“声がリアル過ぎる!”と巷で話題のAI技術搭載歌声合成ソフト=Synthesizer V。ボカロ曲制作へ使用するイメージが強いかもしれないが、実はナチュラルな仮歌を簡単に作れたりと、“音楽一家には一台あるといい!”便利な楽器だ。今回は音楽家の渡部潤一氏にSynthesizer Vの調声Tipsを3つ紹介してもらう。
渡部潤一氏からごあいさつ
こんにちは、JSPA(日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ)理事で、音楽プロデューサー、エンジニア、マニピュレーターとして活動する渡部潤一です。
Synthesizer VのTips、今回のテーマは“クラフトワーク(Kraftwerk)風のロボット声を作ってみよう!〜男声編”です。
Synthesizer Vで男声のロボ声を作ってみよう!
前回に引き続き、今回は男声のロボット声を作ってみたいと思います。このために使うのは、Synthesizer V AI ついなちゃん。完成したロボ声は、ついなちゃんとは思えない男声っぷりなので聴いてみてください!
今回はロボット声を5trを重ねたボーカルを用意しました。異なる響きの5trの内訳をチェックすることで、男声ロボ声の作り方を紹介したいと思います。
1tr目は、装飾系のトラックです。少しピッチが高く、音量は小さめです。男声でも発音を聴かせるために、少し高いピッチにするのがポイント!
2tr目は、メインのボーカルです。B2のかなり低いシの音(Synthesizer Vは中央のドをC4表記)。ブレスを大幅に下げて、ジェンダーの値を大幅に上げて太くしています。
3tr目は、ブレスっぽさもあり、2tr目よりも低いピッチのトラックです。パラメーターの方はブレスを下げて、ジェンダーも若干下げることにより、発音を担保させた設定にしています。
4tr目は、ガビガビと歪んだトラックです。このロボ声もクラフトワークっぽいですよね。3tr目よりもさらに低いピッチにしているほか、ブレスを下げています。
5tr目は、ピッチは低めですが装飾系のトラック。テンションを最大限に上げて、ブレスを大幅に下げて、ジェンダーを上げることで、鼻をつまんだような声質にしています。
こんな感じでクラフトワーク風のロボ声は簡単に作れてしまいます。皆さんもぜひ試してみてください!