作曲アシスト機能や作業効率を上げる時短機能を搭載 〜 レコーディングから制作まで幅広く対応
【製品概要】
1989年に発売開始したMac/Windows用のDAW。64ビット浮動小数点のミキシング・エンジンを採用し、レコーディングから制作まで幅広く対応します。コードトラックやスケールアシスタントをはじめとした作曲アシスト機能や時短機能、充実したサンプルやエフェクトを多数搭載。グレードはCubase Elements 12(オープン・プライス:市場予想価格13,200円前後)、Cubase Artist 12(オープン・プライス:市場予想価格35,200円前後)、Cubase Pro 12(オープン・プライス:市場予想価格62,700円前後)が用意されています。
【製品ラインナップ】
Cubase LE(対象製品にシリアル付属)|Cubase AI(対象製品にシリアル付属)|Cubase Elements 12:13,200円前後|Cubase Artist 12:35,200円前後|Cubase Pro 12:62,700円前後
※オープン・プライス(記載は市場予想価格)
【動作環境】
Mac:macOS 11以降、INTEL Core I5以上またはApple Siliconのマルチコア・プロセッサー
Windows:Windows 10、11 (いずれもVer.21H2以降、64ビット)、INTEL Core I5以上またはAMDのマルチコア・プロセッサー
共通:8GBのRAM、35GB以上のディスク空き容量、1,440×900以上のディスプレイ解像度(1,920×1,080を推奨)
近藤圭一が語るCubaseの魅力
【Profile】SUPA LOVE所属の作詞/作曲/編曲家。代表作にAKB48「シュートサイン」、宮野真守「ぼくはヒーロー」(NHKみんなのうた)、日向坂46「青春の馬」(TV主題歌)、乃木坂46「悲しみの忘れ方」(映画主題歌)など。小学校校歌も手掛ける。
時代に合わせた進化を遂げジャンルを問わず柔軟に素早く対応。制作に行き詰まったときに打開してくれるサポート機能も充実
毎日のように作曲、編曲のお仕事でCubaseを使っていて思うのは“本当になんでも対応できるなぁ”ということ。ポップス系、バンド系、エレクトロ系と、どんなジャンルでも柔軟に素早く制作できます。それは作曲、編曲、ミックス・ダウンといったすべての工程における豊富な機能、どこまでもかゆいところに手が届くショートカット設定、時代に合わせて追加され続ける新機能などに裏付けされている感想のように思えます。
Cubaseは非常に高機能なDAWなので、制作におけるソフトウェア側での制限は無いと言っても過言ではないと思います。
一方で、必要なソフト音源やエフェクター・プラグインがひと通り初めから付属しており、指定したスケールに沿ったMIDIノートを打ち込むことができるスケールアシスタントなど、制作に行き詰まったときに打開してくれるようなサポート機能も充実していますので、これから曲作りを始めたいという初心者の方にもお薦めです。
そして、2022年に発表されたCubase 12からはライセンス・システムが刷新され、これまでは必須だったUSBドングルが不要になったことで、より便利に進化しました。(個人的にめちゃくちゃうれしい!!)
初心者の方から上級者の方まで幅広く、そして末長く使っていけるDAWだと思いますので、ぜひCubaseを使って自由に思い描いた音楽を作っていってください!
