【動画公開】GLM 4 × 本間昭光 〜GENELEC GLMソフトウェアの最新バージョンを体験

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GENELEC GLM(Genelec Loudspeaker Manager)は、DSP搭載のSAM(Smart Active Monitor)スピーカーの設定/キャリブレート/コントロールを行うことができるMac/Windows対応のソフトウェア。昨年12月に待望のバージョン・アップが実施され、GLM 4として装い新たに登場した。ここでは、GENELECのモニター・スピーカーを長年愛用している本間昭光が自身のプライベート・スタジオでGLM 4を体験。GLMソフトウェアの活用が制作にもたらすメリットや、進化を遂げたGLM 4のファースト・インプレッションを語ってもらった。

Photo:Takashi Yashima

GLM 4 × 本間昭光 〜Impressions

 

 使用機材 

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8331A(写真左)
The Onesシリーズ最小サイズとなるパワード・モニター・スピーカー。同軸構造となるミッドレンジ・ドライバー+ツィーターと、2つの楕円形ウーファーで構成される

GLM Kit
GLMソフトウェアを使ってSAMシステムを制御するためのキット。GLMネットワーク・アダプター(写真左)や測定用マイクを含む

 

1. GLMソフトウェアの2大機能

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 キャリブレーション機能 

 室内の周波数応答、ディレイ、リスニング・レベルを自動調整し、リスニング・ポイントの制限無くルーム・レスポンスを測定。

 モニター・コントロール機能 

 モニタリング・システムの切り替えや、電源のオン/オフ、ソロとミュート、音量調整などを含む設定やコントロールが可能。

 

2. セットアップ

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 GLMソフトウェアにてSAMスピーカーを測定するには、測定用マイク、GLMネットワーク・アダプターがセットとなったGLM Kit(別売)が必要となる。マイクはリスニング・ポイントに設置し、マイクの頂点は耳の高さに合わせる。測定を開始すると、左右のモニターからスウィープ音が発生し、キャリブレーションが行われる。

 

3. 分析結果表示

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 それぞれの帯域における分析、補正結果はグラフで表示される。赤が測定結果、青が補正カーブ、緑が補正後の結果となっている。

 

4. 日本語表記に対応

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 GLM 4では、ユーザー・インターフェースを一新。フィンランドのデザイナー、ハッリ・コスキネン氏とGENELECによって共同開発された。また、今回のアップデートで対応言語も拡張。日本語/英語/中国語/韓国語/ドイツ語/スペイン語に対応した。

 

5. 13種のレイアウト

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 レイアウト・スタイルは、ステレオのほか、マルチチャンネルやイマーシブ・オーディオにも対応し、全13種類から選択可能。上画面は最大レイアウトのHugeで、SAMスピーカーを最大80台以上一括して管理することができる。

 

 REQUIREMENTS 
▪Mac:MacOS 10.11以降(INTEL製CPU。APPLE Silicon CPUの場合はRosetta 2使用でCloud AutoCalにのみ対応)
▪Windows:Windows 10(64ビット版のみ)
▪共通:2GB以上のHDD容量、インターネット接続(インストールおよびGLM AutoCalソフトウェア・ダウンロードなど)、GLM Kit(別売)

www.genelec.jp

 

GLMを使うとすべてにおいて物差しになる
散らかっていた音がビチッと真ん中に来た

 GENELECのモニター・スピーカーを20年以上にわたり愛用している本間。初めて使ったGLMソフトウェアは前バージョンのGLM 3だったと言う。

 

 「低域の処理をするときには1038A、いろいろなアレンジを進めるときは1030Aや1031Aというように使い分けていたんです。20年近く使っていたので、そろそろスピーカー・システムを進化させた方が良いんじゃないかと思ったときに、今まで聴き慣れてきたGENELECの進化版を使いたいなと。アレンジャー/作曲家として、それが一番ストレス無くクリエイトできると思ったので、GLMに対応した8331Aを導入したんです。そこで初めてGLMソフトウェアを試してみて、“なんでこれを早くやらなかったんだろう”と思ったわけですよ。そのくらい、散らかっていた音がビチッと真ん中に来てくれた感じがありました。そうすると、すべてにおいて物差しになるんですよね。だから、ここで作ってちょうど良いバランスのものは、どのスタジオで聴いてもちょうど良い。低音が暴れたり、ガシャガシャしたりすることも無いんです。そういう物差しができたことで、例えば、ピアノとシンセのメロディに、もらった歌データをそのまま乗せるような簡単なデモを作るときでも、心地良く皆さんに聴いてもらえるようなバランスが取れます。逆に、アレンジまで完成させるくらいものすごく作り込む必要があるデモも、出来上がりとほぼ同じイメージで作ることができるんです」

