TRILL DYNASTY 〜全米1位の楽曲を手掛けるビート・メイカー/プロデューサー【特集】TRAP MAKERS LAB

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達成できる目標を立てて勝ち癖を付け
気合いと根性で“毎日キーボードとセックスする”

トラップ・ミュージックを中心に制作する国内ビート・メイカーたちに、音楽制作を始めたきっかけやこだわりを聞いていく「TRAP BEAT MAKERS」。特集冒頭の鼎談にも登場したTRILL DYNASTYは、元DJの経歴を持つ茨城出身のビート/ループ・メイカー/プロデューサー。自身が手掛けたリル・ダーク「The Voice」で全米ビルボード1位を獲得し、国内ではCz TIGERや¥ellow Bucksなどに楽曲提供している。

Instagram@trilldynastybeatz.jp

 RECENT WORK 

「The Voice」 (『The Voice』収録)
リル・ダーク
(Only The Family/Alamo/Geffen)

 ビート・メイキングを始めたきっかけ 

 もともと2015年ごろから渋谷界隈でDJをやっていて、自分のDJミックスを20作品くらいリリースしていたんです。最初は洋楽ヒット・チャートに沿った内容だったのですが飽きてしまい、次第にグッチ・メインなどアーティスト縛りでのDJミックスを作るようになりました。そのとき、“このビート格好良い”と思ったのがゼイトーヴェンの曲だったんです。それで音楽制作に興味を持つようになりました。同時に自分の周りに居たビート・メイカーたちがどんどん辞めていってしまい、周囲で曲を作れる人が居なくなったことも大きな理由です。そして“ビート・メイカーになろう!”と決めた次の日から、 新規のDJ出演オファーをすべて断り、 安いコンピューターとスピーカー、MIDIキーボードのAKAI PROFESSIONAL MPK Mini、IMAGE-LINE FL Studioを購入して音楽制作を始めたんですよ。ちなみにゼイトーヴェンの記事が載った2018年4月号のサンレコは、ダッシュで本屋まで買いに行った記憶があります(笑)。

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茨城にあるTRILL DYNASTYのプライベート・スタジオ。メイン・マシンはWindows、DAWはIMAGE-LINE FL Studioだ。デスクの左手にはオーディオI/OのM-AUDIO M-Track 2×2Mを備え、同手前にはMIDIコントローラーのNEKTAR TECHNOLOGY Impact GX49をセットしている。モニター・スピーカーはKRK RP5G3を装備。「自分はキックやベースを制作しないので、これで十分ですね」とTRILL DYNASTYは話す

 尊敬するビート・メイカー/プロデューサー 

 ゼイトーヴェンにあこがれたのは確かなのですが、曲を作る上で一番影響を受けたのは、フロリダに居るムークという日本では知られていないビート・メイカーで、“ブラザー”とも呼べる存在です。ジャズ、ブルース、ゴスペルなどをトラップとミックスする、独特のサウンドが素晴らしいと思います。

 

 ループ・メイキングに使用する音源 

 自分はループ・メイカーとしての活動がメインなので、ビートは作りません。音源はNATIVE INSTRUMENTS KompleteやSPECTRASONICS Keyscapeを使います。特にKeyscapeは、豊富に音色を選べるのでお気に入りです。

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キーボードに特化したソフト音源のSPECTRASONICS Keyscapeは、TRILL DYNASTYのお気に入り

 ループ・メイキングのコツ 

 感情のまま、あえて雑にMIDIノートを打ち込みます。クオンタイズはしません。そして、自分が心底“格好良い”と思う音を追求するようにしています。何かの曲をリファレンスにして作ることは一切無く、何気なく生まれてくる鼻歌から上モノを作ることがほとんどなのです。

 

 お気に入りのプラグイン 

 プラグインは、基本的にFL Studioに付属するものしか使っていません。唯一サード・パーティ製のプラグインで持っているのが、リバーブのVALHALLA DSP Valhalla VintageVerb。プリセットもたくさんあり、いろいろな種類のリバーブを使えるのが最高です。特にピアノの雰囲気作りにはもってこいですね。

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プラグイン・リバーブのVALHALLA DSP Valhalla VintageVerb

 ループ/ビート・メイカーとして大切なこと 

 これは音楽制作だけに限った話ではないと思いますが、達成できる目標を立てて実行し、勝ち癖を付けること。そしてひたすらループを作る……これを僕は“毎日キーボードとセックスする”とよく言っています。しかも1日も休まずに。例えばビート・メイカーなら、曲が完成しなくてもよいから、“ビート・メイキング”という行為を日々継続することです。そして、その秘けつは“気合いと根性”しかありません。

 

 今後の展望 

 自分の夢は、世界一好きなラッパーのクアンド・ロンドとグラミーを受賞することです!

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全米ビルボード・チャート“トップR&B/ヒップホップ・アルバム”部門で1位を獲得したリル・ダーク「The Voice」のプラーク(盾)

【特集】TRAP MAKERS LAB