曲作りの幅を広げる5パターン〜初心者のための簡単コード進行|Step 4【実践編】

曲作りの幅を広げる5パターン〜初心者のための簡単コード進行|Step 4【実践編】

この特集では、ビギナーでも作曲や演奏に取り入れやすい25パターンのコード進行と、その理解に必要なポイント解説を4ステップで紹介! 各ステップは、コード進行の知識を深める“解説編”と、実際のコード進行やアレンジ・テクニックによる“実践編”で展開します。Step 4の実践編では、オリジナルの進行作りのヒントになるような5個のパターンを作曲家のKOUGA氏が解説します。

Step 4の解説編では以下で紹介するコード進行の理解を深めるためのヒントを掲載! ビギナーの方はぜひこちらもご参照ください。

 各コード進行には、音例とMIDIデータが用意されています。音例には、全音符で演奏したエレクトリック・ピアノ・バージョンと、各進行にお薦めの楽器で演奏したアレンジ済みバージョンの2種類を用意。また、すべてのパターンの全音符バージョンとアレンジ・バージョンのMIDIデータもダウンロード可能です。好きな音色をアサインして活用してみてください。

パターン 1「C|Am|F|Gsus4 G」〜Gsus4で展開の終わりを強調

Feeling Tags: #ほっこり   #しっとり

 「Step 1のパターン 3:C|Am|F|G」の4小節目にGsus4を挟んだ進行です。FからGへと直接進むこともできるのですが、Gsus4を使うことでGでの展開の終わりが強調され、一段落した感じをより強めることができます。この進行だけを循環して使ってもよいですし、Step 1のパターン 3の進行を何度か繰り返した後に最後だけGsus4をかませるこの進行を使うのも効果的です。

 ピアノロール 

アレンジ・テクニック:「Gsus4-G」の変化を聴かせる工夫を

 アコースティック・ギターのストローク風演奏ですが、ポイントはやはり「Gsus4-G」の部分。その直前までは刻んでおいて、最後は2拍ずつ伸ばしているだけ。これで音の変化をしっかり聴かせて、次の展開へ進む、あるいは曲が終わることを予感させています。

パターン 2「C|Bm7(♭5) E7|Am|Gm7 C」〜Bm7(♭5)で壮大な表現を可能に

Feeling Tags: #明るい   #しっとり   #複雑   #エモい   #急展開   #壮大

 Bm7(♭5)からセカンダリー・ドミナントのE7を挟んでAmに進むことで落差が出て壮大な表現ができるので、バラードで使われることが多い進行です。上級編として、Official髭男dism「ミックスナッツ」のようにアップテンポで演奏すると、爽快感があるのにコードがゴリゴリ展開する曲になります。歌詞を詰め込んで盛りだくさんな表現をしたいときにピッタリです。

 ピアノロール 

アレンジ・テクニック:複雑なコードの変化を聴かせるにはシンプルな演奏で

 Step 3のパターン 5と同じくアコースティック・ピアノによる王道系バラード・アレンジです。「Bm7(♭5)-E7-Am」、そして「Gm7-C」の響きの変化を聴かせたいので、細かいリズムや技は必要ないでしょう。シンプルにしっかり伸ばして響かせてください。

パターン 3「C|F♯m7(♭5)|F|B♭」〜遊び心を出すためのF♯m7(♭5)

Feeling Tags: #明るい   #ほっこり   #わくわく   #複雑   #エモい   #しっとり

 パターン 2同様マイナー・セブン・フラット・ファイブ・コードを使っていますが、こちらは楽しくわくわくする感じを表現できる進行です。CとFの間でF♯m7(♭5)へ寄り道することで、簡単に遊び心を取り入れられます。また、進行にダイアトニック・コード以外のコードを取り入れたいときは、F♯m7(♭5)とFに含まれるドとラのように共通の音を持つコードを探すとよいでしょう。

 ピアノロール 

アレンジ・テクニック:シンプルなエレピ演奏でもなぜか笑顔になる進行

 トレモロの揺らぎがぬくもりを感じさせるエレクトリック・ピアノでのバッキングです。コード進行自体が明るく楽しい感じなので、ゆったりしたシンプルな演奏で、ことさら派手なことをしなくても、何だか笑顔になれるような温かさが生まれてきます。

