【2022年版】BITWIG Bitwig Studio 4を詳しく解説 〜島田尚がおすすめポイント&付属プラグインを紹介!

BITWIG Bitwig Studio 4を詳しく解説 〜島田尚がおすすめポイント&付属プラグインを紹介!

MIDI/オーディオのランダマイズや独自のMIDIエフェクトを備え、よりユニークで有機的なアレンジを実現可能

【製品概要】

 2014年に発売されたドイツ産のDAW。Mac/Windowsだけでなく、Linuxにも対応しています。エディションはフル・バージョン版(50,875円)、エデュケーション版、対象の他DAWからのクロスグレード版(いずれも34,100円)、購入後12カ月以上経過した以前のバージョン・ユーザー向けのアップグレード版(20,900円)を購入でき、すべてダウンロード販売です。

 従来のDAWと同様、時間軸をベースにする“アレンジビュー”に加え、オーディオ/MIDIファイルをインポートし、アレンジビューのタイムラインに縛られず再生できる“クリップランチャー”を備えているのが特徴。1つのトラックの中でオーディオ・クリップとMIDIクリップを混在できるのもポイントです。

 また、録音時に便利なオーディオ・コンピングや、MIDI/オーディオ・フレーズのランダマイズ機能Operatorsも実装し、有機的なアレンジが可能に。そのほか、MIDIノートの可能性を広げるユニークなMIDIエフェクト機能“ノートFX”もトピックの一つです。そして、曲作りやビート・メイキングのヒントになる、豊富なサウンド・ライブラリーが無償で提供されているもの魅力です。

【動作環境】
Mac:macOS 10.14〜12、INTELのCPU(64ビット)またはAPPLE Silicon(M1チップ)
Windows:Windows 7/8/10/11(64ビットのみ)、デュアルコアのAMDまたはINTELのCPU、あるいはより高速なSSE4.1 対応のCPU
Linux:Ubuntu 18.04以上、デュアルコア(64ビット)またはSSE4.1対応のX86 CPU

共通:4GB以上のRAM、12GBのディスク空き容量、解像度1,280×768以上のディスプレイ、インターネット接続環境(付属サウンド・コンテンツのダウンロード時)

島田尚が語るBitwig Studio 4のココが好き!

島田尚が語るBitwig Studio 4のココが好き!

【Profile】作編曲家/ギタリスト/キーボーディスト。秋元康が総合プロデュースを行う48グループや坂道シリーズなどのほか、TV番組やCMの音楽を手掛ける。楽曲に相応しいプロデュース能力に定評がある。

音楽制作のあらゆる場面において、インスピレーションを与えてくれる頼もしい相棒です

 Bitwig Studioは、まずシンプルな画面デザインと直感的な操作性が強み。つまみやボタンにカーソルを持って行くと、画面下段にヘルプ・メニューや機能説明が表示される親切設計なので、ビギナーでもすぐに曲作りできます。特に、“何の装飾キーを押せばよかったんだっけ?”という場面では、このヘルプ・メニューがあると大変便利です。

 さらに“オペレーター”や“エクスプレッション・スプレッド”といった、ノートの発音条件を設定できる機能や、パラメーター値をランダム設定できる機能により、単調なループを一瞬で生き生きと変化させることが可能です。わずかな揺らぎから大胆な変化まで幅広く調整できるので、ビギナーにとっても大きなバックアップ・ツールとなることでしょう。

 各デバイスのチェイン(配列)の自由度が高い点もポイント。例えばディレイのリターン(ウェット)成分だけにひずみを加える際、わざわざ別でエフェクト・チャンネルを作らなくても、デバイスのチェイン内だけで完結可能です。複雑なルーティング設定無しでできるので、ビギナーにも扱いやすいと言えるでしょう。

 Bitwig Studioはオーソドックスな歌ものの伴奏や、ループを中心としたトラック、さらに“ハッ”とさせるような一瞬の仕掛けなど、音楽制作においてオールマイティにインスピレーションに応えてくれる頼もしい相棒です!

お気に入りポイント1:メニューのピン止め

BITWIG Bitwig Studio 4のメニューのピン止め

 頻繁に使用するメニューをピン止めし、画面上部にあるバーにボタンとして表示できる機能。そのため、常に自分が一番作業しやすい快適な画面構成に作り変えることが可能です。これにより“あの機能はどこにあったっけ?”と迷うことがなくなります。さらに、自由にカスタマイズできるショートカット・キーと、MIDIコントローラーからの呼び出し機能を組み合わせると、一つ一つの時短効果が積み重なり、圧倒的な作業効率化につながるでしょう。

お気に入りポイント2:クリップランチャー

BITWIG Bitwig Studio 4のクリップランチャー

 時間軸を土台とする“アレンジビュー”に加え、オーディオ/MIDIファイルをインポートし、アレンジビューのタイムラインに縛られず再生できる“クリップランチャー”を搭載。両者は同じ画面上で扱えるので“ここに一仕掛け欲しいな”と思ったときに、いったん曲の構成から離れて1~2小節のループを集中して作り込み、それをドラッグ&ドロップでアレンジビューに戻す、ということが簡単に行えます。またバージョン4.1から“カラーパレット”がクリップで使用できるようになりました。視認性の向上はもちろん、任意の画像ファイルをドラッグ&ドロップすることで新たなパレットを生成可能になったため、よりユーザー好みの制作画面を実現できます。

