高機能なソフト音源/プラグイン・エフェクトを数多く備え、パターンを軸とした自由な制作システム
【製品概要】
FL Studioの心臓部とも呼べるユニークなステップ・シーケンサーで作成したパターンを、プロジェクト画面の“プレイリスト”に並べて楽曲制作が行えるDAW。パターンを基準とした制作スタイルのため、ループ中心のダンス・ミュージックからヒップホップ/トラップ系のクリエイターなどに人気です。Mac/Windowsの両OSで使用可能。
ラインナップには、オーディオ機能が省かれたエントリー・グレードのFL Studio 20 Fruity(17,600円)、オーディオ/シーケンス機能や基本的なプラグインが備わったFL Studio 20 Producer(28,600円)、Producerに7つのプラグインを追加したFL Studio 20 Signature(37,400円)、IMAGE-LINEのすべてのプラグインを収録したFL Studio 20 All Plungins Bundle(120,000円)があります。
パッケージ版ではSignature Bundleと解説本のセットになったFL Studio 20 Signature 解説本バンドル(39,380円)や、クロスグレード版(26,180円)も用意。
【動作環境】
Mac:macOS X 10.13以降、INTEL Core I5以上のプロセッサー、Rosettaを使用するAppleシリコン、1,280×800のディスプレイ解像度、Core Audio準拠のオーディオI/Oを推奨
Mac:macOS 10.13.6以降、INTELプロセッサーもしくはAPPLE Silicon M1をサポート
Windows:Windows 10以降(64ビット)INTELもしくはAMDプロセッサー
共通:4GB以上の空きディスク容量、4GB以上のRAM、XGA以上の解像度のディスプレイ、インターネット接続環境
Pulp Kが語るFL Studio 20のココが好き!
【Profile】1997年生まれのビート・メイカー/ループ・メイカー。TAEYOやJP THE WAVYなどの楽曲を手掛ける。ティンバランドが主宰する“Beat Club”のVIPメンバーでもあり、世界的に活動している。
低域の鳴りがほかのDAWと比べて迫力があるため、EDMやトラップなどのダンス・ミュージック制作に最適
自分がビート・メイキングを始めようと考えていたとき、アメリカに住む友人に勧められたのがFL Studioでした。それからヒップホップ/トラップのビートを作るときはいつもFL Studioを愛用しています。
全体的なFL Studioの使用感としては、一言で言うと、まるで“ゲーム感覚”で作曲できるDAWソフトだと感じます。また、各パラメーターに対応するボタンやノブ、画面レイアウトなどは視覚的に分かりやすく、F1キーを押せばマニュアルが表示されるため、初めてDAWを扱う方でも直感的に操作できることでしょう。
FL Studioの特徴としては、低域の鳴りがほかのDAWに比べてより迫力を感じるということ。そのためEDM系のダンス・トラックはもちろん、ROLAND TR-808系ドラム・キットを使ったトラップ・ビートなどを作りたい場合にも、非常に適したDAWだと思います。また、MIDIノートを打ち込むためのピアノロール画面が大きいので、MIDIキーボードなど使わず、マウスを使ってMIDIを打ち込むスタイルの方にとっても使いやすい仕様です。
付属するエフェクト・プラグインは多種多様で、どれもクオリティが高く、FL Studioさえ購入すれば、それだけで格好良い曲が作れてしまいます。海外ユーザーの中には、グラミー受賞経験のある著名ビート・メイカーも多いので、ぜひ試してみるとよいでしょう。
お気に入りポイント1:Channel Rack
Channel RackはFL Studioのユニークな部分の一つ。ソフト音源やオーディオ素材、オートメーション・クリップなどを管理できます。デフォルトではステップ・シーケンサーが表示されていますが、切り替えボタンを押せばピアノロール・オーバー・ビュー画面にもなります。自分は主にこのステップ・シーケンサーをドラムの打ち込みに使用しており、直感的かつ素早く理想のドラム・パターンを打ち込むことができます。個々のドラム・パーツの編集も非常に簡単なので、ビギナーでもすぐに扱えるでしょう。
お気に入りポイント2:大きなピアノロール画面
ピアノロール画面とは、リズム、ピッチ、音の長さという3つの要素を視覚的に分かりやすくピアノの鍵盤に表したもので、ここにMIDIと呼ばれるノートを打ち込みます。前述しましたが、FL Studioのピアノロール画面はほかのDAWと比べて大きく設定されているため、パソコンやラップトップに備わっているマウス/キーボードでのMIDIの打ち込みが非常に楽です。さらに、スケール機能も搭載されているので、音楽理論があまり分からなくても、簡単に作曲することができます。さまざまなスケールが用意されているので、自分の好みに合ったものを選ぶことも可能です。
お気に入りポイント3:Mixer
ミキサーとはボーカルやギター、ベース、ドラムなどの各チャンネルやエフェクトなどのサウンドをミックス/調整する際に使用するものです。FL StudioのMixerでは、画面右端に各チャンネルの入出力設定メニューやプラグイン・エフェクトのインサート・スロット、3バンドEQなどを搭載しており、非常にシンプルで分かりやすいレイアウトとなっています。最新版のFL Studio 20.8では、レベル・メーター部分の輝度が上がり、より視認性も向上しました。各チャンネルにはミュート/ソロ、パン、位相反転、録音ボタンだけではなく、プラグインの遅延補正ボタンも備えられているもポイントで、ビギナーでも感覚的に操作できます。
FL Studio 20のおすすめ付属プラグインを紹介!
