Astell&Kernは、ソウルを拠点とするDREAMUS COMPANYが2012年から世界展開しているハイレゾ・オーディオ・ブランド。ポータブル・プレーヤーやヘッドフォン/イアフォン、ホーム・オーディオ製品を手掛け、ソースを忠実に再現することを基本理念として掲げている。ここではAstell&Kern初となるワイヤレス・イアフォン、AK UW100をエンジニアの米津裕二郎氏に試していただき、その魅力を伺った。
Photo:Hiroki Obara
AK UW100 製品概要
ワイヤレス再生においても原音忠実なサウンドを目指すべく、Bluetoothチップ・セット内蔵のDAコンバーターとは別に、32ビットDAコンバーターAKM AK4332ECBを搭載するワイヤレス・イアフォン。独自技術のオーディオ回路と組み合わせることで、よりひずみの少ない音質を実現しているという。ドライバー・ユニットにはKnowles社製バランスド・アーマチュア・ドライバーを1基装備し、周囲の音をカットするパッシブ・ノイズ・アイソレーションを採用。付属の充電ケースと併用することで最大24時間再生が可能だ。また専用スマートフォン・アプリAK TWSを使用することで、各操作設定や5種類のEQプリセットの変更にも対応している。
●価格:39,980円 ●Bluetoothチップ・セット:QCC5141 ●ドライバー・ユニット:Knowles社製バランスド・アーマチュア・ドライバー×1 ●DAコンバーター:AKM AK4332ECB ●Bluetoothバージョン:5.2 ●Bluetoothコーデック:SBC/AAC/aptX Adaptive ●Bluetoothプロファイル:HFP/A2DP/AVRCP ●音圧レベル(SPL):94dB(1mW@1kHz) ●イアフォン・コントロール:静電容量式タッチ・コントロール ●再生時間:イアフォン単体で約6時間、充電ケース併用時は合計約24時間 ●重量:約7g(本体)、約65g(充電ケース) ●付属品:専用充電ケース、シリコン・イア・ピース(XS/S/M/L/XL)、USB Type-C充電ケーブル
目立ち過ぎず一癖あるデザインが良い
まず目に飛び込んできたのは、洗練されたデザインのAK UW100と専用の充電ケース。共に高級感があり、ユーザーの心を非常に満足させる見た目をしているんじゃないでしょうか。目立ち過ぎることもなく、でも一癖あるデザインが良いです。
AK UW100を装着すると耳穴の形に自然にフィットし、周辺をぴったりとふさいでくれます。非常に安定感のある着け心地で、重さも気になりません。またAK UW100はパッシブ・ノイズ・アイソレーション方式ですが、アクティブだと思えるくらい周囲の雑音をよく遮断してくれます。外音取り込みを可能にするアンビエント・モードも付いているので便利です。
またスマートフォンとのBluetooth接続はスムーズで、タッチ操作対応の本体プレート部分を触ると、曲の再生/停止やアンビエント・モードのオン/オフ、電話の受け取りなどが行えるので使い勝手に優れています。これらの操作の割り当てを、専用アプリAK TWSで自分好みにカスタムできるのも高評価です。
Bluetooth接続が気にならない音質
AK UW100のサウンドですが、すごく濃密でハイファイというのがファースト・インプレッションです。AK UW100ではアコースティック系から、エレクトロやポップス、クラシックまで幅広い楽曲を試聴してみたのですが、どの音楽ジャンルでもバランス良くリスニングでき、現在自分が手掛けているミキシング作業でも使えました。Bluetooth接続というのも気にならない音質です。
AK UW100のサウンドは、いわゆる一般的なイアフォン特有の“軽い鳴り”とは全く違うものです。ハイファイと言っても高域が目立つとかギラギラする感じではなく、解像度が高くて低域のトランジェントもよく見える感じ。なので、それがAstell&Kernが掲げる基本理念、“ソースを忠実に再現すること”につながってくるんだなと思います。
ステレオ感に関しても、すごく堅実な印象です。AK UW100の色が足されることなく、楽曲の情報をそのまま再生してくれるイアフォンだと言えます。自分がミックスした曲も聴いてみたのですが、奥行きが見えやすいので、割と一般的なイアフォンやヘッドフォンだと難しい部分もAK UW100ならアプローチしやすいのでは?と感じました。
ちなみにAK UW100を数時間装着しても、耳が疲れる感じは全然ありません。サイズ違いのイア・ピースが5種類も付属するため、自分に適したものを選べて良かったです。充電ケースと併用すれば最大で24時間使えるので、充電に関しても全く安心して使うことができました。AK UW100は良い音で聴きたいけどワイヤレス・タイプでファッション性も欲しい、そんな人にお薦めできるイアフォンですね。
米津裕二郎
相対性理論など多方面のアーティスト作品、CM楽曲、劇伴、海外映画の日本語ローカライズ版音声ミックスを手掛けるエンジニア。イマーシブ・オーディオにも意欲的に取り組んでいる。prime sound studio form所属(Twitter:@yujiroyonetsu)