Reviewed by
鈴木Daichi秀行
【Profile】幅広い音楽性を生かして活動するサウンド・プロデューサー。家入レオやYUI、miwaらをはじめ、トップ・チャートに輝く楽曲に多く携わる。レーベルStudio Cubic Recordsを運営している。
立ち上がり／下がり始めのタイミング、ピッチや振幅の変化に対する感度調整が可能
今回は“フィードバック・シミュレーター”というユニークなプラグイン、BLUE CAT AUDIO Blue Cat’s AcouFiend（以下AcouFiend）を紹介しましょう。近年のレコーディングではアンプを鳴らさず、アンプ・シミュレーターを使う機会も増えていると思います。フィードバック・サウンドに関しては、キャビネットの前に立てば簡単に出すことができますが、アンプ・シミュレーターでは筆者も苦労するところ。しかしBlue Cat’s AcouFiendでは、簡単にフィードバック・サウンドをシミュレーションでき、細かいコントロールも可能になります。
画面最上段にはバイパス・ボタン、プラグイン設定ボタン、アンドゥ／リドゥ・ボタンなどを備えるツール・バーを装備。その下にあるメイン画面には、上部にドライ・ノブとウェット・ノブ、中央部にスピーカーのようなデザインのダイアル、下部にTIMEセクション、スレッショルド・ノブ、SENSITIVITYセクションがあります。フィードバックの立ち上がり／下がり始めのタイミングのほか、ピッチや振幅の変化に対する感度の調整など、細かいところまで作り込めるので便利です。また最下段にはキーボード・コントロールが並んでいます。
使い方はシンプル。AcouFiendを立ち上げ、難しいことは考えずにギターで単音のロング・トーンを弾けばフィードバックが鳴り、ビブラートをかけるとそれがフィードバックにも反映されます。
中央にある大きなダイアルで、フィードバックのハーモニック（倍音）を1st/2nd/3rd/4th/5th/SUBの6種類から選択可能です。なおギター・コードを演奏した場合は、ここで設定した倍音のフィードバック・サウンドを鳴らすことができます。３rd（３度）や５th（５度）に設定すると、通常のフィードバック・サウンドになりますが、1stを選べば音が無限に延び続けるサステイナー的なサウンド、SUBを選べばオクターバー的なサウンドにすることもです
またフィードバック信号をトランスポーズしてハーモニーを生成したり、３rdを調整してメジャー／マイナーを変えたりなど、キーに合わせた細かい設定も行えます。
Ebowのようなサステイン・サウンドも実現。シンセ・パッドやリードに使うのも効果的
先述したように、メイン画面上部にはドライ・ノブとウェット・ノブがあり、ドライ・ノブで原音を、ウェット・ノブでフィードバックを個別に音量調整できます。面白い使い方としては、ドライを0%にしてウェットのみアクティブにすること。HEET SOUND PRODUCTS Ebowを使ったようなロング・サステイン・サウンドを演出することができます。
筆者は楽曲のアクセントとしてEbowを使うことがあるのですが、Ebowを手に持っての演奏は慣れるまでなかなか難しいもの。AcouFiendのように、こういった特徴的なサウンドが手軽に出せるのはうれしいです。ちなみにプリセットの豊富さもポイント（画面①）。ここからいろいろ選んで、面白いサウンドを見つけるのもよいでしょう。
さらに、AcouFiendはギターのみならず、シンセ・パッドに使っても良いです。シンセ・パッドのロング・トーンに動きや音色変化が加わるため、とても面白い効果が得られます。一方、シンセ・リードにインサートすれば、ロック感あふれるシンセ・サウンドを作ることができました。
このようにAcouFiendはギターだけでなく、シンセやボーカル、コーラスなど、さまざまなパートに用いることで新しいサウンドを得られるでしょう。単なるフィードバック・サウンドだけでなく、サウンドにアクセントを求めているクリエイターにもお薦めします！
BLUE CAT AUDIO Blue Cat's AcouFiend【特殊処理】
8,760円
Requirements
■Mac：OS X 10.7以上、AU/AAX/VST（いずれも32/64ビット）対応のホスト・アプリケーション、INTELプロセッサー
■Windows：Windows Vista/7/8/10、AAX/VST（いずれも32/64ビット）対応のホスト・アプリケーション、SSE2命令セットに対応したプロセッサー（Pentium 4 以降）
