横山直弘(感覚ピエロ)× VITAL AUDIO VABシリーズ〜宅録環境に向けた国産バランス・ケーブル

横山直弘(感覚ピエロ)× VITAL AUDIO VABシリーズ〜宅録環境に向けた国産バランス・ケーブル

1991年にギター専用の国産ケーブル・ブランドとして発足したVITAL AUDIO。以来、プロの現場を中心としながらケーブルやエフェクト・ペダル用パワー・サプライなどの製品を開発している。この連載で紹介するのは、DAWを中心とした制作システムや宅録環境に向けたバランス接続ケーブル、VABシリーズ。今回は4人組ロック・バンド、感覚ピエロのボーカル/ギターを担う横山直弘に、VAB -Professional Balanced Cable-(以下VAB)と、ステレオ接続を想定した2本入りのペア・パッケージ、VAB Pair -Professional Balanced Cable-(以下VAB Pair)を試していただき、その感想をきいた。

Photo:Takashi Yashima

VITAL AUDIO VABシリーズ 製品概要

 VAB -Professional Balanced Cable- 

VAB -Professional Balanced Cable- XLRオス/XLRメス:5,280円(0.5m)〜|XLRオス/TRS:4,730円(0.5m)〜|XLRメス/TRS:4,950円(0.5m)〜|TRS/TRS:4,510円(0.5m)〜

VAB -Professional Balanced Cable- XLRオス/XLRメス:5,280円(0.5m)〜|XLRオス/TRS:4,730円(0.5m)〜|XLRメス/TRS:4,950円(0.5m)〜|TRS/TRS:4,510円(0.5m)〜

 DAWを中心とする音楽クリエイターや宅録ユーザーに向けて開発されたバランス接続ケーブル。線材やゴールド・メッキ仕様プラグの生産は国内で行われ、組み立てに関しても国内の専門工場で熟練の職人が手掛けている。導体は軟銅線で、架橋ポリエチレンの絶縁体を使用。4芯構造を採用して、導通体積を拡大することでクリアかつワイド・レンジなサウンドを実現する。また、その4芯をメッキ軟銅線でまとめてシールドすることにより、ノイズの混入を低減している。なお製品ラインナップは多岐にわたり、同一のケーブルを2本セットにしたペア・パッケージ、VAB Pair -Professional Balanced Cable-(下記)も存在する。

 VAB Pair -Professional Balanced Cable- 

VAB Pair -Professional Balanced Cable-
XLRオス/XLRメス:10,010円(0.5m)〜|XLRオス/TRS:9,020円(0.5m)〜|XLRメス/TRS:9,570円(0.5m)~

VAB Pair -Professional Balanced Cable-
XLRオス/XLRメス:10,010円(0.5m)〜|XLRオス/TRS:9,020円(0.5m)〜|XLRメス/TRS:9,570円(0.5m)~

クリアでレンジの広いサウンド

 VABとVAB Pairを手に取ってまず目がいくのは、シルバーでキラキラした外観。ケーブルは黒が一般的ですが、こちらは視覚的にテンションが上がります。触り心地も硬すぎず柔らかすぎず。サッと手巻きすると簡単にまとめられて便利です。テストではコンデンサー・マイクとオーディオ・インターフェースの間をVABでつなぎ、ボーカルの録音を行ってみました。サウンド面におけるVABの第一印象は、まさに“クリアでレンジの広いサウンド”とWebサイトに記載されているとおり! これまでいろいろなブランドのケーブルを試してきましたが、VABはその中でもノイズレスに感じます。

 “広いレンジ感”という部分も見逃せません。ボーカル自体の音像が大きくなり、声の輪郭がはっきり見えるようになるため、歌詞が聴き取りやすくなりました。ケーブルを変えるだけでこんなに音質が変わるのは驚きです。

 録音時、僕は普段からUNIVERSAL AUDIO Apollo x4搭載のUNISON機能を使ったUADプラグイン・エフェクトのかけ録りを多用しているのですが、ここでも大きな変化が。音がクリアに、かつレンジも広くなったおかげで、各エフェクトの変化がより鮮明に分かるようになったのです。高域が明瞭になり、トランジェントや倍音成分も分かりやすくなりました。

冷静に音をジャッジできるケーブル

 次はモニター・スピーカーとオーディオ・インターフェース間をVAB Pairでステレオ接続し、その出音を確認しました。もともと使っていたケーブルはどちらかというとファットに聴こえる傾向のものだったので、最初は若干物足りなさを感じました。しかし、しばらく作業をしていると、その印象がガラリと変わったのです。

 具体的には、VABと同様、VAB Pairは余分な色付けをせずにクリアなサウンドになるので、EQやフィルター、サチュレーションなどのエフェクト調整がより追い込めるようになるのです。今まで“ブーミーに聴こえる”という理由でカットしていた帯域が、実はおいしい部分だったということに気付くことができます。このように、VABシリーズは一聴すると派手なサウンドではないのですが、冷静に音をジャッジでき、これまで使っていたツールの魅力を引き出してくれるケーブルとも言えます。価格も良心的なので、ケーブルをアップグレードしたいビギナーの方から、よりより制作環境を構築した上級者の方まで幅広くお薦めできるでしょう!

 

横山直弘
【Profile】1992年5月30日生まれ、北海道岩見沢市出身。ロック・バンド感覚ピエロのボーカル/ギタリストで、作詞/作曲/編曲/マニピュレートを担当している。

製品情報

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