Colloboh 〜モジュラー・シンセの沼にハマったビート・メイカー

Colloboh 〜モジュラー・シンセの沼にハマったビート・メイカー

MiniBruteがきっかけでモジュラー・シンセの沼にハマったんだ

世界の各都市で活躍するビート・メイカーのスタジオを訪れ、音楽制作にまつわる話を聞く本コーナー。今回登場するのはナイジェリア出身で、現在はロサンゼルスを拠点とする気鋭ビート・メイカーのコロボーだ。モジュラー・シンセを中心とした制作スタイルで、エレクトリックかつリズミックなビートを展開。近年はマシュー・デイヴィッド主宰のLeaving Recordsから、EP『Entity Relation』をリリースしている。

キャリアのスタート

 僕はナイジェリア出身で、7歳のときにアメリカへ移住した。中学生のころはトランペットやパーカッションを演奏し、大学生のころはヒップホップ・グループを結成してラッパーとビート・メイカーをやっていたんだ。そこから、ソロの作品も作るようになっていったんだよ。

ロサンゼルス北東エリアに位置するコロボーのプライベート・スタジオ。モニター・スピーカーはGENELEC 8040Bを使用する。APPLE MacB ook Proには、ABELTON Liveが立ち上がっているのが確認できる

ロサンゼルス北東エリアに位置するコロボーのプライベート・スタジオ。モニター・スピーカーはGENELEC 8040Bを使用する。APPLE MacB ook Proには、ABELTON Liveが立ち上がっているのが確認できる

モジュラー・シンセについて

 最初はIMAGE-LINE FruityLoops(現在のFL Studio)を使っていたけど、そこからARTURIAのアナログ・モノフォニック・シンセMiniBruteを使うようになった。このMiniBruteがきっかけで、僕はモジュラー・シンセの沼にハマっていったんだ(笑)。ある日YouTubeでMiniBruteのレクチャー動画を検索していたら、たまたまMiniBruteでモジュラー・シンセを操作している動画を見つけた。このときのモジュラー・シンセの音に僕は衝撃を受けたんだよ。初めて購入したモジュラー・シンセはオシレーターのMUTABLE INSTRUMENTS Braidsで、今でも使用している。同時期には、グラニュラー・オーディオ・プロセッサーのMUTABLE INSTRUMENTS Cloudsやエンベロープ/LFOのMAKE NOISE Functionもゲットしたね。お気に入りのモジュラーは、オーディオ・リピーターのMAKE NOISE Mimeophon。スタッター・エフェクトのような激しいサウンドを作るときに活躍するよ。

デスクの正面に設置されたユーロラック。MUTABLE INSTRUMENTS Plaits、Braids、SYNTHESIS TECHNOLOGY E340 Cloud Generator、XAOC DEVICES Batumi、INTELLIJEL Quad VCA、Dual ADSR、Triatt、ALYSEUM Matrix II、ENDORPHIN.ES Furthrrrr Generator、ROSSUM ELECTRO-MUSIC Assimil8orなどが格納されている

デスクの正面に設置されたユーロラック。MUTABLE INSTRUMENTS Plaits、Braids、SYNTHESIS TECHNOLOGY E340 Cloud Generator、XAOC DEVICES Batumi、INTELLIJEL Quad VCA、Dual ADSR、Triatt、ALYSEUM Matrix II、ENDORPHIN.ES Furthrrrr Generator、ROSSUM ELECTRO-MUSIC Assimil8orなどが格納されている

ビート・メイキングの音源

 ドラムには、大抵ROSSUM ELECTRO-MUSICのサンプラー・モジュールAssimil8orを用いる。サンプリング時の音質がとても良くて、ピッチ・シフトやパンニング機能も付いているんだ。各チャンネルはリアルタイムにCVコントロールできるし、ドラム・キットを外部のSDカードへオリジナル・プリセットとして保存することもできる。メロディを作るときはデジタル・オシレーター・モジュールのMUTABLE INSTRUM
ENTS Plaitsや、SYNTHESIS TECHNOLOGY E340 Cloud Generator、ENDORPHIN.ES Furthrrrr Generatorといったオシレーターを使っているよ。グリッチっぽい音が欲しいときは、ROSSUM ELECTRO-MUSIC Panharmoniumを使用する。DAWはABLETON Liveだけど、録音するためだけに用いているよ。

コロボーが「とにかく素晴らしいサウンドなんだ」と語るのは、シンセのU・D・O Super 6 Desktop。ARTURIA Keystep Proで操作しているそう

コロボーが「とにかく素晴らしいサウンドなんだ」と語るのは、シンセのU・D・O Super 6 Desktop。ARTURIA Keystep Proで操作しているそう

シーケンサーについて

 MIDIコントローラーのARTURIA Keystep Proで、全トラックのシーケンスを組むんだ。今はARTURIA Beatstep Proもあるから、さらにシーケンスの可能性が広がった。どちらも操作性がシンプルだから気に入っている。

オーディオ・インターフェースは18イン/20アウトのARTURIA AudioFuse Studio

オーディオ・インターフェースは18イン/20アウトのARTURIA AudioFuse Studio

ビート・メイカーとしてのポリシー

 急がないことだ。たまに曲作りをしていて、何も思いつかないときだってある。そんなときは、友だちと遊びに出かけることもあるよ。本当はもっとプレッシャーを感じて、急いで曲を作るべきなのかもしれないけれどね。

若いクリエイターへのアドバイス

 とにかく曲作りを始めることだね。ビギナーには僕と同じような機材は必要ない。僕にとってモジュラー・シンセは、ライブ・パフォーマンス時に見栄えがいいからという理由もあって使っている。実際には、Liveで曲を作った方がいろいろ自由で楽なんだ(笑)。だから、とにかく自分が持っている機材で曲作りを始めればいい。誰かに許可されることを待つ必要はないんだから。

SELECTED WORK

『Entity Relation』
コロボー
(PLANCHA)

 パンデミック中に制作した作品。人、地球、そしてさまざまな物体と関係性をコンセプトにしている。これらをメロディやリズムで表現したんだ。

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