パターン 4「C|B7|Em7|E♭」〜転調のきっかけにもなるE♭

Feeling Tags: #おしゃれ   #ダンサブル   #わくわく   #複雑   #暗い   #しっとり  #急展開

 ポイントは最後のE♭。Cメジャーなのにネガティブさや絶望感が生まれ、ソを共通で持つEm7から転調させていく場合にも役立ちます。このようにダイアトニック・コード以外の共通の音を持つコードを重ねて徐々に転調させるのは筆者も実際に使う技です。さらに、Gメジャーの進行と組み合わせることで循環もできます。ブルースやジャズにお薦めです。

 ピアノロール 

アレンジ・テクニック:シンプルで軽い演奏でも暗く感じてしまう

 ピアノの高い音域を淡々と刻んで、低音も短く入れているので、重たい感じはないのですが、コード進行の不思議なニュアンスのせいか、“暗くないのに暗い”という感じが生まれています。一体これからどうなるんだろう?と先が読めないところが面白いですね。

パターン 5「C|C♯dim7|Dm|G Gaug7」〜循環をスムーズにするGaug7

Feeling Tags: #明るい   #おしゃれ   #ダンサブル   #わくわく   #複雑   #急展開 

 テンポが遅いとボサノバ、速いとミュージカル楽曲などで使える、ジャジーで跳ねるような明るい進行です。循環すると「G-Gaug7-C」とつながり、構成音の一部が「レ-レ♯-ミ」と半音ずつ上がるので明るい要素として効果を発揮します。ディミニッシュ・セブンス・コードの役割は例えるならくすみピンクなどの“くすみ成分”。使い方次第では不穏な空気になります。

 ピアノロール 

アレンジ・テクニック:ジャジーなブラス・アレンジで陽気に

 ブラス音色によるスウィング・ジャズ・アレンジです。跳ねた感じがまさにこのコード進行にぴったりで、明るい陽気なサウンドですね。ゴージャス系にもコミカル系にも発展させられそうです。最後のGaug7での変化はおしゃれに感じるのではないでしょうか。

コード進行をより深く学べる本を紹介

 本特集の最後は、コード進行をより深く学べる弊社リットーミュージック刊行の書籍をご紹介します。

おしゃれなコード進行を128収録

 “ジャジィなコード進行が欲しい”という方にお薦めの本です。スタイリッシュな8小節のコード進行を128パターン収録しています。丁寧な理論解説も掲載されているので、コード進行を勉強したい人にも役立つでしょう。MP3やMIDIデータも用意されているので、耳で確認したり、DAW上に読み込んで使用することもできます。

160以上収録したコード進行集

 4小節や8小節のコード進行を合計160以上も掲載したパターン集です。各パターンを組み合わせることで、さまざまな楽曲のアイディアを生み出すことができます。付属のCD-ROMあるいはダウンロードでMIDIデータを入手できるので、ぜひDAW上でさまざまな組み合わせを試してみてください。

メロディから作曲する人にお薦め

 メロディにコードを付ける方法を解説した本です。付属の音源を聴きながら読み進めると、同じ1つのメロディにもいろいろなコードを付けられることや、それによって雰囲気が全く異なってくることが分かります。シンプルなコードから、少しずつ複雑なコードへと進んでいくので無理なく学べるのもうれしいポイントです。

ピアノロール画面が主役の音楽理論書

DTMerのためのコード入門

DTMerのためのコード入門

  • 作者:清水 響
  • リットーミュージック
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 楽器未経験で楽譜も読めないというDTMerの方のための音楽理論書です。本書では五線譜の代わりにDAWなどでおなじみのピアノロール画面が掲載されています。これを見ながら実際に打ち込んでいくことで音楽理論が身に付いていくという仕組み。“入門”と名が付いていますが、内容は超本格的なので長く使える一冊です。

 

 

講師/アレンジ音例制作:KOUGA
【Profile】音楽大学で培った確かな知識のもと、繊細で巧みな音使いで瞬く間に本格的に作曲家の道へと進み始める。キャッチーなメロディメイクとアレンジに定評があり、確かな知識・センスを兼ね備えた新進気鋭のクリエイター。

【特集】初心者のための簡単コード進行