【2023年版】ABLETON Liveを詳しく解説 〜かごめPのおすすめ付属ソフト&機能

ABLETON Liveを詳しく解説 〜かごめPのおすすめ付属ソフト&機能

多彩な機能をシンプルな操作性で提供 〜 制作からライブ・パフォーマンスまで対応

【製品概要】

 国内外で幅広いジャンルのクリエイターが使用する、ベルリン生まれのDAWソフト。オーディオ・サンプルやMIDIシーケンスを含んだ“クリップ”をタイムラインに沿って並べるアレンジメントビューと、各トラックのスロットに縦に並べるセッションビューの2画面で構成されます。多くのMIDIコントローラー/キーボードに対応しているのもポイント。約5GBの音源が付属するLive Intro(10,800円)、約10GBの音源が付属するLive 11 Standard(48,800円)、約70GBの音源が付属するLive 11 Suite(80,800円)の3種類があります。

ABLETON Live 11 Intro
ABLETON Live 11 Standard
ABLETON Live 11 Suite
左からLive 11 Intro、Live 11 Standard、Live 11 Suite

【製品ラインナップ】
Live 11 Lite(対象製品にシリアル付属)|Live 11 Intro:10,800円 Live 11 Standard:48,800円|Live 11 Suite:80,800円 *オープン・プライス(記載は市場予想価格)

【動作環境】
Mac:macOS X 10.13~13、INTEL Core I5以上またはAPPLE M1プロセッサー
Windows:Windows10 Ver.1909以降、Windows 11、INTEL Core I5以上またはAMDのマルチコア・プロセッサー
共通:8GBのRAM、オーソライズに使用するインターネット接続環境

かごめPが語るLiveの魅力

かごめPが語るLiveの魅力

【Profile】音大卒業後、レコーディング・スタジオで働く傍ら、2009年にボカロPとして活動を開始。現在、ボカロPとしての活動以外にも、さまざまなアーティストのミックス/エンジニアリングを手掛けている。

“曲作り中の試行錯誤”をスピーディに楽しめるDAW。ドラッグ&ドロップで多くの操作が完結し使う人を悩ませない

 ABLETON Liveを最初に使ったのは20年近く前。バージョン3か4の頃でしたが、当時はループ素材を並べて曲を作ることがメインの“曲の骨格を作るのが非常にスピーディなDAW”という印象でした。今では一般的になりましたが、当時から1画面ですべて完結する画面構成や、シンプルで手軽な単機能サンプラーを導入していたのも画期的でした。

 それから10年以上経ち、バージョン9で久々に触れたLiveは、当時の“スピード感”はそのままに“何でもできるじゃん!”という印象へと進化していました。特に強く感じたのは、“曲を作ることが快適”というもの。機能は多いのに、その複雑さを全く感じさせない構造をしているので、ソフトウェアの使い方や機能を覚えるという、曲作りに直接関係ない部分の負荷が非常に低くなっています。

 また、“曲作り中の試行錯誤”が非常に簡単なのも特徴です。意図して設定を変えない限り、プロジェクト全体のテンポを変えると、そのプロジェクトに含まれるすべての要素のテンポが追従し、シンセもエフェクトもドラッグ&ドロップで即座に追加や差し替えが可能。“なんかしっくり来ない”と思ったら、悩むより先に曲のあらゆる部分を変えて試行錯誤を楽しもう……”開発者のそんな声が聞こえてくるよう。

 総じて“使う人を悩ませない”、そんなDAWがABLETON Live。使っていて楽しいんです!

Liveのおすすめ付属ソフト&プラグイン

Channel EQ[イコライザー]

Channel EQ

 Live 10.1から付属するようになったイコライザー・デバイスのChannel EQは、Live Intro以上のエディションに付属している3バンドEQです。シンプルな見た目にもかかわらず、必要な機能が集約されているため、非常に“分かっている”EQだと感じます。僕は何気なく挿してみて“え、マジで!?便利じゃん!”と思わず叫んでしまったほど。ここでは細かい説明は省略しますが、初心者から上級者まで、等しくお勧めできるEQです。

Wavetable[シンセ]

Wavetable

 最先端のウェーブテーブル・シンセが、最上位エディションのLive Suiteには標準で付属します! 分厚いベース、派手なシンセ・リフ、不気味なアンビエント音など、さまざまなプリセットも用意され、近年のシンセに求める大体の要件はこれ一つで済んでしまうほどの実力の持ち主。Live専用コントローラーPush 2でのフィジカル・コントロールも可能です。シンセ選びに困ったらまずWavetable! 心強い存在です。

