ワンランク上のコンデンサー・マイクで歌録りのパフォーマンス&録り音を向上させたい方向けに、10~20万円台の現行モデル15機種をエンジニア&ボーカリストがレビュー!ここでは、SONY C-100を紹介。メインと高域用の2つのカプセルを有するトランジスター仕様のマイクです。
メイン+高域の2ウェイ・カプセルを有する国内生産の一本
メイン/高域用の2つのカプセルを有するトランジスター仕様のモデル。いずれのカプセルもバック・プレートの音響インピーダンスを低減し、メインの方は高感度化、高域用の方は50kHzまでの高域特性を実現。また両方共、ポリエーテルイミドを使い絶縁性を高めている。
価格:オープン・プライス(市場予想価格:172,568円前後)
●発売年:2018年 ●ダイアフラム径:25mm(メイン)、17mm(高域用) ●指向性:単一/無/双 ●アンプ回路:トランジスター ●ハイパス・フィルター:70Hz ●PAD:-10dB ●出力インピーダンス:90Ω±15% ●外形寸法:40(φ)×175(H)mm ●重量:約290g
【Engineer】低域がしっかり出つつも濁りがない〜中村公輔
カプセルが2ウェイという珍しい構造。メインのカプセルに高域用のカプセルを追加して50kHzまで収音できるという、高解像度録音に向けた仕様です。70μmの厚膜銅箔基板を使っているのも、密度の高い音が期待できてワクワクするポイントですね。
実際のサウンドは、一言で表すと“正確”。高域の伸びに耳がいくかと思っていましたが、ボーカルに関して言うと、むしろ低域へのフォーカスがボケけないでタイトに聴こえるのが特徴的です。その低域は、ほかのマイクと比べても出て聴こえる方ですが、太い部分の濁りがなく、散らかって聴こえません。ビンテージ・マイクのまとまり感とは対極で、クリーンな音を突き詰めた結果、エフェクトで加工しなくても扱いやすい音になっているのだと思います。これは驚きですし、カット方向のEQが減らせそうですね。
【Male Vocalist】オケに対して声がバランス良く聴こえる 〜高畠俊太郎
オケに対して声がすごくバランス良く聴こえて、歌いやすかったです。声を張っても耳障りに感じられず、とにかくなじみが良い。歌っているそばから、返しの音がオケにきちんとミックスされていくような感覚だったし、歌った曲との相性も良かったのだと思います。周波数的な特徴としては、高域が抜け良く聴こえましたが、とてもナチュラルだと感じました。
【Female Vocalist】自然な録り音でエディットもしやすそう 〜シバノソウ
ツルっと奇麗に録音されている感じで、“プロ用のスタジオできちんと録った音”という印象を受けました。マイク独自のニュアンスも付いていると思いますが、すごく補正されているわけではなく自然に録れており、小さい声から張った声までしっかり聴こえたので、安定感がありますよね。録音後のエディットもしやすそうですし、幅広いジャンルに対応するマイクだと思います。
製品情報
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レビュワー紹介
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特集のイントロでも健筆を振るってくれたエンジニアの中村公輔氏。今回は、普段からエンジニアリングで携わっているボーカリスト2名を招いて、モニター音やプレイバックを聴き、各マイクを評価した
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アーティスト/シンガー・ソングライター。2020年にリリースしたアルバム『あこがれ』からエモーショナルなポップ曲「あこがれの先」を選び、製品チェックに臨んでくれた