「ARTURIA AudioFuse 8Pre」製品レビュー:単体8chマイクプリ&AD/DAとしても使えるUSBオーディオI/O

ARTURIAAudioFuse 8Pre
 ARTURIAから発売された24ビット/96kHz対応のUSBオーディオI/O、AudioFuse 8Preは、これまでのモデルにも搭載されていたDiscretePROプリアンプを採用。アナログ入力が8chまで拡張され、使用用途が広がりました。単体のマイク・プリアンプ&AD/DAコンバーターとしても使用できるこのモデルをチェックしていきます。

細かなニュアンスまで拾うマイクプリ
Boost機能でサチュレーションが可能

 AudioFuse 8Preの入出力はとてもシンプルで分かりやすく、8chのアナログ・イン/アウト、2系統のADAT、そしてスピーカー・アウトとヘッドフォン・アウトで構成されています。最大で16イン/20アウトという入出力数……と仕様には書かれていますが、コンピューターのステレオ出力をDAWへ戻すループバック機能もあるので、実質は最大18入力です。

 アナログ入力はすべてXLRとフォーンのどちらも使えるコンボ仕様となっているため、どのような状況でも臨機応変に対応可能。XLR/フォーンのどちらでもマイク/ラインの入力ができるので、切り替えの心配をせず助かります。

▲リア・パネル。左上からADAT入出力×2(S/MUX対応)とその下にUSB端子(USB-C)、ワード・クロック入出力(BNC)、スピーカー・アウトL/R(TRSフォーン)、ライン・アウト1〜8(TRSフォーン)、インプット3〜(XLR/TRSフォーン・コンボ)、インプット1&2(TRSフォーン)とそのインサート・センド&リターン(各TRSフォーン) ▲リア・パネル。左上からADAT入出力×2(S/MUX対応)とその下にUSB端子(USB-C)、ワード・クロック入出力(BNC)、スピーカー・アウトL/R(TRSフォーン)、ライン・アウト1〜8(TRSフォーン)、インプット3〜(XLR/TRSフォーン・コンボ)、インプット1&2(TRSフォーン)とそのインサート・センド&リターン(各TRSフォーン)

 また、ライン・アウトとは独立したスピーカー・アウトは、フロント・パネルでボリューム調整が可能で、直感的に触りやすいです。ヘッドフォン出力もステレオ・フォーンとステレオ・ミニの両方が用意されています。最近はイアフォンでモニターする人も増えたので、利便性を考慮した設計と言えるでしょう。

 さらに、本機は単体のマイクプリ&AD/DAコンバーターとしても使用できます。そのADATモードでは、すべてのアナログ入力はADAT出力へ、すべてのADAT入力がアナログ出力へアサイン。本機2台をカスケードして、アナログ16イン/16アウトのオーディオI/Oとして使用可能です。96kHz運用もできるように、2系統のADAT入出力はS/MUXに対応していますし、ワード・クロック入出力も備えています。

 今回は最もシンプルな方法で使ってみようと思い、APPLE MacBook Proに付属のUSB-Cケーブルで接続し、AVID Pro Toolsを起動してみました。

 まずレコーディング・スタジオにてモニタリングしたところ、音の印象はとてもクリアで奥行き感もあり、音像も分かりやすく明るい印象。正直なところ、1Uのオーディオ・インターフェースでここまでのクオリティに仕上がっていることに驚きました。マイクプリもクリアで細かなニュアンスまで拾ってくれる仕上がり。8chすべてのマイクプリについて、ゲイン/48Vファンタム電源/PADがフロントで操作できるのは直感的でとても良いと思います(ch1/2はHi-Zにも対応)。

 また、PADはオン(−20dB)/オフでの音の印象が変わらずシンプルにゲインを下げてくれます。さらにマイク入力時に有効なBoost機能(+10dB)もあります。PADボタンを長押ししてオンにすると、ボタンが赤く点灯。若干ではありますが、中低域辺りに倍音が加わり、“アナログ機器でサチュレーションがかかった”というサウンドになります。

▲AudioFuse Control Centerでは、各入出力のレベル監視やインプットの設定などが行える。各出力はコンピューターからの出力、アナログ入力またはADAT入力の同じ番号のチャンネル、もしくは画面中央で設定したキュー・ミックスを出力可能 ▲AudioFuse Control Centerでは、各入出力のレベル監視やインプットの設定などが行える。各出力はコンピューターからの出力、アナログ入力またはADAT入力の同じ番号のチャンネル、もしくは画面中央で設定したキュー・ミックスを出力可能

 また、専用アプリケーションのAudioFuse Control Centerを使うと、キュー・アウト用のバランスを変えるなどより細かな操作が可能に。AudioFuse 8Preでは、ヘッドフォンを含む任意の出力をキュー・アウトとして使用できるようになっています。

プリ/EQモデリングからシンセまで
7種類のプラグインが付属

 AudioFuse 8PreにはARTURIA製プラグイン・バンドル、AudioFuse Creative Suiteが付属しています。プリアンプ&EQをモデリングした1973-Preは少し高域が伸びて感じますが、中域の押し出し感はあるのでレンジが広く感じ、聴き心地の良い印象でした。真空管プリを再現したV76-Preも同様な印象ですが、よりTELEFUNKEN V76の実機に近く、声の細かなニュアンスも消さずにナチュラルに聴こえました。1973-Preと同様にコンソールのプリアンプ/EQを模したTridA-PreはM/S機能がとても直感的で使いやすく、音質を損なうことなくEQ処理ができるので、ドラム・ミックスやトータルにかけるのが良さそうです。

trida-pre-image そのほかMOOGタイプのフィルターであるMini-Filter、コンプレッサーのComp FET-76、ディレイのDelay Tape-201、ソフト・シンセAnalog Lab Liteという計7種のプラグインが付属しています。

 昨今の音楽制作においてアレンジャーやミュージシャンがセルフでレコーディングすることが多い中、この1台があるだけで多様なシチュエーションに対応できそうだと感じました。例えばリハスタに本機とノート・パソコンを持っていくだけで簡易に高音質レコーディングがマルチで行えます。また、ライブ会場でのマルチトラック・レコーディングも可能です。セッティングが簡易なので、ライブでのマニピュレーターのメイン機としてもとても役立つアイテムになる可能性を感じました。加えて、細かなポイントですが電源コネクターがねじ込み式になっているのが親切で、ライブ現場のような仮設での設営でも安心して使用できます。そして、付属プラグインも含め、すべての操作が直感的で、とても使いやすく感じました。

サウンド&レコーディング・マガジン 2020年1月号より)

ARTURIA
AudioFuse 8Pre
100,000円
▪入力インピーダンス:3.4kΩ(マイク/バランス)、20kΩ(ライン/バランス)、1.1MΩ(Hi-Z/アンバランス) ▪周波数特性(20Hz〜20kHz):±0.07dB以下(マイク)、±0.04dB以下(ライン) ▪入力換算ノイズ(EIN)@72dBゲイン:−129dBu(typical/un-weighted) ▪対応サンプリング・レート:最高96kHz ▪外形寸法:440(W)×45(H)×260(D)mm(マウント金具を除く) ▪重量:3.8kg 【REQUIREMENTS】 ▪Mac:OS X 10.8以降(AudioFuse Control CenterはOS X 10.10以降に対応)、1GB以上のディスク空き容量 ▪Windows:Windows 7以降 ▪共通項目:4GB以上のRAM、INTEL Core I5またはそれ以上のCPU、OpenGL 2.0互換のGPU