DS Kick[シンセ]

DS Kick

 ダンス/エレクトロニック・ミュージックでは必須ともいえるROLAND TR-909やTR-808系リズム・マシンのキックを生成できるデバイスです。Live Suiteで使用可能。ハウスや2ステップに向いている歯切れのいいキックから、トラップなどで使うような低音が響き渡るキックまで、自由自在に作れます。また、ロックなサウンドにシンプルな音のキックを薄く重ねて低音を補強するなど、縁の下の力持ち的な用途でも使えるデバイスです。

Liveのおすすめ機能

プロジェクト全体のテンポが追従

プロジェクト全体のテンポが追従

 Liveの“気軽にいじっていい”ポイントその1。特に個別の指定をしない限り、Liveのプロジェクトは全体のテンポを変更すると、MIDI/オーディオを問わず、プロジェクト内に含まれるすべての要素のテンポが追従します。“曲全体のテンポを少し変えたいな”という局面は意外とあります(特にローテンポな曲ほど1BPM単位での調節の重要性は上がります)。ある程度曲の骨格ができてくると、テンポを変更するか悩みはじめることもありますが……それを軽い気持ちで試せるんです。

メーカー各社との共同開発デバイス

メーカー各社との共同開発デバイス

 A|A|Sのアナログ・シンセAnalogや、SOFTUBEのアンプ・シミュレーターAmp、Cytomicのバス・コンプレッサーGlue Compressorなど、他社と共同開発されたデバイスが多く入っています。標準デバイスとは一味違うサウンドで、Liveの音作りの幅をさらに広げてくれるでしょう。お気に入りはGlue Compressor。SSLのバス・コンプレッサーのシミュレートで、ドラム・バスやマスターに挿すと“あの有名曲のような質感!”と感動が得られます。

1画面ですべてが完結する画面構成

1画面ですべてが完結する画面構成

 初期からずっと“1画面ですべてが完結する操作画面”を採用しているのも特徴。常にプロジェクト全体を把握しながら曲作りができます。加えて、“トラックのプロパティが右側”“フェーダーが並ぶミキサー画面が無い”など、独自の画面構成は、使えば使うほど理に適った配置だと実感。デバイスは画面下部にモジュール形式で表示され、1画面でシンセの操作からエフェクトまで完結するので、アイディアを思いついてから実現するまでが速いです。

MIDIデバイスを組み合わせたコード進行制作

MIDIデバイスを組み合わせたコード進行制作

 MIDI情報にさまざまな変更を加えるMIDIデバイスは非常に便利。例えば、指一本でコードの響きを得られるようになる“Chord”や、適当に鍵盤をたたいても不協和音にならないようにする“Scale”。単品でも便利なこの2つを同時に使うと、“指一本で奇麗なコード進行を作る”という効果が生まれます。鍵盤を弾くのが苦手な人も、パッド型のMIDIコントローラーを活用して縦横無尽なコード進行を作ることができるのです。

ドラッグ&ドロップとお気に入り管理

ドラッグ&ドロップとお気に入り管理

ドラッグ&ドロップとお気に入り管理

 Ableton Liveの“気軽にいじっていい”ポイントその2。Liveはドラッグ&ドロップ(またはダブル・クリック)でエフェクトや音色を追加、差し替えできるので、プロジェクトにそれらを追加するときの心理的なハードルがとても低いです! また、画面左上のコレクションに、お気に入りを“何でも”保管できます。音色やエフェクト、複数のエフェクトをまとめたチェイン、MIDIクリップまで! もちろん、これらの保存もドラッグ&ドロップで行えます。

常に機能説明してくれるインフォビュー

常に機能説明してくれるインフォビュー

 使っていて何か操作に迷ったら、画面左下に注目! ここは“インフォビュー”と呼ばれるスペースで、現在マウス・カーソルを置いている要素の説明が常に表示されます。DAWの操作で“これ何だっけ?”となることはよくありますが、そんなときはここを見れば一発で解決。マニュアルを開く必要がありません。機能が便利だと感じたら、対応するショートカットも案内してくれます。どんなにLiveを使い慣れても手放せない機能です。

ABLETON Live 製品情報

サンレコ・ビギナーズ|音楽制作に役立つ初心者ガイド

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