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UJAM Usynth Bundle レビュー:シンプルな操作体系を備えたソフト・シンセ3種類を収録するバンドル

UJAM Usynth Bundle レビュー:シンプルな操作体系を備えたソフト・シンセ3種類を収録するバンドル

 Virtual Guitaristなどの多彩な音源で人気のメーカー、UJAMからソフト・シンセが出た! “より良い音楽をよりはやく”がキャッチ・コピーのUJAMだから、気にならないわけが無い。早速チェックしてみたいと思う。

※2022年4月12日現在、新たなシンセのCoreとDeluxeが加わり、計5種類を含むバンドルとなっています。それに伴って価格も変更されております

2つのノブでシンセ音色のエディットが可能。ミュージシャン心を押さえた絶妙な効き方

 Usynth Bundleは2080、Euphoria、Caramelという3種類のシンセがセットになったパッケージであり、それぞれは単体でも購入可能だ。まずはその3種類に共通する操作系を見てみるとしよう。画面は大きく3つに分かれており、シーケンサー・セクション、シンセサイザー・セクション、Finisherセクション(エフェクト)が並ぶ。同社お得意のシンプルかつ視認しやすい操作系だ。

 画面左側のシーケンサー・セクションは、パターンを打ち込むというよりもアルペジエイター的な機能。フレーズやアルペジオなどのカテゴリー内に用意されたさまざまなパターンを選択でき、大きな丸いノブでは4分から32分音符、付点や3連などの音符の長さが指定できる仕様だ。さらにその下の4つのノブでは、ノートの長さやスウィング、オクターブ幅、パターンの長さが調整でき、細かい設定も可能となっている。

 画面中央に位置するのが肝であるシンセサイザー・セクションで、ここも極めてシンプルな作りだ。全体のプリセットとは別にシンセ音色だけを変更可能で、“Dark←→Bright”で明りょう度、“Slow←→Fast”で立ち上がりの速さやキレが、それぞれ簡易フィルターとエンベロープといった感じで調節できる。これがまたシンプルながらミュージシャン心を押さえた絶妙な効き方で、何より素早く楽曲制作に取り掛かりたくなる気持ちになる。さらにその下にある小さな3つのノブでは、各音色に合ったパラメーターが自動でアサインされ、より大胆に調整できるようになっている。

 画面右側にあるのが、同社のエフェクト系プラグインでもおなじみのFinisherだ。ここではコンプなどのダイナミクス系からディストーションなどの倍音付加系、ローファイ系、さらにディレイ、フィルター、フェイザー、コーラス、ゲートなど盛りだくさんのエフェクトが、Single/Dual/Quadというカテゴリーに大別されて用意してある。大きなノブでドライ/ウェット、さらに下の4つのノブではそのエフェクトに合ったパラメーターが都度アサインされ、シンセサイザー・セクションと同様に大胆かつ細かい調整が可能だ。また、独立したDelayとAmbience(リバーブ)も画面下部に用意しており、これらも含めると合計3系統のエフェクトが同時に使用できるという十分な仕様になっている。

 さらにもう一つ、個人的に興味深いセクションを紹介しよう。これまで触れてきた3つのセクションにはそれぞれサイコロ・マークが用意されていて、これは画面左下のSurpriseボタンと連動している。そして各セクションのサイコロ・マークをオンにして左下のSurpriseボタンを押すと、各パラメーターがランダムに変化。予測不能な音色を生成することが可能になる。このSurprise機能はセクションごとにオン/オフできるので、例えばFinisherだけサイコロを振って気に入ったエフェクトが出るのを待つ、といったこともできてしまう。加えてSmall/Bigノブでランダム加減の調整もできるので、選んだプリセットから少しだけいじったり、全く新しいパターンや音色を出現させることも可能なのだ。昨今のモジュラー人気などで注目される、偶発性のための必然性がここにある。

 最下段には鍵盤が表示されており、その右側の?ボタンを押すとキー・スイッチの説明を表示したり、ピッチ・ベンドのレンジ、スケール&コード機能の設定が可能となる。シンプルと言いつつもこれだけ多くのパラメーター設定ができ、ユーザーの希望に沿う音色エディットにもかなり応えてくれそうだ。

どのシンセも100種類以上のプリセットを収録。シーケンサーのパターンは即戦力になる

 それでは各シンセをチェックしていこう。2080はシンセウェーブを得意とする内容で、フューチャー・レトロな音色のプリセットが100種類以上用意されている(メイン画面)。シーケンサー・セクションではMelodies/Sequences/Arpeggios/Chordsというカテゴリーにさまざまなパターンが用意されており、それらを選んで鳴らしてみればトラックの一部が完成してしまうのでは……という即戦力感がある。シンセサイザー・セクションで選べる音色にはDepeche ModeやPopcornといったニヤリとするネーミングも見られた。

 EuphoriaはEDM系に特化したシンセで、スタジアムで響くビッグ・ルームなサウンドを中心に、こちらも100種類以上のプリセットが収録されている。トランスやハードスタイル、フューチャー・ベースなどのアグレッシブなジャンルはもとより、ポップスなどでも使えるストリングスやオルガンのプリセット・カテゴリーもあるので、想像よりも幅広く使える印象だ。Surprise機能でどんどん遊んでみたい欲にも駆られる。

EDMなどクラブ・サウンドに向いたEuphoria

EDMなどクラブ・サウンドに向いたEuphoria。ストリングスやオルガンなど、他ジャンルでも生かせるサウンドも収録する

 Caramelはパッドに特化したシンセで、優しく包むようなサウンドから重厚なものまで100種以上のプリセットが収録されており、2080とEuphoriaとの相性も抜群だ。シーケンサー・セクションのPhrases/Rhythms/Arpeggiosというカテゴリーのフレーズは、コードを白玉で弾いてしまいがちなパッドの新たな表情に気付かせてくれるだろう。

パッド・サウンドに特化したCaramel

パッド・サウンドに特化したCaramel。シーケンサー・セクションを使うことで、白玉で打ち込んだパッドも動きのあるサウンドへと変化する

 とにかく触っていて楽しいと感じられるUsynth Bundle。UJAM公式動画で引用されているアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの言葉、“完ぺきとは付け加えるものが無いときではなく、取り除くものが無いときである”という一節をまさに体現していると言えるシンセだ。

 

REMO-CON
【Profile】ハード・ダンス系を軸とするDJ/トラック・メイカー。これまでに浜崎あゆみやAAAなどのリミックス、東京オリンピック閉会式で編曲を担当した。FMヨコハマやblock fmでラジオDJも務める。

 

UJAM Usynth Bundle

18,000円

UJAM Usynth Bundle

REQUIREMENTS
▪Mac:macOS 10.14以降、AU/VSTに準拠(バージョン1.1でAAXにも対応)
▪Windows:Windows 10以降、VSTに準拠(バージョン1.1でAAXにも対応)
▪共通項目:8GB以上のRAM、3.34 GB以上のハードディスク空き容量、1,280×768以上のディスプレイ解像度

製品情報

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