ACOUSTIC REVIVE クロス・レビュー「ギター/ベース用ケーブル」

“原音忠実”の理念のもと、ケーブルなどのオーディオ・アクセサリーを手掛けるACOUSTIC REVIVE。今月クロス・レビューするのは、ギター/ベース用ケーブルのGB-TripleC-FMだ。

第20回「ギター/ベース用ケーブル」

ACOUSTIC REVIVE代表
石黒謙、氏の技術解説

GB-TripleC-FMは世界初のノイズ除去機能付きギター用ケーブルです。日立金属が開発したノイズ除去素材“FINE-MET”をケーブル内部に搭載することで、ギター/ベースとアンプの間はもちろん、エフェクターやそのほかの機器から発生する伝送上のノイズを一掃できるため、S/Nが劇的に向上。過去のギター用ケーブルとは一線を画すもので、世界初の音響専用導体“PC-TripleC”を迷走電流の発生の無い極太の単線で採用し、絶縁材には現在最も比誘電率の低いテフロンを使い圧倒的な伝送スピードを実現しています。

緩衝材には、静電気の発生を防ぎ有機的な音色を実現する天然シルクを採用。フォーン端子には、磁気ひずみの原因となる鉄心を除去した真ちゅう無垢材からの削り出しに金メッキを施し、伝送特性を極限まで高めています。GB-TripleC-FMは、外来ノイズの影響を受けず正確な位相特性を実現する2芯シールド構造となっており、従来のギター用ケーブルとは別次元のクオリティを実現しています。

<Price>
●GB-TripleC-FM(ギター/ベース用ケーブル):24,000円(3m)、38,000円(5m)、52,000円(7m)、73,000円(10m)
※端子形状は、ストレート/ストレート、ストレート/L字を選択
※長さの特注可能(要見積もり)
※写真は3mのストレート/L字
●PC-FM(パッチ・ケーブル):9,800円(15〜30cm)
※完全受注生産
※発注時に長さや端子形状を指定

Cross Review


Engineer/Artist
中村公輔
NK<Profile>エンジニア。折坂悠太、入江陽、TAMTAM、ツチヤニボンド、ルルルルズらを手掛ける。アーティストでもあり、ドイツの名門Mille Plateauxなどから作品を発表。

音の鮮度が高くアタックが速い
低域にも十分な伸びを感じる

筆者は普段、コントロール・ルームで音色を確認しながらギター録音を行うことが多く、コンボ・アンプの場合、ブースまでケーブルを引き回すので、どうしても音やせが起こり困っていました。それを回避するためにバッファーを使うなど工夫していましたが、意図しない色付けが生じたり抜けが悪くなるなど弊害も多く、決め手に欠けていました。

その点GB-TripleC-FMを使うと、同じセッティングでも音色がフレッシュで、ピッキングに対する反応が一段速くなる印象。他社製のケーブルと比べてアタック感が増し、モニター・スピーカーで聴いたときに、アンプが一歩前に出て前面に張り付いてくるような違いがありました。

これまでもアタックが出てくると感じたケーブルはありましたが、ほとんどが高域の一部をブーストしたような音色。ディストーション・ギターの場合は特定のノート周辺がヒステリックに聴こえたり、使いどころを選びました。しかしGB-TripleC-FMでは、ひずませたセッティングでも変なピークが出ずに前へ来るので、周波数のバランスはそのままに、従来はそぎ落とされてしまっていたアタックが残るのでしょう

また、音が太いと言われるケーブルでも、中低域を膨らませて低域をカットするようなまとめ方の製品が多い中、こちらはスッと下が伸びたキャラクターで新鮮に感じました。特に、打ち込みと混ぜたときにギターが奥まってしまって困っている人や、カッティングの粒立ちを良くしたい人、周波数レンジが伸びた現代的なサウンドを作りたい人には最適なケーブルだと思います。

Engineer
池田洋
IK<Profile>hmc studioを拠点とするエンジニア。これまでnever young beach、ペトロールズ、踊ってばかりの国、DENIMSなど多くのアーティストの作品を手掛けてきた。

音の立ち上がりが速く高解像度
ひずませてもコード感が保たれる

7mのGB-TripleC-FMを試しました。まず、ケーブルをつないだ際のプラグの安定性が、細部へのこだわりを感じさせます。普段録りに使うことの多いBELDEN 8412と比べてみたところ、クリーン・サウンドでは本製品の方が音の立ち上がりが速く感じられました。アルペジオについてはタッチのニュアンスが聴き取りやすく、解像度の高さもうかがえます。そしてドライブ・サウンドは、製品の特徴の一つである“低ノイズ”を実感でき、ひずみの量を上げていっても飽和せず最後までコード感が保たれていました。

これらの特徴の要因は、GB-TripleC-FMの“低域の高度な作り込み”なのではないかと筆者は考えます。低域が整理されている分、音の迫力として物足り無さを感じる方が居るかもしれませんが、アンサンブルの中では、しっかりとした存在感を得られるように思います。反面、細かなニュアンスが如実に出てしまいますので、ギタリストの方はプレイが丸裸になることでしょう。音作り/プレイの両面で、自分を見直すきっかけになるのではないでしょうか。

Guitarist/Composer/Producer
関口シンゴ
SS<Profile>プロデューサー/ギタリストとしてChara、秦基博、矢野顕子ら多数のアーティストをサポート。12月に新アルバムを発売するOvallのメンバーとしても活躍する。

弦の質感やピッキングを生々しく再現
宅録にも心強いノイズ除去機能

使用してみて最初に驚いたのは、周波数レンジの広さです。よく使っている一般的なギター用ケーブルは中域に偏りがちですが、GB-TripleC-FMは低域から高域までバランスが良く、中域に太さと抜けの良さも併せ持っています。また高域の分離が良く、弦の質感やピッキング・ニュアンスが生々しく感じられます。僕はエレキでソロ・ギターを弾くことが多いので、奇麗に和音を聴かせたいときや歯切れの良いカッティングなどにも重宝しますね。

そして、ノイズ除去機能が付いているため、宅録にも心強いです。微細なノイズであっても、オーバー・ダビングしてトラック数が増えていくと気になりますし、コンプなどを挿すことでも増幅されてしまいます。普段使っているAPPLE Logicに録音してみたところ、音を重ねてもいつもよりノイズが気にならなかったように感じ、コーラスなどの空間系のエフェクトのかかり具合も鮮やかでした。ケーブルはやや太めで安心感があり、プラグの根元もしっかりしているので断線しにくいです。

<製品概要>
ACOUSTIC REVIVE GB-TripleC-FM (ギター/ベース用ケーブル)

(本稿はサウンド&レコーディング・マガジン2020年1月号からの転載となります)