IK MULTIMEDIA iLoud Micro Monitor 〜【ペアで約5万円以下】宅録/DTMに最適なモニター・スピーカー9モデルをレビュー

IK MULTIMEDIA ILoud Micro Monitor 〜【ペアで約5万円以下】宅録/DTMに最適なモニター・スピーカー9モデルをレビュー

宅録やDTMに最適なペアで約5万円以下のモニター・スピーカー全9モデルを、音楽クリエイター/ギタリストのShin SakiuraとエンジニアのSUI氏が徹底レビュー! ここでは、IK MULTIMEDIA iLoud Micro Monitorを紹介します。

世界最小クラスの2ウェイ・モデル。ブラック/ホワイトの2カラーを用意

IK MULTIMEDIA iLoud Micro Monitor|製品価格:オープン・プライス(市場予想価格:53,900円前後/ペア)
※写真左がLchスピーカーの前後、同右がRchスピーカーの前後

 世界最小クラスの2ウェイ・アクティブ・スピーカー。クラスDのパワー・アンプを4基搭載することで、小型ながら合計50Wの出力を実現する。背面にある3つのEQスイッチで音のトーンを調整可能。音の乱反射を補正するDESKモードに加え、低域と高域をそれぞれ補正できる。Bluetooth接続にも対応し、ラインナップにはブラック・カラー・モデルも用意。底面のスタンドは2段階の角度調節ができるほか、マイク・スタンドへの取り付けもできるようになっている

 Point 

  • ウーファー口径:3インチ
  • 入力端子:ステレオ・ミニ、RCAピン(L/R)
  • その他:背面にあるEQで音の乱反射を補正。Bluetooth機能も搭載

SPECIFICATIONS
●形式:2ウェイ・アクティブ・スピーカー ●スピーカー構成:3インチ径ウーファー+0.75インチ径ツィーター ●周波数特性:45Hz~22kHz ●外形寸法:90(W)×180(H)×135(D)mm ●重量:920g(L)、800g(R)

上下のレンジが広くローエンドまでしっかり出る 〜Shin Sakiura

 iLoud Micro Monitorは、そのコンパクトなサイズからは想像がつかないくらいパワフルな音圧が出せるので驚きました。上下のレンジが広く、ローエンドまでしっかり出ていて圧巻です。キックやボーカルの帯域がよく聴こえるので、聴いていてテンションがどんどん上がってくるサウンドですね。ただ、12kHz付近という耳に痛い帯域は抑え気味なため、長時間聴いていても耳が疲れにくいように作られています。

 定位感に関しては、センターの軸がしっかりと見える感じ。4つ打ちやヒップホップといったクラブ・ミュージックのビート・メイキングと、特に相性が良さそうです。VOLUMEノブで音量を上げたときのゲイン感も分かりやすく、元気なサウンドになります。ロックなどのバンド・サウンドを作るのも楽しそうですね。Lchのリア・パネルにあるEQスイッチでDESKモードを試したところ、低域は若干カットされ、中域はブーストされました。このモードは、スピーカー・スタンドを置くスペースが無い人にもありがたい機能でしょう。iLoud Micro Monitorは、聴いていて自然に体が躍り出すような生き生きとしたサウンドが魅力です!

冷静にモニターしたいときは“LF−3dB”モードをオンに 〜SUI

 最初は底面にあるスタンドを立てて試聴していたんですが、ふと気になってこのスタンドを寝かせて試聴したところ、音の定位感や低域が大きく変化。このことに非常に驚いたんですが、つまりこれはユーザーの設置環境によってより鳴る方を調整できるということなので、ナイス・アイディアだと思います。EQスイッチを触ってみると、その効きの良さに感心。iLoud Micro Monitorは、基本的に低域がブースト気味でテンションの上がるサウンドとなっていますので、冷静にモニターしたいときはEQスイッチで“LF−3dB”モードをオンにするとよいでしょう。バランスがより良くなります。

 もう一つ“HF+2dB”モードも搭載していますが、これは例えば深夜など、小さい音量でモニターしたいときに有効でしょう。人間の耳は音量が小さくなると高域が聴き取りにくなるため、“HF+2dB”モードで補正して上げるという使い方です。これで朝晩問わず、作編曲やミックス作業が行えます。ボリュームの大小に合わせてEQスイッチを使い分けられるので、総じて言うならば、iLoud Micro Monitorは設置場所や状況を選ばない万能タイプと言えるでしょう。

レビュワー紹介

Shin Sakiura

Shin Sakiura
東京を拠点に活動する音楽クリエイター/プロデューサー/ギタリスト。2015年より個人名義でオリジナル楽曲の制作を開始。バンド・サウンドからヒップホップ、R&B、エレクトロまで広い音楽性を持ち、自身の作品制作のほか、SIRUPやアイナ・ジ・エンドなどの楽曲制作や海外アーティストとのコラボと活動は多方面にわたる。ギター、ベース、サンプラーなどさまざまな楽器を駆使したライブ・パフォーマンスも注目を集めている。

 Recent Work 

『WILD CHILD feat. brb.』
Shin Sakiura
(PARK)


SUI

SUI
エンジニアのほか、リミックス・ワークも手掛ける音楽クリエイターとしても活動。ギターやベースなどの演奏からプログラミングまでを一人でこなすマルチプレイヤーでもあり、その柔軟なプロダクション・スタイルはメジャー/インディーズ問わず定評がある。近年では作曲家として劇伴音楽にも携わり、ますますその活動の場を広げている。セミナー講師としては自身の技術を惜しみなく講義することも多く、業界内での信頼も厚い。

 Recent Work 

『WATW “ing”』(『Honey, You!』収録)
WATWING
(トイズファクトリー)
※作編曲/エンジニアリング

試聴環境

 今回試聴を行った場所は、多目的スペースである御茶ノ水RITTOR BASEだ。スタジオ内には、一般的な部屋を想定して6畳ほどの空間を用意。そこに簡易デスクとスピーカー・スタンドを設け、モニター・スピーカーを配置した。ここで2人のレビュワーに、リファレンスとなる楽曲を再生したりDAWを立ち上げて作業したりして、全9モデルのスピーカーの性能をチェックしていただいた。

御茶ノ水RITTOR BASE内に作られた、6畳ほどの試聴スペース。L/Rのスピーカーとリスニング・ポジションが正三角形になるように配置している。スピーカーはやや内側に向け、ツィーターは耳の高さになるようスピーカーごとに座椅子の高さを調整する

御茶ノ水RITTOR BASE内に作られた、6畳ほどの試聴スペース。L/Rのスピーカーとリスニング・ポジションが正三角形になるように配置している。スピーカーはやや内側に向け、ツィーターは耳の高さになるようスピーカーごとに座椅子の高さを調整する

製品情報

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