グリルのエッジに面取りを施し事故を防止
トランスミッターとの接点は金メッキ仕様
V7 MC1はSHUREのハンドヘルド・トランスミッター用に設計された交換カプセルです。SHUREのハンドヘルド・ワイアレス・マイク(BLXとGLX-D Seriesを除くすべてのモデル)に対応ということなので、今回はSHURE PGX2/SM58のカプセルを交換して使用してみました。
V7 MC1の外形寸法は54(φ)mm×92(H)mm、本体重量は150gとなっています。実際にSM58のカプセルと並べてみると長さは7〜8mmほど長いですが、筐体のすべてが金属製であるにもかかわらず、重量は約30g軽いです。単三電池1本が20〜30gですので、ちょうどその分軽いことになります。これはハンドヘルド・ワイアレス・マイクにとって大きなアドバンテージになりますね。
手に取って見てみると、グリル内部の赤いウィンド・スクリーンが目を引きます。グリルはシルバー(V7 MC1)とブラック(V7 MC1 Black)の2つのバリエーションをラインナップ。それぞれにスペアの黒いウィンド・スクリーンが付属しているので、気分によって使い分けたり、連日使用する際にウィンド・スクリーンを水洗いしても乾燥を待たずに使用できるのはありがたいです。
次に目を引くのはグリルのエッジに施された面取り。これによって平らな場所に置いたときに不意にマイクが転がってしまうのを防ぐことができます。当然基本的には手に持つかマイク・ホルダーに挿して使うのですが、ライブのサウンド・チェックのときなど、ふとした瞬間にアンプの上に置いてしまったりすることがありますよね。こういった気遣いはすごく重要なことだと思います。また、ハンドヘルド・トランスミッターと接触する部分は金メッキ仕様。ロス無く信号を伝えられるようになっています。
上品で聴き取りやすいサウンド
音の被りを抑えハウリングを軽減
肝心のサウンドですが、鮮明かつ自然な音だと感じました。嫌味無く高域に伸びがあり、250Hz近辺が少し抑えられている印象です。近接効果でこもった感じになりやすい部分の対策がなされています。かといってスカスカになったりはしていませんでした。人によってはパンチが無く感じることもあるかもしれませんが、上品な聴き取りやすいサウンドと言えると思います。今回は筆者の声と女性ボーカルで試しましたが、男性ボーカルやラッパーなども含めオールマイティに使えるのではないでしょうか。
指向性はスーパー・カーディオイドということで、ヘッドフォンでモニターしてみるとウェッジ・モニターやほかの楽器の被りはかなり抑えられています。指向性が狭過ぎるとポイントから外れたときに声が拾いきれないということがありますが、ハンドヘルド・ワイアレス・マイクなので理にかなっていますね。指向特性がちょうど良いところに調整されているというのもあって、音質を損なわずにかなりハウリング・マージンを稼ぐことができました。
グリルとウィンド・スクリーンを外してみると特許取得済みだというショック・マウントを確認することができます。触ってみると思った以上に柔らかいですが、弾力があり、しっかりとユニットを支えつつ外部からの振動が伝わらないようになっています。ワイアレス/ワイアードにかかわらず安価なマイクはこの辺の作りがしっかりしておらず、ハンドリング・ノイズや筐体から伝わる音が乗ってしまうことがよくありますが、そういった心配は全く無さそうです。さまざまなチェックをしてみましたがハンドリング・ノイズはほとんどありませんでした。筆者はV7 MC1の元になったハンドヘルド・ワイアード・ダイナミック・マイクのV7を使ったことがなかったのですが、今回のチェックをしてみて俄然そちらの方も試してみたくなりました。スネアやギター・アンプにも良さそうですね。
13,800円というこのタイプの製品の中でも非常に手ごろな価格なので、現在対象のワイアレス・マイクを使っていて、少ない投資で一歩進んだサウンドを求めている方にはピッタリの製品だと思います。
(サウンド&レコーディング・マガジン 2019年8月号より)