ブラケンス『cbd』、ジェイムスズー『Blind』 〜Nagie's ディスク・レビュー

 第一線で活躍するエンジニアに毎月お薦めの新作を語ってもらう本コーナー。Nagie氏の今月のセレクトは、ブラケンス『cbd』、ジェイムスズー『Blind』です。

若い才能による歌を軸にしたビート

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ブラケンス『cbd』

 ブラケンスは現在21歳で、3年前にデビュー作を出したアメリカのソングライター/プロデューサーだ。本曲「cbd」は、ジェイムス・ブレイク的なダークなボーカルが、重いビートの上にエレクトロニカ風のポルタメント・シンセと絡んで始まる。随所のボーカルのチョップがすごく良い。サビは孤独や虚無といった“厨二病”感満載の歌詞にメロディックでキャッチーな悲しくてノリの良いビート。さわやかなギター・ストロークも入り展開のメリハリが効いていてめちゃくちゃ格好良い、良い歌です。完全に歌を軸にしてメロディやシンセが絡んでいるから、メロディと歌が完成していないとこういうアレンジはできない。過去作はちょっと垢抜けていないように感じ、すごいプロデューサーをフィーチャーしたのか?と調べたが出てこない。若いから自分でここまで進化してプロダクションを行えているのかも! すごい成長だよなあ。

芸達者たちが繰り出す不思議な世界

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ジェイムスズー『Blind』

 ジェイムスズーはオランダのプロデューサー。エクスペリメンタル・ジャズと言うべきだろうか。一聴するとデモ・テープ?とも思わせるカッチリした打ち込み的なピアノにサックスのインプロ、モジュラーっぽいというか電子音的なシンセが絡んできて、何だこれは?という印象。けれども、聴くに連れてこれらは生演奏の編集で構成されていることが分かってくる。複雑化するフレーズから、真面目にうまい人たちがわざとやっているのだと判明した。中欧/北欧のジャズは新しい何かを発見しようという意気込みにあふれているよなあ。

Nagie

【Profile】ANANT-GARDE EYES、aikamachi+nagie、CM、アニメ、劇伴、映像音楽中心に活動。Vocaloidライブラリー開発も行う