1ポイント上がっているんじゃないか?と思わせてくれます。どれだけこのケーブルがピュアでストレートなサウンドをしているか。慣れてしまうと、ほかのケーブルがどれだけロー抜けしてるか、ハイ上げされてるかを感じさせられます。ワイド・レンジでトランスペアレントな音を求めるときに、自然と手が出るACOUSTIC REVIVEですね。32ビット/96kHzのレコーディングが多いこのハイレゾな時代にすごくマッチしてるケーブルだと思います

ミュージシャンやアーティスト(とエンジニア)が伝えたいエモーションが、よりリスナーの心に届く大事なツールだと思っています。192kHzやDSDのレコーディングが増えたらもっともっと必要になるかもしれません。あと、オーディオ・インタフェースとスピーカーの間も最近このケーブルにして、すごく判断しやすくなって、1曲のミックスにかける時間が半分になりました。ステレオ・フィールドのワイド感と奥行きが見やすくなって、リバーブとディレイの選び方も楽になりました。

すべての機材と楽器をこのケーブルでつなげるよりも、大事な数カ所だけに入れてます。それが一番バランスよく聴こえて、ACOUSTIC REVIVEの良さが出ているふうに感じます。素敵なケーブルをありがとう。

<製品概要>
ACOUSTIC REVIVE XLRライン・ケーブル

(本稿はサウンド&レコーディング・マガジン2019年8月号からの転載となります)