ワンランク上のコンデンサー・マイクで歌録りのパフォーマンス&録り音を向上させたい方向けに、10~20万円台の現行モデル15機種をエンジニア&ボーカリストがレビュー!ここでは、セルフノイズを人間の可聴音量以下に抑えたLEWITT LCT 540 Sを紹介します。
ソースの細部を確実に捉えるよう設計された低ノイズ機
新規開発の特別な計測機器を用い、あらゆる帯域のセルフノイズを人間の可聴音量以下に抑えたFET仕様のモデル。すべてのパーツは厳選および調整されたもので、132dBのダイナミック・レンジも手伝い、ボーカルや楽器を細部まで逃さずに捉えるという。
価格:100,100円
●発売年:2018年 ●ダイアフラム径:25mm ●指向性:単一 ●アンプ回路:FET ●ハイパス・フィルター:80/160Hz ●PAD:-6/-12dB ●出力インピーダンス:68Ω ●外形寸法:52(W)×158(H)×36(D)mm ●重量:371g
【Engineer】声が小さい人にもお薦めの超低ノイズ性能 〜中村公輔
“人間の聴力のしきい値を下回るセルフノイズ”をうたっているだけあって、ノイズがかなり小さいです。スタジオでよく歌録りに使われているマイクでも、等価ノイズ・レベルは12dBくらいなのですが、本機は4dBしかありません。コンプで-8dBリダクションして持ち上げても、まだまだスタジオ・クオリティのクリアさということで、ちょっと驚異的なんじゃないでしょうか。声が小さくて、録り音のノイズが気になってしまう人は、本機+低ノイズのプリアンプで録音すれば悩みが一気に解決しそうです。
音色もクリアに感じられますが、クリアと言っても周波数的にさわやかに聴こえる脚色がされたような音ではなく、適度に太さもあるナチュラルな方向。後述する同社LCT 940をFETのみで増幅したときより、わずかに太めな印象です。
【Male Vocalist】自分の中でスタンダードな感覚の一本 〜高畠俊太郎
いつも使っているビンテージ・マイクに近い感じで、何の違和感もなく、普段と同じようにパフォーマンスできました。声量やピッチのコントロールがやりやすく、自分の中ではスタンダードな感覚のマイクです。サウンドは、中高域をほんの少し押し出してくれる印象ですが、出すぎていたり嫌味だったりするわけではなく、全体的にフラットな傾向だと思います。
【Female Vocalist】オケと相まった声に広がりを感じる 〜シバノソウ
録音中のモニターで歯擦音がはっきりと聴こえていたため、最初は少し戸惑ったのですが、プレイバックを聴くと逆にオケと相まって声に広がりを感じました。幅広い周波数の音を拾ってくれると思うので、ロック系のバンド・サウンドの中でもこぢんまりとせず、声の良い部分を押し出してくれるでしょう。レンジが広いので、いろいろなアプローチに対応できるマイクだと思いますね。
製品情報
レビュワー紹介
Engineer|中村公輔
特集のイントロでも健筆を振るってくれたエンジニアの中村公輔氏。今回は、普段からエンジニアリングで携わっているボーカリスト2名を招いて、モニター音やプレイバックを聴き、各マイクを評価した
Vocalist|高畠俊太郎
LOOP LINE PASSENGERで活動中のボーカリスト/ギタリスト/ソングライター。今回は、同バンドのミドルテンポ・ロック・チューン「life」を歌い、各マイクを試した
Vocalist|シバノソウ
アーティスト/シンガー・ソングライター。2020年にリリースしたアルバム『あこがれ』からエモーショナルなポップ曲「あこがれの先」を選び、製品チェックに臨んでくれた