
重量10kgでコンパクトなサイズ
3Uラック・ケースにマウント可能
LiveActive 4は外形寸法474(W)×125(H)×265(D)mm、重量は10kgでとてもコンパクト。入出力は前面にマイク/ライン・イン×4(XLR、TRSフォーン)、背面にはAUXインL/R×1系統(RCAピン)、スピーカー・アウト×1系統(TRSフォーン)、ライン・アウト×1系統(RCAピン:−20dB/−10dBの切り替えが可能)、エフェクト・ループのセンド/リターン×1系統(TRSフォーン)となっている(レビュー機はプロトタイプのため、製品版は端子の仕様が一部変更になる可能性あり)。内蔵DSPエフェクトはリバーブ系を中心に16のプリセットを用意。前面のノブは入力4chそれぞれに2バンドEQ(ハイ/ロー)、エフェクト・センド、アウトプット・ボリュームを装備し、マスターではAUXのボリュームとマスター・ボリュームをコントロールできる。なお、上位機種のLiveActive 8(オープン・プライス:市場予想価格35,000円前後)はマイク/ライン・イン×8(XLR、TRSフォーン)を備えるほか、さらにマスターに5バンドのグラフィックEQを搭載。両機種ともラック・ケースにマウント可能なキットも付属し、前面左右に大型ハンドルを備えているので、設置や運搬も容易に行える。
全16種類のDSPエフェクトを搭載
ハイ/ローが自然に持ち上がるEQ
今回のテストは、マイクのSHURE SM58を直接つないでのワンツー・チェック、電子ピアノをつないで弾き語り演奏、APPLE iPhoneをAUXインにつないで再生するという形で行った。音を出すまでの工程は単純に機器同士のケーブルをつないで本機前面のボリューム・ノブを操作するだけということもあり、機材についての詳しい知識が無くとも手軽に扱えるだろう。
また、今回のテストで一緒に使用したパッシブ・スピーカー、LS-10は外形寸法が505(W)×360(H)×270(D)mm、重量は7.5kg(1本)。スピーカー構成は1インチの高域ユニットと10インチのコーン・ウーファーとなっており、周波数特性は68Hz~20kHz、許容入力は200W(RMS)/400W(PGM)で、音圧レベルは95dBだ(写真①)。

とても軽く、女性でも容易に持ち運びできそうな重量が特徴。縦置き/横置きに対応し、転がし用のアジャスターやスピーカー・スタンド用のポール設置穴もあるので、さまざまな設置方法が可能だ。
さて、実際にLiveActive 4を操作してみたところ、ch1〜4に付いているハイとローのEQはそれぞれの帯域が自然に持ち上がるといった印象。あからさまに音質を変化させたい場合はノブをかなり大きく回す必要があるが、こういったEQのかかり具合は誰でも簡単に扱えるようにと考慮した結果なのだろう。
内蔵DSPのエフェクトはホール/プレートがそれぞれ3種類ずつ、ボーカル・エコー/ボーカル・リバーブがそれぞれ4種類ずつ、そのほかにルームとゲート・リバーブの合計16種類を用意。エフェクトのディケイやリリース・タイムなど細かい数値の設定はできないが、用途に合わせてプログラム・ノブから任意のエフェクトを選べ、パラメーター・ノブとエフェクトのボリューム・ノブ、そして各チャンネルのエフェクト・センドのノブを回すことでかかり具合を調整できる。また、エフェクトの種類の中で複数のパターンがあるもの(ホール、プレート、ボーカル・エコー、ボーカル・リバーブ)の音質に関しては、それぞれ長さや深さが異なる設定となっている。今回のテスト環境ですべてのパターンを試してみた結果、ルーム・エフェクトを使えば十分な広がりが得られる印象だった。
ちなみに、4chのマイク/ライン・インにそれぞれマイクと楽器をつないで音を出せるので、裏技的な使い方ではあるが、楽器側でボリューム調整が可能であれば4人同時に弾き語りを入力することもできる。
ミキサーの音質は中域〜中高域に厚みがあり、ボーカル帯域の解像度が高いように感じた。また、音の抜けが良いのでカフェでのアコースティック・ライブや路上ライブ、店先でのミニ・イベントにおいても音を広範囲に届けられるだろう。ただ、レンジがやや狭い印象のため、特に低音感は使用環境によって物足りなく感じるかもしれない。しかし、本機はモバイル環境での使用を目的としているので、もともと音響設備のない場所でなら十分に活用できる。また、コンパクトでスペースを取らないため、ダンス・レッスン・スタジオでの使用にもお薦めしたい。
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エントリー・クラスとしてコスト・パフォーマンスが高く、設置から接続、音出しまでの操作がとても簡単な本機。これまで機材を扱った経験が無い人でも扱いやすい作りとなっている。上記のような使用目的で機材導入を検討している方は、候補に入れてみてはいかがだろうか。

製品サイト:http://e-spec.co.jp/
(サウンド&レコーディング・マガジン 2015年9月号より)