 

分かりやすいユーザー・インターフェース
オールマイティに対応するフラットな特性

 プライベート・スタジオで作業する本間にとって、GLMソフトウェアでのキャリブレーションは、安定したリスニング環境の整備へとつながっているようだ。

 

 「プライベート・スタジオだと、左右非対称な環境になったり、物が共鳴したりすることが多いんです。かつてはその環境での音の特性に慣れるしか無かったんですけど、それを可能な限りフラットにしてくれるのがGLMシステムです。スタジオでも家でも反射音の処理が一番ポイントになると思っていて、特に低域がもっさりしてしまうのが困るんですよね。GLMでは帯域ごとの反射音を全部分析して、ある一定のアルゴリズムの中で処理してくれるんです。非常に安定した環境で聴くことにつなげてくれるソフトだと思います」

 

 さらに、アレンジそのものにも影響を及ぼすという。

 

 「マイクでテスト信号を受信して、分析結果がグラフに出てくるのですが、左右の違いを全部まとめてくれることで、低音が見えるようになる。これが結構大事で、すべてのボイシングにかかわってくるんですよね。低域の倍音が膨れ上がると高域にも影響を及ぼしてしまうので、積み上げ方が全部変わるんです。あと、真ん中を基準にして左右を広げていくので、センターがしっかり見えることも大事ですね。GLMを使うとステレオ・イメージがしっかりします」

 

 また、GLMソフトウェアによる補正の前後で音がどのように変化したか尋ねてみると、次のように語った。

 

 「補正された音と補正前の音を聴き比べてみたら、やっぱり全然違いましたね。補正後は飛び出している帯域や引っ込み過ぎている帯域が全く無いので、信用せざるを得ないんですよ。どんな音楽を聴いてもリファレンスになりますね。今の最新の曲も良いし、昔のジャズやロックンロール、クラシックを聴いてもいいですし。いろいろなジャンルにオールマイティに対応するような、フラットな特性になる感じです。変にキャラクターが付かないのがいいですね」

 

macOS 10.15 Catalinaに対応
最新の分析が一番強いので導入したかった

 ここからは、実際にGLM 4でセットアップからキャリブレーションまで試してもらい、そのインプレッションを尋ねた。

 

 「ダウンロードして、説明も聞かずにできたんです。非常にユーザー・インターフェースがシンプルで、ユーザーに優しいですよね。GLM 4では日本語にも対応したことによって、ものすごく分かりやすくなったと思います

 

 今回のアップデートで一新された、ソフトウェア内の画面表示についても好印象のようだ。

 

 「デザインが格好良くなって分かりやすくなった。近未来的というか、“俺は最先端に居る”と思えるような感じです」

 

 さらに、GLM 4はmacOS 10.15 Catalinaに対応。本間の現在の作業環境への対応も実現した。

 

 「最近Mac Miniに変えたところ、初期設定がmacOS 10.15 Catalinaで。GLM 4がCatalinaに対応したことで、心置きなく現在の状況の最適で最良な音環境が作れるようになったのがすごくありがたいですね。やっぱり最新の分析が一番強かったりするので、早く導入したかったんです。しかも、計測データがクラウドに保存されることによって、作業環境やコンピューターが変わってもすぐ元通りの設定を呼び出せるんですよね」

 

 主にステレオ・モードで使用している本間だが、今後のGLM 4については、より一層の精度向上や、スタジアムなどの大規模な会場での活用にも期待を寄せる。

 

 「最大で80台以上のSAMスピーカーを管理できるんですよね。映画関係の現場だったり、ライブをシミュレーションしたミックスとか、いろいろな使い方があると思うんです。例えば、アリーナ・クラスのスタジアムで収録したときの音の特性を録っておけば、再現するときの参考になるかもしれませんし。今後、もっと多くの人がどんどん分析結果をクラウドに上げることによって、さらに進化していくことを期待したいですね。定期的にキャリブレーションしようと思います」

 

GENELEC 製品情報

www.genelec.jp

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