Fruity Parametric EQ 2[イコライザー]
EQとは音を補正するためのエフェクト。近年では積極的な音作りにも用いられています。Fruity Parametric EQ 2では7つのポイントで音を調整でき、画面内に周波数帯域が表示されるため、ビギナーでも非常に分かりやすく処理できるでしょう。自分はよくローエンドをカットするときに重宝しています。プリセットもあるので、いろいろ試してみて、EQ処理のコツを学ぶこともできるのでお勧めです。
Gross Beat[マルチエフェクト]
Gross BeatはFL Studio 20 Signatureに付属するエフェクトで、ゲートやグリッチ、リピート、スクラッチ、スタッターといったクリエイティブなエフェクトを施せます。特に自分は“1/2 Speed”というプリセットを使用することが多いです。これはリル・ウージー・ヴァートの「XO Tour Llif3」という曲のビートでも使用されており、再生スピードが半分になるため、新たな展開を加えることができます。自由にプリセットを編集して独自の設定を作ることが可能なので、音作りの幅が広がるでしょう。
Fruity Delay 2[ディレイ]
ディレイとは“遅延”という意味。Fruity Delay 2を使うことによって、音声を繰り返し再生し、山びこのような効果を再現することが可能です。Fruity Delay 2もまた非常にシンプルな作りとなっているため直感的に使用することができ、自分はほぼすべてのビートに使っています。前述したGross Beatと併用することで、思わぬサウンド効果を作り出すことができます。
Fruity Chorus[コーラス]
コーラス・エフェクトのFruity Chorus。音の変化がはっきりと分かるため、自分はよく音の厚みを出したいときに使うことが多いです。特にギターやフルートなどの生音には必ずFruity Chorusを使用して、サウンドをより際立たせるようにしています。あまり深く考えずにそれぞれのつまみをいじることで理想のサウンドに近付けるでしょう。後述するFruity FlangerやFruity Phaserといったエフェクトと併用することが多いです。自分のサウンド・メイキングには必須と言えるプラグインかもしれません。
Fruity Flanger[フランジャー]
フランジャーとはいわゆる“ジェット・サウンド”という効果のことで、音に独特な金属的うねりを加えることができます。Fruity Chorusと同様に、Fruity Flangerで音に厚みを付け加えることができ、各つまみを直感的に操作することでサウンド・メイキングが可能です。Fruity Chorusのあとに、さらにFruity Flangerを使うこともあります。自分がFruity Flangerを使用するときは、大体内蔵のプリセットを用いており、その後DEPTHノブやDELAYノブを調整し、理想のサウンドに近付けていきます。
Fruity Phaser[フェイザー]
フェイザーはフランジャーと似たようなエフェクトで、原音と位相のずれた音をミックスしてシュワシュワとしたサウンドを作り出せます。自分はFruity Chorus、Fruity Flangerと同様に、Fruity Phaserをサウンドに厚みを付け加える目的で使用しており、特にシンセ・パッドなどに対して使うことが多いです。サウンドに動きを加えたいときにも使えるでしょう。Fruity PhaserのあとにGross BeatやFruity Delay 2を併用すると、さらに独特なサウンド変化させることができます。いろいろなエフェクトを重ねることで、自分なりのサウンド・メイキングを楽しんでみてください!