“声がリアル過ぎる!”と巷で話題のAI技術搭載歌声合成ソフト=Synthesizer V。ボカロ曲制作へ使用するイメージが強いかもしれないが、実はナチュラルな仮歌を簡単に作れたりと、“音楽一家には一台あるといい!”便利な楽器だ。今回は音楽家の渡部潤一氏にSynthesizer Vの調声Tipsを3つ紹介してもらう。
渡部潤一氏からごあいさつ
こんにちは、JSPA(日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ)理事で、音楽プロデューサー、エンジニア、マニピュレーターとして活動する渡部潤一です。
Synthesizer VのTips、今回のテーマは“クラフトワーク(Kraftwerk)風のロボット声を作ってみよう!〜女声編”です。
Synthesizer Vでロボ声を作ってみよう!
今回はロボット声を3trを重ねたボーカルを用意しました。異なる響きの3trを重ねることで、厚みの感じられるロボット声を作っています。
この3trの内訳をチェックすることで、ロボット声の作り方を紹介していきたいと思います。
1tr目は、女声っぽいメイン・ボーカルです。テンションのパラメーターを最大限上げることで、前に張り付くようなサウンドのボーカルを作ることができます。
2tr目は、メインより2オクターブ下のトラックです。ここでもテンションのパラメーターを上げて、ジェンダーを下げて少し細目の声を作っています。ピッチの低い音でジェンダーを上げると滑舌が悪くなるので、それを防ぐために下げています。
3tr目は、メインより1オクターブ下のトラックです。テンションのパラメーターを最大限上げて、ブレスを大幅に下げて、ジェンダーを思いっきり上げて太く男声らしい声にしています。
機械っぽい声を出すコツは、ピッチベンドでピッチを平坦にすること(画面下部のパラメーター>ピッチベンド>好みのツールを選択して描く)。また、メインとは異なるジェンダーの設定にして、オクターブ下のトラックも重ねていくことで音圧アップできます。
Synthesizer Vはナチュラルな声質を作れることが持ち味ですが、使い道はそれだけではなく、ガッツリ加工を楽しみたいトラックメイカーの方々にもおすすめです。ぜひ、皆さんもSynthesizer Vでロボット声を作ってみてください!