プロの作曲家が語るSPITFIRE AUDIOの魅力とは?

土屋俊輔、カワイヒデヒロ、本間昭光、鈴木光人、牧戸太郎が語るSPITFIRE AUDIOの魅力とは?

プロフェッショナルから高い信頼を得ているSPITFIRE AUDIO。ここでは、普段からSPITFIRE AUDIOのライブラリーを活用している5名のコンポーザー、土屋俊輔、カワイヒデヒロ、本間昭光、鈴木光人、そして牧戸太郎に、そのサウンドの魅力や活用法を語ってもらった。

土屋俊輔が語るSPITFIRE AUDIOの魅力

土屋俊輔

【Profile】『アナザーエデン』シリーズや『鬼ノ哭ク邦』など、ゲームの劇伴を中心に活躍する作編曲家。最近は自身が所属するプロキオン・スタジオの作編曲家である光田康典が手掛けた『クロノ・クロス』のライブにアレンジャーとして参加。

 Recent work 

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『ANOTHER EDEN ARRANGE ALBUM Volume 1 Faraway from Time - GALA Edition NOON STAGE -』
トキノワスレモノ
(プロキオン・スタジオ)

プリセットが優秀で曲のイメージが湧いてくる

 SPITFIRE AUDIOの製品は複数のマイクで収録されているものが多いですが、収録音がとても丁寧で使いやすく、特にクローズ・マイクがデッドな点が気に入っています。余計な残響が無い分、打ち込みと生音を混ぜるときには重宝します。

 

 よく使用するのはSpitfire Percussion。オーケストラ系はもちろん、アゴゴやカバサといった楽器までハイクオリティに収録されており、とても使いやすいです。ゲームなどの劇伴では生音と打ち込みを混ぜることも多いので、基本はクローズ・マイクのデッドな音を中心としつつ、曲調によってツリーやアンビエンス・マイクの残響を少し足すことが多いですね。

 

 少しアンビエントな音色が欲しいときにはAlbion V Tundraが活躍します。プリセットが優秀で、そのサウンドを鳴らすだけで曲のイメージが湧いてきますね。プリセットを元に曲に合わせて音色を微調整することで、さらにスキの無いサウンドを作れます。

 

カワイヒデヒロが語るSPITFIRE AUDIOの魅力

カワイヒデヒロ

【Profile】独学で作曲をはじめ、大学卒業後より作編曲家/ベーシストとしてキャリアをスタート。fox capture planのベーシストとしても活動する。『コンフィデンスマンJP』や『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』など、多くのTV番組や映画の楽曲を担当。

 Recent work 

『ドラマ「レッドアイズ 監視捜査班」オリジナル・サウンドトラック』
カワイヒデヒロ
(バップ)

素材を生かしたサウンドで生とのミックスにも適している

 Abbey Road OneやSpitfire Symphonic Stringsなどを所有していますが、ここ数年は、BBC Symphony Orchestraが劇伴制作で大活躍しています。独自エンジンの動作も軽い印象です。MIDIチャンネルごとのアサインで奏法をコントロールできるところは、個人的にキー・スイッチよりも便利だと感じます。うっかりトランスポーズしちゃったりしますので(笑)。サウンドがとにかく素晴らしいので、デモ段階でもよく“これ打ち込みですか?”と言われることもありますね。

 

 昨今は大型の編成を呼ぶのも難しいので、BBC Symphony Orchestraと生のオーケストラを混ぜることもあります。リバーブに癖が無く、素材をそのまま生かしている感じもあり、モックアップに一番適しているライブラリーと言えるでしょう。エンジニアに“後でBBC Symphony Orchestraを混ぜると思います”と伝えておくことで、なじみやすいようにオケを録ってくれます。手軽に迫力あるサウンドが手に入るのでお勧めです。

 

本間昭光が語るSPITFIRE AUDIOの魅力

本間昭光

【Profile】作編曲家/キーボーディスト/プロデューサー。いきものがかり、ポルノグラフィティ、鈴木雅之、ももいろクローバーZ、THE BAWDIES、渡辺美里、一青窈、関ジャニ∞などの作品を手掛けている。Purple One Starのレーベル・プロデューサーも担当。

 Recent work 

『COMPLEX』
クリス・ハート
(ユニバーサル)

自然な残響が曲の仕上がりに深みを与えてくれる

 Spitfire Chamber StringsやSpitfire Studio Strings、Spitfire Symphonic Stringsなど、多数のライブラリーを使っています。これらが持つ自然な残響が、曲の仕上がりに深みを与えてくれるんです。残響のバランスは曲によって調整しますが、今までエンジニアに“残響が邪魔だ”と言われたことは一度もありません。それくらい自然だということでしょう。BBC Symphony Orchestraなどストリングス以外のサウンドを含む製品もあり、劇伴だけではなくポップスのアレンジにおいても万能な仕事っぷりを見せてくれます。

