ポップスの定番テクニックを活用した6パターン〜初心者のための簡単コード進行|Step 3【実践編】

ポップスの定番テクニックを活用した6パターン〜初心者のための簡単コード進行|Step 3【実践編】

この特集では、ビギナーでも作曲や演奏に取り入れやすい25パターンのコード進行と、その理解に必要なポイント解説を4ステップで紹介! 各ステップは、コード進行の知識を深める“解説編”と、実際のコード進行やアレンジ・テクニックによる“実践編”で展開します。Step 3の実践編では、ツー・ファイブやセカンダリー・ドミナントを活用した6個のパターンを作曲家のKOUGA氏に解説いただきます。

Step 3の解説編では以下で紹介するコード進行の理解を深めるためのヒントを掲載! ビギナーの方はぜひこちらもご参照ください。

 各コード進行には、音例とMIDIデータが用意されています。音例には、全音符で演奏したエレクトリック・ピアノ・バージョンと、各進行にお薦めの楽器で演奏したアレンジ済みバージョンの2種類を用意。また、すべてのパターンの全音符バージョンとアレンジ・バージョンのMIDIデータもダウンロード可能です。好きな音色をアサインして活用してみてください。

パターン 1「C|E7|Am|F」〜おしゃれにもいなたい感じにも

Feeling Tags: #おしゃれ   #ダンサブル   #パワフル   #エモい 

 セカンダリー・ドミナントのE7がエモ・ポイントで、サビ頭に1回だけ入れることも、循環で曲を成立させることもできます。70BPMくらいで脱力系のダンス・ミュージックに使うとおしゃれに聴かせることができますし、力強く演奏すると、フォークやロックのような“いなたい感じ”になります。使い方次第で表情が変わるので、いろいろ試してみてください。

 ピアノロール 

アレンジ・テクニック:8分音符で低音弦を刻むエレキギター

 クランチ系のエレキギター音色によるバッキングです。音符的に言えば、8分音符で刻んでいるのですが、実はコードの一番上の音は刻まず伸ばしています。低音の弦だけ刻んでいるイメージで、ギターでは一般的な奏法です。MIDIデータを確認してみてください。

パターン 2「Em|Am|D7|G」〜次のセクションへのきっかけ作り

Feeling Tags: #わくわく   #パワフル   #急展開   #しっとり 

 Gの前のD7がセカンダリー・ドミナントです。この進行の肝はポイント使いをすること。具体例としては、椎名林檎「幸福論」のBメロのように「Em-Am-Em-Am」とシンプルな循環をした最後に「D7-G」と進行することで、次のセクションへ進むきっかけを作れます。次の景色が見えるような進行なので、プラス・アルファの味付けとしていかがでしょうか?

 ピアノロール 

アレンジ・テクニック:「D7-G」を生かす展開感のあるアレンジ

 アコースティック・ギターでのストロークをイメージしたアレンジです。最後のGでは“ジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッジャッ”と次の展開へと盛り上がっていくような演奏にして、コード進行の特徴を生かしています。

パターン 3「C|G E7|Am|D7」〜バラードで複雑な気持ちを表現

Feeling Tags: #明るい   #複雑   #パワフル   #エモい   #しっとり   #壮大 

 Gの後に入るセカンダリー・ドミナントのE7や、2小節目の2拍ごとの変化によって、エモさや切なさを含む複雑な気持ちを表現できます。特にバラードに適していて、Official髭男dism「Pretender」でも使われています。筆者の曲では、水瀬いのり「Innocent flower」のサビ頭で採用しました。聴かせたい場面でのポイント使いでぜひ試してみてください。

 ピアノロール 

アレンジ・テクニック:荘厳な音色を引き立てる音域選びに注目

 荘厳さのあるオルガン音色で演奏しました。ルートは「ド→ソ→ミ」と下がっているのですが、その上の音の位置はあまり変わらないようにしています。また最後のD7ではルートとその他の音の音域を離すことで、大きな盛り上がりを表現しました。

パターン 4「F|Dm|G|Em E7」〜“不自然”がウリの異色な進行

Feeling Tags: #明るい   #複雑   #暗い   #急展開   #しっとり 

 コード進行は流れを考えずに入れると不自然になることが多いですが、これはその不自然さが生かせる異色な進行です。GからE7に行かずいったんEmに進むのがじらしポイント。荒井由実「やさしさに包まれたなら」のBメロのように、急にこの進行が来ると“どんな展開になるのかな?”という引っ掛かりが作れます。サビ終わりや暗めのブリッジにお薦めです。

 ピアノロール 

アレンジ・テクニック:軽やかなアコギと不思議なコード進行のコントラスト

 アコースティック・ギター音色で軽くアルペジオ的な部分も混ぜたアレンジにしています。コード進行自体は不思議な雰囲気ですが、軽快感のあるサウンドや演奏にすると、不自然さがむしろワクワク感やドキドキ感に変わるという例です

パターン 5「C|Gm7 C7|F|Dm G」〜温かみのあるエモ成分をプラス

Feeling Tags: #ほっこり   #エモい   #急展開   #しっとり

 エモ成分を含むという点で「パターン 1:C|E7|Am|F」と近い立ち位置の進行ですが、「Gm7-C7」というツー・ファイブによって意外性が生まれ、胸キュン感が出ます。また、パターン 1は「C-E7」の次がマイナー・コードのAmですが、これは3小節目でC7からメジャー・コードのFに進むセカンダリー・ドミナントを使った進行なので、より温かみのあるエモさになります。

 ピアノロール 

アレンジ・テクニック:ツー・ファイブの魅力を王道ピアノ・バラードで

 しっとり聴かせる王道ピアノ・バラード系です。最初に同じコードを2回刻んでいるので、次も2回かと思いきや「Gm7-C7」で1回ずつになり、サウンドに起伏が生まれ、次は再び2回刻みに戻ってまた「Dm-G」で1回ずつというツー・ファイブ部分の展開が魅力です。

パターン 6「F|E7|Am|C」〜おしゃれな曲に早変わり!

Feeling Tags: #明るい   #おしゃれ   #複雑   #エモい

 椎名林檎「丸の内サディスティック」やグローバー・ワシントン・ジュニア「Just The Two Of Us」などで有名な、セカンダリー・ドミナントを取り入れたおしゃれな響きの進行です。明るい曲の中でポイント使いするとエモ・シーンに早変わり! まるごと1曲この循環でも成立しますし、ここぞ!というときのブリッジやサビ頭、展開が多いAメロの終盤でも役立ちます。

 ピアノロール 

アレンジ・テクニック:エレピの刻みでおしゃれに

 エレクトリック・ピアノでリズミカルに刻んだ演奏です。おしゃれ系コード進行の代名詞的な存在なので、とにかくいろんなサウンド、アレンジを試してみることをお勧めします。恐らく、それぞれのサウンド、アレンジにあった“おしゃれ”になるはずです。

 

 

講師/アレンジ音例制作:KOUGA
【Profile】音楽大学で培った確かな知識のもと、繊細で巧みな音使いで瞬く間に本格的に作曲家の道へと進み始める。キャッチーなメロディメイクとアレンジに定評があり、確かな知識・センスを兼ね備えた新進気鋭のクリエイター。

【特集】初心者のための簡単コード進行