Reviewed by
鈴木Daichi秀行
【Profile】幅広い音楽性を生かして活動するサウンド・プロデューサー。家入レオやYUI、miwaらをはじめ、トップ・チャートに輝く楽曲に多く携わる。レーベルStudio Cubic Recordsを運営している。
エレキの音色をアコギの音色にシミュレーションすることもできる
BLUE CAT AUDIO Blue Cat's Re-Guitar(以下Re-Guitar)は、さまざまなギター・トーンをシミュレーションできるプラグイン・エフェクト。何とギターのボディやピックアップの種類などによって異なるサウンドを、あとからプラグインで変更できるというツールです。
画面最上段にはバイパス・ボタンのほか、アンドゥ/リドゥ・ボタン、プリセット・メニューなどが配置され、その下にはRe-Guitarのメイン画面がレイアウトされています。その下にあるメイン画面では、左上に“-FROM-”と“-TO-”の2項目からなるPICKUP SIMセクション、その右隣にはPICKUP MODELセクション、メイン画面の左下にはHOLLOW BODYセクション、その右隣にはADJUSTセクション、さらにメイン画面の右半分にはピックアップのグラフィックとボリューブ・ノブ、トーン・ノブを装備しています(上画面)。
実際にギターを入力して試します。まずは-FROM-の項目から使用するギターのピックアップを選択するのですが、ここには上からハムバッカー、シングル・コイル、シングル・コイル(ブライト)の3つがスタンバイ。それぞれの代表的なギターを挙げるならば、ハムバッカー=GIBSON Les Paul、シングル・コイル=FENDER Telecaster、シングル・コイル(ブライト)=FENDER Stratocasterと言えるでしょう。
次は-TO-の項目から、シミュレーションしたいピックアップ/モードを選択します。例えば上から2番目にあるハムバッカーを選択すると、右隣にあるPICKUP MODELセクションにビンテージやモダン、ホロウ・ボディのセミアコをほうふつさせるものなど、より細かいハムバッカーのバリエーションが表示されるので、いろいろ試して一番好きなものを選べばOK。このまま、同セクションの下部にあるADJUSTセクションで高域を補正したり、ゲイン調整したりするのもよいでしょう。
なおPICKUP SIMセクションの-TO-にはアコギのシミュレーターも入っているため、エレキギターをアコギの音に変えることもできます(画面①)。同シミュレーターのPICKUP MODELセクションではピエゾ・ピックアップのほか、スモール/ジャンボなどボディ・サイズや形状が異なるタイプも選べるので便利です。
P-90とハムバッカーの中間のサウンドなど、現実では不可能な音を作ることも可能
HOLLOW BODYセクションの項目ではホロウ・ボディのエレキギターやアコギのサウンド・キャラクターを付加することができます。Thicknessノブでは物理的なボディの厚さを、Amountノブではそれを付加する量を調整することにより、独特の箱鳴り感を演出することが可能です。
さらに面白いのは-TO-の項目にあるE-Custom、AC-Customというモード(画面②)。さまざまなピックアップやアコギ間を緑色のカーソルで移動し、独自のシミュレーション・サウンドを作成できます。例えばGIBSON P-90とモダン・ハムバッカーの中間のサウンドなど、現実では不可能な音をシミュレーションすることも可能です。
Re-Guitarは、ギターのライン音源があれば強力なエンジニア・ツールになります。筆者はリアンプするためによくギターをライン録音しておくのですが、Re-Guitarを使えばシングル・ピックアップで録音したものをあとからハムバッカーにシミュレーションできるため、さらに音色調整の幅が広がりました。
また、最近はギターに特化したソフト音源を使って制作する方も多いと思いますが、こういったものにRe-Guitarを挿して、音色加工するといった使い方も考えられるでしょう。Re-Guitarは、ギター・サウンドを使い楽曲制作をするクリエイターの強い味方になってくれるプラグインです。
BLUE CAT AUDIO Blue Cat's Re-Guitar【特殊処理】
10,980円
Requirements
■Mac:OS X 10.7以上、AU/AAX/VST/VST3(いずれも32/64ビット)対応のホスト・アプリケーション、INTELプロセッサー
■Windows:Windows Vista/7/8/10、AAX/VST3(いずれも32/64ビット)対応のホスト・アプリケーション、SSE2命令セットに対応したプロセッサー(Pentium 4 以降)