 

 Spitfire Chamber Stringsは、バンド編成のアレンジにおいて非常に効果的な存在感を生み出してくれるからありがたいです。しっかりとしたスコアリングを施すと、生で演奏したかのごとく鳴ってくれます。これはSpitfire Studio Stringsも同様です。また、Spitfire Symphonic Stringsはバラード系では外せません。よくやるのは、全体感のアレンジを施した上で、1stバイオリン/2ndバイオリン/ビオラ/チェロにデータを分け、Spitfire Studio Stringsでパート別にエクスプレッションでニュアンスを加えてレイヤーする方法。曲に合わせてSpitfire Studio StringsではなくSpitfire Chamber Stringsにする場合もあります。

 

鈴木光人が語るSPITFIRE AUDIOの魅力

鈴木光人

【Profile】スクウェア・エニックス所属のコンポーザー。『ファイナルファンタジー VII リメイク』をはじめとするファイナルファンタジー・シリーズなどのゲーム・ミュージックを手掛ける。TVアニメの楽曲や舞台音楽の制作など、多方面で才能を発揮。

 Recent work 

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『FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE Original Soundtrack』
Various Artists
(SQUARE ENIX MUSIC)
©1997, 2021 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA/ROBERTO FERRARI

サウンド・クオリティと使いやすいインターフェースが魅力

 Albionシリーズのほか、Spitfire Percussion、Hans Zimmer Percussion、Eric Whitacre Choir、Spitfire Symphonic Motions、Spitfire Harpも導入していますね。新しいAlbion Solsticeは実戦投入用に準備中です。

 

 SPITFIRE AUDIOは、オーケストラ系からエレクトロニック路線まで幅広くカバーしてるのが魅力の一つです。特に素晴らしいのは、Albion Oneに収録されているSteam Drones/Pads/Plucksの広いレンジと壊れ具合(ほめ言葉です)。シンセ・エンジンのOscillate Mixerによる音色エディットは、紳士的でありつつ変態的~攻撃的なサウンドまで大幅に変更でき、操作は極めて簡単です。Albion Oneは、オーケストラでのマイク・ポジションを変更でき、例えばミックス中に全体が飽和する場合はまずCloseに設定し、共通のリバーブを1つ用意してセンド量の調整加減で改善することが可能。マイク・ポジションを素早く変更できるのは、とても好感が持てます。

 

 SPITFIRE AUDIOはオーケストラのイメージが強いですが、ほかの音源にも共通して言えることはサウンド・クオリティの高さ。優秀なエンジニアによって作り出される音、そして使いやすいインターフェースが、同社の魅力のすべてを物語っていると言えるでしょう。

 

牧戸太郎が語るSPITFIRE AUDIOの魅力

牧戸太郎

【Profile】映画やドラマなどの音楽を多数手掛けるほか、竹内まりや、Hey! Say! JUMP、King&Princeなどのアーティスト楽曲の編曲も行う。最近では日本テレビ系列ドラマ『嘘から始まる恋』、WOWOWオリジナル・ドラマ『向こうの果て』の劇伴を担当した。

 Recent work 

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『向こうの果て』
WOWOWオリジナル・日本テレビ系列ドラマ

広い音響空間でマイキングした音でないとたどり着けない質感がある

 Spitfire Symphonic StringsやBBC Symphony Orchestra、Albion Oneを使っています。お気に入りはAlbion One。ストリングスやブラス、木管など、各セクションの全音域をカバーしたパッチが非常に便利で使い勝手が良く、楽曲のスケッチを起こす際、早く完成に近いイメージの音で試奏したいときに取りあえず立ち上げる音源です。音色そのものもとても美しく、密度も濃いので、生楽器を録音する楽曲でもストリングスの白玉のパッド的な役割をAlbion Oneに担わせることもあります。各音域において音色のばらつきが無くまとまりが良いので、個別の楽器の音色でアンサンブルを組んだときに“どうもしっくりこない”“まとまりが無い”と感じたとき、Albion Oneに置き替えるとうまくいくこともあります。

 

 特に、木管セクションのユニゾンは音の溶け具合が良いですね。個別楽器をそれぞれ重ねていってもこの感じにはならないですし、生録音であってもしかるべき広さを持った音響空間でマイキングした音でないとたどり着けない質感だと思います。迫力あるパーカッションの音色、そのほかフィルム・スコアに特化したシンセ音色やループも多数収録されていて、映像系の音楽を手掛けるクリエイターはぜひとも手元に置いておきたい音源と言えます。

 

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