昨今の洋楽ダンス/クラブ・ミュージック・シーンにおける主流なシンセ・サウンドやミックス・テクニックなど、最新の音作り術をプロ・クリエイターたちが紹介! アグレッシブかつ壮大な空気感を持つ新世代のEDMサウンド“フューチャー・レイブ・シンセ”(Future Rave Synth)の作り方を、作曲家/サウンド・クリエイターのSoda Sphereが解説します。フューチャー・ハウス(Future House)やプログレッシブ・ハウス(Progressive House)、ベース・ハウス(Bass House)などのクリエイターもぜひ取り入れてほしいテクニックだ!
一気に今っぽい雰囲気になる新世代EDMサウンド
ここでは、リバーブやスタッター・エフェクトを利用したシンセ・リード、フューチャー・レイブ・シンセの作り方についてご紹介します。
フューチャー・レイブは、2019年にエレクトロ・ハウスの巨匠とも言われるDJ/プロデューサーのデヴィッド・ゲッタと、デンマーク出身のDJ/プロデューサーMORTENが生み出したとされる新興ジャンルです。アグレッシブかつ壮大な空気感を持つシンセ・リード、パンチのあるキック、躍動感のあるベース、全体的にダークな雰囲気のサウンドが特徴的で、2022年の今もなお勢いを増しつづけている注目の音楽だと言えるでしょう。日本でもDJ KOOさんなどが、早速DJプレイのセット・リストに加えているようです。
フューチャー・レイブ・シンセを曲に取り入れるだけで、一気に今っぽい雰囲気になること間違い無し。あなたも新世代のEDMサウンドを曲に取り入れてみませんか?
参考音源
STEP 1:ソフト・シンセにノコギリ波形をアサイン
フューチャー・レイブ・シンセはノコギリ波を基本に構成されています。まずはソフト・シンセを立ち上げ、オシレーターにノコギリ波をアサインしましょう。ソフト・シンセはノコギリ波が扱えるものならOKです。また音に厚みを出すために、オシレーターをもう一つ重ねるのも良いアイディアだと思います。ノコギリ波をアサインしたらアタック・タイムを速めに設定し、メインとなるリフのメロディを打ち込んでみましょう。フューチャー・レイブ・シンセのリフでは、どちらかというと音価の短い音を多用するとそれっぽくなりますので試してみてください!
STEP 2:リバーブのオートメーションを描く
フューチャー・レイブ・シンセで大切なのが深めにかけたリバーブ。このリバーブでノート間のすきまを埋めてあげましょう。リバーブのプラグイン・エフェクトを挿し、プリディレイとディケイを遅めに調整します。今回はプリディレイを56.16ms、ディケイを13.91sとしてみました。さらにドライ/ウェットのパラメーターにオートメーションを設定し、ノート間にフェード・インするように描きます。こうすることでリバーブが追いかけてくるような演出になり、単純なリフでも飽きずに聴かせることが可能です。この手法はフューチャー・ハウスなどでもよく使用されるテクニックなのですが、さまざまなジャンルに応用することができるでしょう。
STEP 3:リバース音を作成してスタッターをかける
細かいテクニックとして、リフの最初の音のみを書き出したオーディオ素材をリバースし、さらにスタッター・エフェクトをかけてリフの最初の音の手前に配置するという技があります(赤枠)。スタッター・プラグインではレートを32分音符に設定すると、勢いよく迫ってくるような演出が可能です。
またリフのロング・トーン部分でこうしたスタッター・エフェクトを挿入するのもお薦めですし、音が減衰していくときにテープ・ストップ・エフェクトを使用するのも面白いと思います。クオリティの高い楽曲を作るには、細かい部分へのこだわりとテクニックの積み重ねが大切です。最近は便利なマルチエフェクト・プラグインも多くリリースされているので、いろいろ使ってみるとよいかもしれません。より一層あか抜けたフューチャー・レイブ・シンセにすることができるでしょう。
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Soda Sphere
【Profile】23歳の作曲家/サウンド・クリエイター。18歳のころにSTEINBERG Cubaseを用いた作曲を始める。3年後には登録者数311万人を誇るYouTubeチャンネルAirwave MusicTVから代表曲となる「You And Me」を発表し、世界のトップDJの一人であるニッキー・ロメロからサポートを受ける。