昨今の洋楽ダンス/クラブ・ミュージック・シーンにおける主流なシンセ・サウンドやミックス・テクニックなど、最新の音作り術をプロ・クリエイターたちが紹介! 最後は、EDMのドロップなどで用いられるリード/コード・シンセを前面に張り付いたようなかっこいいサウンドにする手法を、作曲家/サウンド・クリエイターのSoda Sphereが解説します。
ドロップのリード・シンセの音抜けを良くするEQテクニック
最後にお伝えするのは、昨今のダンス・ミュージック……特にフューチャー・ハウス系のアーティストが多用しているEQテクニックです。ドロップで用いられるリード・シンセやコード・シンセなどを、音像の最前面にビッタビタに張り付いたようなサウンドにする手法として知られています。
フューチャー・ハウスは2014年にパリ出身のDJ/プロデューサー、Tchamiが提唱したハウスのサブジャンルの一つです。エレクトロ・ハウスのような明るさと、ディープ・ハウスのようなダークな側面を併せ持ち、近年までに数多くの楽曲が制作されています。
よくダンス・ミュージックを始めた人から“ドロップのシンセ・リードが海外人気曲のように音抜けしない”といった悩みを聞くのですが、このテクニックを使用することで、最前線のダンス・ミュージック楽曲のようなドロップ・サウンドにすることができるでしょう。
参考音源
POINT:6〜9kHz以上をブーストする
このテクニックはとても簡単! ドロップで登場するリードやコードなどの上モノにおいて、約6〜9kHz以上の高域をシェルビングEQで大胆にブーストするというもの。これによって張り付いたようなサウンドにすることができます。
またEQの中には“エアー”といった超高域に対応するパラメーターを搭載しているものがありますが、これを併用するのも有効。ギターやピアノなどの生音に使用すると、上品な空気感を付加することができるでしょう。
このテクニックの注意点は、高域を過剰にブーストし過ぎてしまうこと。特にノイズを含む音にこの処理を行うと耳障りになりがちです。自分の耳に頼りながら、良いあんばいを探ってみましょう。
完成した音源の試聴はこちら!
Soda Sphere
【Profile】23歳の作曲家/サウンド・クリエイター。18歳のころにSTEINBERG Cubaseを用いた作曲を始める。3年後には登録者数311万人を誇るYouTubeチャンネルAirwave MusicTVから代表曲となる「You And Me」を発表し、世界のトップDJの一人であるニッキー・ロメロからサポートを受ける。