ワンランク上のコンデンサー・マイクで歌録りのパフォーマンス&録り音を向上させたい方向けに、10~20万円台の現行モデル15機種をエンジニア&ボーカリストがレビュー!ここでは、ウィーンでハンドメイドされているAUSTRIAN AUDIOのコンデンサー・マイク、OC18を紹介します。
ウィーンでハンドメイドされた単一指向性カプセルを搭載
AKG CK12カプセルを設計のリファレンスとし、ウィーンでハンドメイドされているシングル・セラミック・カプセル=CKR6を採用した機種。AUSTRIAN AUDIOのフラッグシップ機OC818と同等のクオリティを特徴としつつ、単一指向性に絞っている。
オープン・プライス(市場予想価格:128,700円前後)
●発売年:2017年 ●ダイアフラム径:25mm ●指向性:単一 ●アンプ回路:FET ●ハイパス・フィルター:40/80/160Hz ●PAD:-10/-20dB ●出力インピーダンス:275Ω ●外形寸法:63(W)×157(H)×35(D)mm ●重量:335g
【Engineer】明るめのトーンで中域の質感が上品 〜中村公輔
往年の名カプセルAKG CK12をベースとしつつ、リングをブラスではなくセラミックにしたCKR6を採用。それもあって、高域が少し強調されたトーンで、原音よりも明るめできらびやかになる傾向です。中域も前に出て聴こえますが、ザラつきの粒子が細かい感じで品が良く、特に女性ボーカルは気持ち良く聴こえますね。男性ボーカルもザクザクしすぎずに前へ出るので、ニューウェーブ的な方向の音楽などにハマりが良さそうだと感じました。とは言え、割と用途を選ばずオールマイティに使えるマイクです。
本機は、各個体の感度差が1dB以内なので、2本あればステレオ録音に使えるのもすごいところ。弾き語りのボーカルとアコギへ個別に立てるべく2本買ったら、ピアノやドラムなどにも使える汎用性の高さを備えています。
【Male Vocalist】フラットな音で声が素直に返ってくる 〜高畠俊太郎
モニター・ヘッドフォンへ自分のボーカルが素直に返ってきて、どこか特定の帯域を押し出した感じもしなかったので、周波数的にフラットな方向性で作られているのだろうと思いました。声を張ったときは耳に痛く聴こえず、マイルドな印象でしたね。また、声量の大小によるダイナミクスの付き方もナチュラルに感じられ、ピッチが取りやすくて歌いやすかったです。
【Female Vocalist】張らずとも“実の部分”がきちんと入る 〜シバノソウ
マイク自体が音量のバラつきをならしてくれる傾向ではないのですが、歌いやすいと思いました。周波数的には、中低域に少し押し出し感があるものの、歯擦音は気にならず、全体的にまとまっていてバランスが良い。大きな声で歌わなくても、しっかりと“声の実の部分”を拾ってくれるので、自宅でも使いやすと思います。プレイバックの音は、部屋鳴りがやや控えめという印象でした。
製品情報
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レビュワー紹介
Engineer|中村公輔
特集のイントロでも健筆を振るってくれたエンジニアの中村公輔氏。今回は、普段からエンジニアリングで携わっているボーカリスト2名を招いて、モニター音やプレイバックを聴き、各マイクを評価した
Vocalist|高畠俊太郎
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アーティスト/シンガー・ソングライター。2020年にリリースしたアルバム『あこがれ』からエモーショナルなポップ曲「あこがれの先」を選び、製品チェックに臨んでくれた