Lake Street Dive『Obviously』、Whitehorse『Modern Love』 〜エンジニア今本 修's ディスク・レビュー

 第一線で活躍するエンジニアに毎月お薦めの新作を語ってもらう本コーナー。今本 修氏の今月のセレクトは、Lake Street Dive『Obviously』、Whitehorse『Modern Love』です。

ブルーノートで生ライブを観ているような完成度の高さ
原音感が伝わる録音/ミックス

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Lake Street Dive『Obviously』

 ブルックリンを中心に活動する、ジャンルにとらわれない男女混合4ピース・バンド、レイク・ストリート・ダイヴの新作アルバム。高レベルの演奏力を持ち、どこかインコグニートやザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズのようなアダルトな音楽を感じる。結成当時ジョン・レノン・ソングライティング・コンテストで優勝することでバンドの開花が始まり、2015年にはエレクトラ・レコードの創立者、ジャック・ホルツマンが設立したノンサッチ・レコードと契約し現在に至る。

 喉の締まり感やこれでもかというソウルフルなレイチェル・プライスのリード・ボーカルが印象的。コーラスに混じって微かに聴こえるボコーダーの使い方、そして決め打ち的に現れるブラスも加わり、完成度の高さはまるでブルーノートで生ライブを観ているかのよう。原音感が伝わる録音/ミックスである。

 

長年インディー・ロック界を支えるエンジニアによる
ドラムの出音/録音/ミックスがど真ん中の好みの音

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Whitehorse『Modern Love』

 カナダの良質なフォーク/インディー・ロック界で活躍する夫婦デュオ、ホワイトホース。カナダのポラリス賞などの受賞歴もある国民的アーティストだ。音楽性はほのかなビートルズイズムを覚える郷愁感と、どこかで触れたような耳なじみの良いフレーズやメロディ、2人の絡み合う歌声の心地良さがポイント。

 長年インディー・ロック界を支えるエンジニア、ガス・ヴァン・ゴーのドラムの出音/録音/ミックスがど真ん中の好みの音だった。ヒッポー・キャンパスと同様に、ホワイトホースもドラム録音のリファレンスにしようと思う。色彩感のあるジャケットは、部屋映えもしそうだ。

 

今本 修

【Profile】DOGLUS MUSIK主宰。クラブ・ミュージックを熟知した音作りに定評がある一方、ロックの分野でも手腕を発揮するエンジニア