お気に入りポイント3:クリップ内に複数オーディオを格納

BITWIG Bitwig Studio 4 クリップ内に複数オーディオを格納

 クリップ内に複数のオーディオ・イベントを格納できます。クリップをループ再生しながらドラムやボーカルのサンプルを入れてチョップしたり、リバースさせたり、エクスプレッションを適用してランダムな変化を加えたりと、いろいろな実験をすることが可能です。さらに一つ一つのオーディオ・イベントに対してフォルマント(複数の周波数ピーク)も変えられるため、使い方次第ではかなり面白いサウンドを作れるでしょう。さまざまなサンプルを切り刻んで遊びたくなってしまいますね!

Bitwig Studio 4のおすすめ付属プラグインを紹介!

EQ+[イコライザー]

BITWIG Bitwig Studio 4のEQ+

 DAWに付属するEQで、これほど多機能なものは恐らくほかには無いでしょう。ゲイン値が上がるに従い自動的にQ幅が狭くなる”Adaptive-Q”や、ワンクリックで特定の周波数帯域をソロで試聴できる機能など、とにかく実践的。以来、Bitwig Studio上ではサード・パーティ製のEQプラグインを使わなくなりました。そのほか飛び道具的な使い方としては、キックをトリガーとしたサイド・チェイン・コンプをシンセ・パッドのハイパス・フィルター周波数にかけるなど、また一味違った演出も可能です。EQ+があれば、できることがさらに広がります。

Delay[ディレイ]

BITWIG Bitwig Studio 4のDelay

 Delayはモジュールが1基/2基/4基の中から好きなタイプを選べますが、自分は特に2基タイプのDelay-2を多用しています。L/Rに同じ4分音符のディレイ・タイムを設定し、Rchだけ微妙にタイミングをずらして広がりのあるディレイを、ボーカルにかけることが多いです。ハイパス・フィルター/ローパス・フィルターも搭載されています。自分はこのDelayをプロジェクトのテンプレートにセットしているほど多用しています

Blur[ステレオ・イメージャー]

BITWIG Bitwig Studio 4のBlur

 モノラルのトラックでパンをL/Rのどちらかに振りたくない、かといってど真ん中に“ドンッ”と配置したくない……そんなときに使えるのがBlurです。モノラルでドライな上モノにステレオの広がりを持たせ、曲中にうまくなじませることができます。ディストーションやモジュレーション・エフェクトに比べると地味かもしれませんが、ミックスの際には大いに活躍してくれる“ 縁の下の力持ち” 的な存在です。

Sampler[サンプラー]

BITWIG Bitwig Studio 4のSampler

 一見シンプルな画面でも、機能は至れり尽くせりのソフト・サンプラーです。ピッチを変えると再生スピードが遅くなる通常モードから、ウェーブテーブル方式を採用したグラニュラー・モードまで搭載。Bitwig Studioに備わる見やすいブラウザーと組み合わせて、あらゆるオーディオ・サンプルをこのSamplerに使用したくなります。グラニュラー・モードで“FREEZE PLAYHEAD”ボタンを押し、オートメーション(自動化機能)を使って再生ポジションを動かせば、曲中のブレイクで使えるような面白いサウンドが作れるでしょう。

Polysynth[シンセ]

BITWIG Bitwig Studio 4のPolysynth

 減算方式のシンセ、いわゆるアナログ・シンセに搭載されているパラメーターをほぼ網羅するソフト・シンセ。シンプルな画面ゆえに、自分はぱっとひらめいた音色をその場でいちから作ることが多いです。2つのオシレーターを同期させるオシレーター・シンク機能を使えば、1980年代風の特徴あるシンセ・リードが作れますし、1オシレーターにつき最大16ユニゾンまで重ねられるので、分厚くて派手なシンセ・パッドも表現できます。フィルターやドライブといったエフェクトも搭載しているので、野太いシンセ・ベースもPolysynth一つで作れます。まさに大活躍するソフト・シンセです!

Bend[MIDIエフェクト]

BITWIG Bitwig Studio 4のBend

 最新版のBitwig Studio 4.1では、8つの“ノートFX”が搭載されました。Bendはそのうちの一つで、指定した時間内においてMIDIノートのピッチ・ベンド情報を送信するプラグインです。よく自分はシンセ・パッドの“隠し味”として、発音時に下からピッチがグライドするように設定するのですが、このBendがあれば、こういった設定も楽に再現可能です。そのほかのノートFXも面白いものばかりですが、それらを使ったサウンド・ライブラリー“Notes In Bloom”も魅力的なので、ぜひ試してみることをお勧めします。

BITWIG Bitwig Studio 4 製品情報

サンレコ・ビギナーズ|音楽制作に役立つ初心者ガイド

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