LEWITT LCT 940 ~【10~20万円台】ワンランク上のコンデンサーマイク15本をレビュー

ワンランク上のコンデンサー・マイクで歌録りのパフォーマンス&録り音を向上させたい方向けに、10~20万円台の現行モデル15機種をエンジニア&ボーカリストがレビュー!ここでは、FETアンプと真空管アンプの音色をブレンドできるLEWITT LCT 940を紹介します。

真空管とFETの2つの回路を備え切り替え&ブレンドが可能

LEWITT LCT 940

 クリアかつ歯切れの良いサウンドを特徴とするFETアンプ、ウォームでリッチな音質をうたう12AX7真空管のアンプ。この2つを搭載し、電源ユニットのノブで音色をブレンドできる機種。その音色調整は、FETオンリーからブレンド、真空管のみまでの25段階で行える。

価格:247,500円

●発売年:2014年 ●ダイアフラム径:25.4mm ●指向性:無/広い単一/単一/超/双とそれぞれの間の計9段階 ●アンプ回路:FETおよび真空管 ●ハイパス・フィルター:40/150/300Hz ●PAD:-6/-12/-18dB ●出力インピーダンス:200Ω ●外形寸法:60(W)×192(H)×46(D)mm ●重量:662g

【Engineer】音の自然さを保ちつつキャラ変できる〜中村公輔

 かなり個性的な機種で、真空管とFETの増幅回路が一つのマイクに搭載されています。一本で真空管マイクとFETマイクのキャラクターを得られるわけですね。電源ユニットに付いているノブを回すと、両者のキャラクターのブレンド具合を段階的に変えることができて、かなりのバリエーションを作り出せます。

 真空管の方はクリアかつスムーズな音で、ハードに歌っても耳に痛い感じにならず気持ち良い。それと比べてFETの方は、バリッとエッジが立って前に出てくる音で、重心もちょっと上がるような感じ。この2つのバリエーションだけでも、結構いろいろなシチュエーションに対応できそうだと思います。そしてブレンドしてみると、温かみのある音へ段階的にエッジを足して好みの音にできました。自然な音のままキャラクターを変えられるのは便利ですね。

【Male Vocalist】曲に応じて音色を変えられる面白さ 〜高畠俊太郎

 真空管の方は割とフラットな印象で、FETは真空管に比べると高域が出ています。両者を半々でブレンドすると、バランス良くミックスされた感じになりました。FETとブレンドは、声を張ったときのエッジを出したい曲に使うと有効でしょう。曲によって音色を変えられるのは面白いですね。基本的な性能も良く、ピッチが取りやすくて歌いやすかったです。

【Female Vocalist】豊かな録り音で歌がうまく聴こえる 〜シバノソウ

 真空管のモードは、マイク自体が音量をならしてくれる感じで、歌いやすかったです。そして、その録り音を聴いたとき、自分が思う以上に声の余韻までしっかりと録音されていて驚きました。吐息や歌の切れ際の空気までキャッチしてくれるので、自分の歌がうまく聴こえる感じです。FETモードは真空管よりも高域が控えめに聴こえました。個人的には真空管の音の方が好みです。

製品情報

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