「CLASSIC PRO PA Combo」製品レビュー:サブウーファーとサテライト・スピーカーをセットにしたPAシステム

CLASSIC PROPA Combo
良い空間といえば、柔らかな音楽を聴きながらの食事や語り合いなど、リラックスできる環境を思い浮かべるでしょう。しかし、何も無い場所にそれなりの音響機材を用意するとなれば、購入や施工にかかる費用の悩みは尽きません。そこで今回紹介したいのは、CLASSIC PRO PA Combo。リーズナブルで設置も簡単なPAシステムです。早速レビューしていきましょう。

クラスABアンプ内蔵のサブウーファーと
最大音圧110dBのスピーカー×2個

PA Comboは、アンプ内蔵のパワード・サブウーファーと、パッシブ型のサテライト・スピーカー(フル・レンジ)×2本という組み合わせのシンプルなセット。配線用のスピーカー・ケーブルも同梱されています。まずはサブウーファーのスペックについてご紹介します。見るからに頑丈そうなエンクロージャーに搭載された6.5インチのユニットの周波数特性は50Hz~200Hz。サイズは340(W)×230(H)×350(D)mm、重量は8.5kgで、アンプ内蔵のサブウーファーにしては軽くてコンパクトです。サブウーファーに内蔵されているクラスABアンプの出力は、100W(低域)+25W×2(中/高域)。リア・パネルにはL/Rのライン入力端子(XLR/TRSフォーン・コンボ×1系統、RCAピン×1系統)を搭載し、VOLUMEつまみでサテライト・スピーカーを含めた全体の音量、BASSつまみでサブウーファーの音量、PHASEスイッチでサブウーファーの位相切り替えをコントロールできます。

続いてサテライト・スピーカーは、2.75インチのフル・レンジ・ユニットを2つ縦並びにした構造です。インピーダンスは8Ω、入力端子はバインディング・ポスト(ネジで配線を固定する端子)を採用。サイズは90(W)×180(H)×136(D)mmで、1本の重量は0.95kgと非常に軽いです。周波数特性は200Hz~15kHzで、こんなにコンパクトなのに最大音圧レベルは110dB(1m)を実現。許容入力も25W(RMS)、50W(最大)となっています。セッティングは音響機器の知識が無い方でも簡単にできるようになっています。

同梱されたスピーカー・ケーブルでサブウーファーとサテライト・スピーカーをつなぎ、入力端子にマイクや音源を接続して電源を入れるだけです。必要な工具はバインディング・ポスト端子用のプラス・ドライバー1本だけでした。

パンチのある“締まった低域”
耳に痛くない高域

肝心のサウンド・チェックですが、まずは音質を分析するためトーン・ジェネレーターをつなぎ、周波数分布をスペクトラム・アナライザーで可視化してみます。この際、サブウーファー用のBASSつまみの目盛りを8.5(最大10)に、マスター・ボリュームはやや大きめに鳴るようVOLUMEつまみの目盛りを8(最大10)に設定しました。もちろんアナライザーを見ながらサブウーファーの微調整をしましたが、450Hzと650Hzが部分的にやや下がっている以外はとても音楽的な分布で好印象です。

次に、APPLE iPodをつないで、良い空間を生み出すための音量(BGMレベル程度)で鳴らしてみます。テクノ系の音源を再生すると、嫌みなローエンドがなく、とてもパンチのある“締まった低音”が感じられました。サテライト・スピーカーもキンキンした痛い響きは無く、ハイエンドに向け緩やかに落ちていく印象。生楽器が多めなポップスを聴いてみると、アナライザーで確認した通り、ボーカルの芯となる帯域がやや下がるので、歌が前に出る印象は薄いですが、むしろ会話の邪魔にならないようなBGM用には最適だと思いました。そう考えると非常によくできたスピーカーです。もちろん音量を上げていけばすべての帯域がハッキリ聴こえます。その流れで最大音量にしてチェックもしましたが、今度は音源をバックに生声での会話は不可能なくらいの大音量が得られました。“締まった低音”を体感できるため、音質的にクラブ・ミュージックに向いていると思いました。ちなみに、本機は2系統のライン入力の音源を同時に鳴らすことができますが、マイクを使うにはプリアンプを別途用意する必要があります。

また、本システムはオプションのサテライト・スピーカーを2台追加可能です。今回は手元に無かったのでサテライト・スピーカーを縦に2段積みにし、遠くまで音を飛ばせる“トーンゾイレ”効果を狙って音の到達性を体育館でチェック。すると通常の横並びセットよりも4mほど遠くまでクリアに音像を確認できました。

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簡単なセッティングでオールマイティに使用できるPA Combo。大きめの店舗ならばサテライト・スピーカーを追加し四隅で鳴らすのも良し、奥行きのある店舗なら2段積みセッティングにしてみるのも良し。皆さんが実現したいイメージに合わせて、音環境のレベル・アップに応えてくれるアイテムではないでしょうか?

▲サブウーファーのリア・パネル。左から、全体の出力量を決めるVOLUMEつまみ、サブウーファーの位相切り替え用のPHASEスイッチ、サブウーファーの音量を決めるBASSつまみ、ライン入力(XLR/TRSフォーン・コンボ×1系統、RCAピン×1系統)、サテライト・スピーカー用の出力(2系統、バインディング・ポスト採用)を用意。サテライト・スピーカーは合計4本まで接続可能 ▲サブウーファーのリア・パネル。左から、全体の出力量を決めるVOLUMEつまみ、サブウーファーの位相切り替え用のPHASEスイッチ、サブウーファーの音量を決めるBASSつまみ、ライン入力(XLR/TRSフォーン・コンボ×1系統、RCAピン×1系統)、サテライト・スピーカー用の出力(2系統、バインディング・ポスト採用)を用意。サテライト・スピーカーは合計4本まで接続可能

サウンド&レコーディング・マガジン 2015年9月号より)

CLASSIC PRO
PA Combo
24,800円
•サブウーファー ▪スピーカー構成:6.5インチ・サブウーファー ▪内蔵クラスABアンプ出力:100W(低域)+25W×2(中/高域) ▪周波数特性:50Hz〜200Hz ▪最大音圧レベル:112dB(1m) ▪外形寸法:340(W)×230(H)×350(D)mm ▪重量:8.5kg •サテライト・スピーカー ▪スピーカー構成:2.75インチ・フル・レンジ ▪周波数特性:200Hz〜15kHz ▪最大音圧レベル:110dB(1m) ▪外形寸法:90(W)×180(H)×136(D)mm ▪重量:0.95kg(1本)