初心者のための簡単コード進行 〜ダイアトニック・コードで作る王道8パターン|Step 1【実践編】

この特集では、ビギナーでも作曲や演奏に取り入れやすい25パターンのコード進行と、その理解に必要なポイント解説を4ステップで紹介! 各ステップは、コード進行の知識を深める“解説編”と、実際のコード進行やアレンジ・テクニックによる“実践編”で展開します。Step 1の実践編では、“ドレミファソラシ”だけで構成される“ダイアトニック・コード”による8個のパターンを紹介しましょう。

Step 1の解説編では以下で紹介するコード進行の理解を深めるためのヒントを掲載! ビギナーの方はぜひこちらもご参照ください。

 各コード進行には、音例とMIDIデータが用意されています。音例には、全音符で演奏したエレクトリック・ピアノ・バージョンと、各進行にお薦めの楽器で演奏したアレンジ済みバージョンの2種類を用意。また、すべてのパターンの全音符バージョンとアレンジ・バージョンのMIDIデータもダウンロード可能です。好きな音色をアサインして活用してみてください。

パターン 1「F|G|C|Am」〜ポップスのサビ頭でこれさえ使えばキャッチーに

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 ポップスでかなり多用されている進行です。循環(繰り返しのこと)して使うことも、別の進行をつなげることもできます。特にサビの冒頭では、これさえ使えばキャッチーになると言えるほど切り札的な進行で、初心者の方にはぜひ試してみてほしいです。ポップスに限らず、ダンス・ミュージックなどにもジャンルを問わず幅広く使えますし、明るくてサビで爆発させたいような曲には適しているでしょう。

 ピアノロール 

 五線譜 

 コード・ダイアグラム 

アレンジ・テクニック:ド派手なシンセ・パッドで壮大なスケール感を演出

 明るくキャッチーなコード進行に似合う、きらびやかなシンセ・パッドのアレンジにしてみました。リズムを入れていないので、サビ頭のイントロっぽい雰囲気に聴こえるのではないでしょうか。このままテンポを速くしてEDM系のサビとしても使えるでしょう。

パターン 2「C|Dm|Em|F」〜1つずつ高音へ移動させるだけでOK

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 初めてコード進行作りに挑戦する方は、ルートを1音ずつ上げていく進行から挑戦してみるのもよいでしょう。この進行はそのまま循環させることもできるので、明るめのポップスの間奏やイントロなどに使いやすいと思います。また、徐々に上がっていくことで循環の切れ目を把握しやすいので、尺を決めないアドリブのソロ回しで次の奏者に渡したり次のパートへの展開がしやすい進行です。

 ピアノロール 

 五線譜 

 コード・ダイアグラム 

アレンジ・テクニック:素朴にルートだけでリズムを刻むRHODESバッキング

 エレクトリック・ピアノのRHODES音色によるバッキングです。コード全体ではなく、ルートだけでリズムを刻んでいます。その他の音は白玉(刻まずに伸ばしている状態)です。RHODESの優しい音色とあいまって、全体的に素朴な雰囲気になっています。

パターン 3「C|Am|F|G」〜循環して明るく跳ねている雰囲気を表現

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 より循環に重きを置いた、イントロや間奏に使いやすい進行です。ルートがド→ラ→ファとFの構成音を移動してFのコード(ド・ラ・ファ)に到達するので、演奏のときの運指が楽で、循環もしやすいため、打ち込みだけでなく、ピアノやギターでの演奏にも適していると思います。筆者の曲では、山崎育三郎「こどもこころ」のAメロなどで使っていて、かわいさや明るく跳ねている感じを表現しやすいです。

 ピアノロール 

 五線譜 

 コード・ダイアグラム 

アレンジ・テクニック:跳ねたリズムでウクレレをかわいく演奏

 明るいコード進行にぴったりのウクレレ音色でアレンジしました。かわいらしく跳ねたリズムで演奏しています。このまま繰り返しているだけでメロディや歌詞が浮かんできそうです。ほかにはアコースティック・ギターをかき鳴らしてみてもいいでしょう。

パターン 4「C|Am|Dm|G」〜マイナー・コードが多いのに明るさを感じさせる

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 パターン 3より力強さが増すので、「C-Am-F-G」×3回に続けてこの進行を1回入れることで、次のセクションに行く仕掛けが作れる上に、メロディを引き立たせることができる進行です。ポップスでは、Aメロで同じ進行を循環させて、Bメロで少しトリッキーに聴かせる構成の楽曲が多いため、Aメロの循環がずっと同じ進行ではつまらないというときに、最後に一味加えるこの手法をお薦めします。

 ピアノロール 

 五線譜 

 コード・ダイアグラム 

アレンジ・テクニック:アコースティック・ピアノ音色で跳ねたバッキング

 パターン 3と似たようなリズムですが、こちらはアコースティック・ピアノ音色でのバッキングです。パターン 3よりも、さらに跳ねている部分を多くしています。何となく、Dmの部分でぐっと盛り上がるようなメロディになりそうな予感がしませんか?