Cubase 12のおすすめ付属ソフト&プラグイン
HALion Sonic SE 3[シンセ]
僕は有償版のHALion Sonic 3を持っていますが、制作では無償版のSEを使うことも多いです。マルチ音源でさまざまな音が収録されているので、初心者の方でソフト音源をあまり持っていない場合にとても便利だと思います。個人的に、メロディの打ち込みにはプリセットの“CP 2006”をよく使っています。また、ほかのストリングス音源を打ち込む際にアタックが遅れて聴こえる場合には、プリセットの“String Ensemble 1”をうっすらレイヤーして使ったりしています。
Verve[ピアノ音源]
Cubase 12から新しく搭載されたピアノ音源で、前述のHALion Sonic SE 3上で動作します。ロサンゼルスのヤマハ・スタジオで録音されたサンプルは独特の柔らかいサウンドで、気持ち良い質感が得られます。プラグイン画面の上部に用意されたTEXTUREという項目では、さまざまなプリセットからピアノの音色にレイヤーするサウンドを決めることが可能です。ここで付加できる音色は独特で、特にアンビエントな雰囲気のトラックなどに重宝します。
Quadrafuzz v2[マルチエフェクト]
ファズと付くので、過激なひずみを生むプラグインと思われそうですが、実はかなり汎用性の高いプラグインです。ナチュラルなものから過激なものまで含む5種類のひずみを、4分割した帯域別に設定できます。例えばドラムにインサートして、中域にはナチュラルなサチュレーションを加えつつ、高音にはビットクラッシャーのようなブチブチしたサウンドを付加するということが一画面で完成します。各帯域幅や音量が調整可能で、ざっくりしたEQも、エフェクト音と原音を混ぜて隠し味的に使うこともお勧めです。
Cubase 12のおすすめ機能
ピッチやリズムを素早くエディットするVariAudio
Cubaseの数ある機能の中でも重宝している、ボーカルや楽器のピッチ、リズムを編集する機能です。VariAudioはショートカットを駆使することで、素早く期待した通りのエディットが可能になるので、時間との勝負の制作中にはいつも助けてもらっています。また、現在バージョン3となっており、編集後の音質が納品可能なレベルで維持されている点も見逃せません。あらかじめ打ち込んだMIDIを参照することも可能です。
プラグインいらずのEQラック
EQは制作時に多用するエフェクトの一つではないでしょうか? DAWにおいてEQする場合、トラックにEQプラグインを挿し、その後プラグインの画面を開いて処理していくと思います。しかし、Cubaseのミキサーには初めから各トラックにチャンネルストリップとしてEQが付いているので、わざわざインサートしなくても処理が可能です。例えば、ローカットだけしたい場合も簡単に素早く操作できますので、とても便利だと思います。
瞬時にハモりを作れる移調設定
僕は普段歌モノを作ることが多く、作成したメロディはCubaseの画面にMIDIで打ち込んでいきます。その後、編曲する過程でハモりラインを作っていくのですが、この際にめちゃくちゃ便利なのが移調設定です。楽曲のキーと移動先を半音単位で指定することで、瞬時にハモりラインを作成できます。あとは実際に聴きながら、思っている音と異なる部分を微調整するだけ。歌だけでなく、ストリングスやブラス・アレンジでも重宝しています。
アイディアを即時に試せるサンプラートラック
プロジェクト上に録音した演奏をサンプラーに取り込みたい場合、製品によっては一度オーディオ・ファイルとして書き出してから読み込む手順が必要な場合がありますが、Cubaseに搭載されているサンプラートラックを使えば、その手順が不要です。プロジェクトの波形を“右クリック”→“サンプラートラックを作成”という操作だけで即座にサンプリング後の状態にできるので、アイディアをすぐに試すことが可能です。
遠隔レコーディング機能VST Connect SE
遠隔地にいるミュージシャンの演奏をリアルタイムに自分のCubase上に録音できる機能です。相手がパソコン、オーディオ・インターフェース、楽器やマイクなどを持っていれば、無償の専用ソフトをインストールするだけでレコーディングができます。僕は有償版のVST Connect Proを使用していますが、機能比較を見る限り無償版のSEでも仮歌の録音などには十分だと感じますし、MIDI録音にまで対応しているのには驚きです。
時短を可能にするキーボードショートカット
Cubaseでは大部分の機能がキーボードショートカットとしてカスタム登録可能です。また、マクロ機能も付いており、一つのキーを押すだけで複数のショートカットを連動させるという使い方もできます。よく使う機能はどんどん登録して、作業時間を短縮していきましょう。もちろん主要な機能については初めから設定されているので、まずはそれを覚えて、慣れてきた頃に自分で使いやすいように設定してみてください。