「YAMAHA Stagepas 600BT」製品レビュー:スピーカーと着脱式ミキサーがセットになったポータブルPAシステム

YAMAHAStagepas 600BT
コンパクトで気軽に使えるポータブルPAシステムのStagepasが、Bluetooth機能を加えてアップデートされた。8chパワード・ミキサー&8インチ・スピーカーのStagepas 400BTと、10chパワード・ミキサー&10インチ・スピーカーのStagepas 600BTの2種類がラインナップされている。今回はパワー・アンプ出力が340W+340WのStagepas 600BTを実際に使い、その性能をしっかりとチェックしてみた。

着脱可能な10chパワード・ミキサーに
1-Knob Master EQを装備

Stagepasシリーズは、2本のスピーカーと着脱式のパワード・ミキサーが一体となったオールインワンのPAシステム。片側のスピーカーにミキサー、もう片側のスピーカーにはケーブルやマイクなどを収納できる。

▲Stagepas 600BTのパワード・ミキサーはスピーカーの背面に収納できるようになっている。もう片方のスピーカーにはケーブルやマイクなどの小物を収めることが可能だ。Stagepas 400BTも同様の構造になっている ▲Stagepas 600BTのパワード・ミキサーはスピーカーの背面に収納できるようになっている。もう片方のスピーカーにはケーブルやマイクなどの小物を収めることが可能だ。Stagepas 400BTも同様の構造になっている

Stagepas 600BTのパワード・ミキサーは10ch仕様で、ch1とch2はXLR端子(30Vファンタム電源供給に対応)、ch3とch4はXLR/フォーンのコンボ端子、ch5/6はフォーン端子(L/R)、ch7/8はフォーン端子(L/R)とRCAピン端子(L/R)、ch9/10はフォーン端子(L/R)とステレオ・ミニ端子が備わっている。

▲Stagepas 600BTのパワード・ミキサー。チャンネル数は10chで、各チャンネルに3バンドEQを装備する。ch1〜4はSPXデジタル・リバーブ用のセンド・ノブも用意。ch9/10はBluetooth接続による入力に対応する。MASTERセクションにある1-Knob Master EQでは、1つのノブの操作で使用シーンに合わせた音質調整が行える ▲Stagepas 600BTのパワード・ミキサー。チャンネル数は10chで、各チャンネルに3バンドEQを装備する。ch1〜4はSPXデジタル・リバーブ用のセンド・ノブも用意。ch9/10はBluetooth接続による入力に対応する。MASTERセクションにある1-Knob Master EQでは、1つのノブの操作で使用シーンに合わせた音質調整が行える

各チャンネルにはHIGH/MID/LOWの3バンドEQがあり、1-Knob Master EQと合わせれば細かな音質調整が可能だ。Stagepasの特徴の一つである1-Knob Master EQはノブ一つでマスターの音質調整ができる機能で、SPEECH→MUSIC→BASS BOOSTの順に低域のボリューム感を調整できる。トーク・ショウなどで低域が不要な場合はSPEECHを、DJなどにはBASS BOOSTを使うとよい。

Bluetooth接続による音楽再生に対応
最大8台までペアリング機器を記憶できる

ch9/10は新しくBluetooth接続による入力に対応している。ミキサー本体にはBluetoothマークが書かれたボタンがあり、電源投入時はオフになっているこのボタンを長押しすると、LEDが素早く点滅を繰り返す。これはペアリング待機で、この状態時にスマートフォンなどのBluetooth対応機器側の設定画面でStagepas 600BTの名前を選択すれば接続が完了する。筆者の手持ちのスマートフォンで試してみたところ、思いのほかあっさりと接続できてしまった。

では、このBluetooth接続を使って音をチェックしてみよう。出音は全帯域に渡ってフラットな音質&大音圧で、インストア・ライブやストリート・ライブには必要十分な性能だ。ちなみに最大8台まで接続したBluetooth対応機器を記憶しているので、一度接続してしまえば次回以降ペアリングの必要は無くなる。

気になるのは混線などのトラブルだが、プレーヤー側でStagepasを選択しない限り自動で接続されるということは無いようだ。また、1台が接続状態であればほかの機器が割って入ることもできないので安心してほしい。

次にソースを音楽プレーヤーからマイクに替えてみた。ここで、ミキサーに内蔵されたSPXデジタル・リバーブを使用してみよう。1-Knob Master EQと同じく、ノブ一つでHALL/PLATE/ROOM/ECHOの4種類が面倒な設定無しで使えるようになっている。慣れ親しんだ往年のSPXアルゴリズムによるリバーブが誰でも簡単に使えるわけだ。面白いと思ったのは、このSPXデジタル・リバーブが別売りのフット・スイッチでオン/オフできるという点である。アーティストがStagepasを持ち込んで1人でライブをする際、演奏が終わってリバーブを切るのにわざわざミキサーを触る必要が無いということだ。なんとスマートなのだろうか。さらにフィードバック・サプレッサーをオンにすればマイクのハウリングを自動でカットしてくれるので、EQ補正に追われることなくライブに集中できる。

このStagepas 600BTは背面にパワード・ミキサーとケーブルを収納した状態で25.6kgと、大人であれば片手に1台ずつ持つことができる重量であることも魅力。ぜひミニ・ライブが可能な店舗やセルフPA希望のアーティストにお薦めしたい一品である。

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サウンド&レコーディング・マガジン 2018年5月号より)

YAMAHA
Stagepas 600BT
オープン・プライス(市場予想価格:99,000円前後)
●スピーカー ▪周波数特性:55Hz〜20kHz(-10dB) ▪形式:2ウェイ・バスレフ型 ▪最大音圧レベル:129dB SPL ▪外形寸法:335(W)×545(H)×319(D)mm ▪重量:10.9kg(1本) ●パワード・ミキサー ▪チャンネル数:10ch ▪パワー・アンプ出力:340W+340W ▪内蔵デジタル・エフェクター:SPXデジタル・リバーブ ▪内蔵プロセッサー:フィードバック・サプレッサー、1-Knob Master EQ ▪外形寸法:348(W)×197(H)×135(D)mm ▪重量:3.8kg