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ロイヤル・ブラッド『タイフーンズ』、ワンリパブリック『ヒューマン』 〜小泉由香's ディスク・レビュー

 第一線で活躍するエンジニアに毎月お薦めの新作を語ってもらう本コーナー。小泉由香氏の今月のセレクトは、ロイヤル・ブラッド『タイフーンズ』、ワンリパブリック『ヒューマン』 です。

前面にある押しの強いリズム

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ロイヤル・ブラッド『タイフーンズ』(ワーナー・ミュージック・ジャパン)

 ロイヤル・ブラッドはベースとドラムのリズム隊ロック・デュオです。彼らの4年ぶりのアルバムは、ミックス・エンジニアにマティ・グリーンを起用し、ほぼセルフ・プロデュースで制作されました。リズム隊ロック・デュオらしく、適度に太めで押しが強いリズムは前面にガツン!とあり、エフェクト処理されたボーカルが少し後ろにいる王道のロック・バランス。今作はロックだけではなくダンサブルな楽曲もあり、ハード・ロックとダンサブルの落としどころが格好良い! リズム隊を担当している人はもちろん、ハード・ロックやテクノ・ファンク好きな方も楽しめるアルバムです。

空間の広がりを保つ絶妙なレベル

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ワンリパブリック『ヒューマン』(ユニバーサル)

 ワンリパブリックの5年ぶり5枚目のアルバムは、メンバーのブレント・クツレ(b、vc)と、タイラー・スプライが主にプロデュース。ミックス・エンジニアはサーバン・ゲネアとジョン・ナサニエルが担当しています。今作は2019年に発売予定だったのですが、世界的パンデミックの影響で延期となっていました。内容は全13曲で約39分と尺は短いけど盛りだくさん。キャッチーで奇麗なメロディの楽曲が曲間短めでバンバン攻めてきます。エフェクトを多用した細かい仕掛けで場面転換していく楽曲は、ボーカルが全くブレないのと対照的になっているため、変化がより明確になっていてとても楽しいです。気持ち良い空間の広がりを保ったレベルの入れ具合が絶妙なので、ボーカルもメロディもオケの仕掛けもよく分かる、あっという間の39分ですよ!

 

小泉由香

【Profile】マスタリング・スタジオ、オレンジ主宰。音楽愛に裏付けられた丁寧な仕事で信頼が厚い、日本を代表するマスタリング・エンジニア