トム・ミッシュ & ユセフ・デイズ『What Kinda Music』、レディー・ガガ『クロマティカ』 〜小泉由香's Recommend

 第一線で活躍するエンジニアに毎月お薦めの新作を語ってもらう本コーナー。小泉由香氏の今月のセレクトは、トム・ミッシュ & ユセフ・デイズ『What Kinda Music』、レディー・ガガ『クロマティカ』です。

 

太めなドラムが前にいるミックス・バランス
演奏の緊張感をそのまま伝える重いサウンド

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『What Kinda Music』トム・ミッシュ & ユセフ・デイズ(ユニバーサル)

 2年前のデビュー作『Geography』の大ヒットがまだ記憶に新しいトム・ミッシュが、同じ南ロンドン出身のジャズ・ドラマーのユセフ・デイズとコラボ作品をリリース。ミッシュのセルフ・プロデュースでBlue Note Recordsからリリースされています。ミックスはダン・パリーが担当。ミッシュの歌よりも、デイズのどっしりと太めなドラムが前にいるバランスは、演奏の緊張感をそのまま伝える重いサウンドです。楽曲には実験的要素もあり、アシッド・ジャズやファンクをエフェクトやミックス・バランスで夜っぽい雰囲気に仕上げていて面白いと思いました。『Geography』で見せたラフでキラッとした雰囲気と違うトム・ミッシュを楽しんでくださいね。 

What Kinda Music

What Kinda Music

  • Tom Misch & Yussef Dayes
  • オルタナティブ
  • ¥1935

 

キャッチーなポップ寄りのレディー・ガガ
聴きどころ満載でとても元気になれる一枚

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『クロマティカ』レディー・ガガ(ユニバーサル)

 コロナの影響で発売延期となっていたレディー・ガガの最新アルバムがついに発売されました。プロデューサーにはブラッドポップやモーガン・キビーらを起用し、ミックスは主にトム・ノリスやベンジャミン・ライスが担当しています。エレクトロニック・ポップをメインにした本作は、低音部分の腰が少し高めで中高域の成分が多めです。空間系エフェクトを用いて太めに響かせる昨今の流行サウンドと比べると、ドライな仕上がりなのです。歌のバランスが大きめで、キャッチーなポップ寄りのレディー・ガガを聴くのは何年ぶりでしょう。ゲストには、アリアナ・グランデやBLACKPINKのほか、御大のエルトン・ジョンもユニゾンで歌っちゃうなど聴きどころが満載です。とても元気になれる一枚ですよ。

Chromatica

Chromatica

  • レディー・ガガ
  • ポップ
  • ¥2241

 

小泉由香

【Profile】マスタリング・スタジオ、オレンジ主宰。音楽愛に裏付けられた丁寧な仕事で信頼が厚い、日本を代表するマスタリング・エンジニア

www.yukakoizumi.com

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