パターン 5「C|F|Am|G」〜場面転換したいときの“味変”役として効果あり

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 「パターン 4:C|Am|Dm|G」のように循環させることもできますが、シーンを変えたくなったときに1回だけ登場させて、“味変”のような役割でポイント使いをするのも効果的な進行です。C-Fの次にDmではなくAmに行くことで意外性があり、力強さを感じさせることができます。ポップスでも使えますし、ゆったりしたバラードのブリッジ部分の最後など、シーンが変わる場面でのアクセントとしての活用もお勧めです。

 ピアノロール 

 五線譜 

 コード・ダイアグラム 

アレンジ・テクニック:力強いコード進行には力強いアコースティック・ピアノで

 パターン 4に続いてアコースティック・ピアノ音色によるアレンジで、こちらは歌もので王道のバッキング・パターンにしました。コード進行そのものが持つ力強さが、ピアノの響きによく合っています。Am部分の“意外性”も分かりやすいのではないでしょうか。

パターン 6「C|G|Am|Em」〜あらゆるジャンルで活用できる王道の“カノン進行”

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 これぞ王道中の王道な“カノン進行”と呼ばれる進行です。ZARD「負けないで」やあいみょん「マリーゴールド」、スピッツ「チェリー」、アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の主題歌「ハレ晴れユカイ」など、ポップスをはじめ、いろいろなジャンルの楽曲で多く取り入れられています。耳なじみが良く、キャッチーにしたいときにお薦めです。筆者の曲だと蒼井翔太「ココに」のサビ頭で使用しています。

 ピアノロール 

 五線譜 

 コード・ダイアグラム 

アレンジ・テクニック:キラキラ・エレピでバラード風アレンジに

 キラキラしたエレクトリック・ピアノによるバラード風アレンジにしてみました。“カノン進行”は「パッヘルベルのカノン」と呼ばれるクラシック曲がルーツなのですが、それがメロディやアレンジ、音色でさまざまなポップスに生まれ変わっているのは面白いですね。

パターン 7「C|Em|Dm|G」〜見かけ上は明るいのにどこか切なく甘酸っぱい

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 CからEmへと進行することで切なさ成分が加わり、甘酸っぱさを感じさせるような進行です。イメージとしては、スピッツやJUDY AND MARYのように、シンプルな進行でありながらもロックなバンド・サウンドで、全体的に明るい印象を与えるのにどこか切ない雰囲気を出したい、というときに役立つと思います。Step 1で紹介してきたコード進行に共通しますが、イントロなどに使いやすいでしょう。

 ピアノロール 

 五線譜 

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アレンジ・テクニック:アコースティック・ギターで甘酸っぱさを強調

 コード進行自体が持つ甘酸っぱい雰囲気を強調するために、アコースティック・ギター音色を選びました。今回はおとなしめのバッキングですが、もっとロックっぽくジャカジャカかき鳴らすと、よりエモい感じも演出できるでしょう。ぜひ試してみてください。

パターン 8「C|F|G|C」〜メジャー・コードだけで切なさを感じさせる

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 竹内まりや「元気を出して」や湘南乃風「純恋歌」など、メジャーなのに切ない展開を作りやすい進行です。複雑なコード進行には聴き込むことで理解が深まる“癖になる良さ”がありますが、このような単純な進行だと、直球勝負ができる上に自由度が高いので、歌詞も乗せやすいです。ここからAmにつないでミドル・バラードのサビで使うなど、いろいろな進行につなげやすいのも魅力です。

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 コード・ダイアグラム 

アレンジ・テクニック:オルガンの揺らぎ感が切ない雰囲気をより盛り上げる

 LESLIEスピーカーを使ったオルガン音色を合わせてみました。独特の揺らぎ感とあいまって、コード進行からにじみ出てくる切なさがより分かりやすくなっています。なお、冒頭の“グイーン”という音は鍵盤上で手を滑らす“グリッサンド”という演奏法によるものです。

 

 

講師/アレンジ音例制作:KOUGA
【Profile】音楽大学で培った確かな知識のもと、繊細で巧みな音使いで瞬く間に本格的に作曲家の道へと進み始める。キャッチーなメロディメイクとアレンジに定評があり、確かな知識・センスを兼ね備えた新進気鋭のクリエイター。

【特集】初心者のための簡単コード進行