
インプット・ゲインの大小により
4色に光る本体LED
使い方の手順を見ていきましょう。まずはAndroid端末にAmplitube UAをダウンロード。次にAndroid端末とIRig UAを付属のOTGケーブルで接続し、インスト・インにギターをつなぎます。その後Amplitube UAを起動させれば、Android端末が高機能なギター・アンプ・モデリング/マルチエフェクターに早変わり。入力したギターの音は、Amplitube UAを通った上でIRig UAのヘッドフォン端子から出力されます。Amplitube UAはGUIが分かりやすく設計されているので、初めて触る人でも大抵の操作が行えるでしょう。分からないことがあれば、右上の三本線アイコンをタップして呼び出せるGlobal Menu内の“Help”を参照してください。
さて演奏を楽しむ前にインプット・ゲインの調整が必要ですが、それはGlobal Menuの“Setting”で行います。音声を入力するとIRig UA本体のLEDが反応し、ゲインが低いと青、過大入力の場合は赤に光ります。Setting画面内のスライダーを左右に動かし、最適なゲインを表す緑かオレンジに光らせてみましょう。
メイン画面左下の“TOOLS”をタップし、左上に表れる“On”を押すとチューナーが起動します(画面①)。このチューナーはTOOLS画面に入らなくても、メイン画面最下部のチューニング・メーターをタップすることでも立ち上がります。またTOOLS画面には“Audio Demo”という機能が用意されており、ギターを使わずともプリセットのギター・フレーズでエフェクトの音色を確認できます。

画面上部には、ストンプボックス・セクションが3つとアンプ・セクションが1つ並んでいます。左端のストンプボックスは固定されていますが、それ以外の2つのストンプボックスとアンプはドラッグし位置を入れ替えることが可能(画面②)。

ストンプボックスは定番のひずみ系やモジュレーション系に加え、オート・ワウやノイズ・フィルターまで備わっているのがうれしいところです。アンプに関しても、クリーン・トーンが映えるFENDER系から激しいひずみが得られるハイゲイン系まで幅広く搭載。さらに、マイク・シミュレーターにも幾つかの選択肢があります。
演奏中のレイテンシーはもちろん
プリセット変更時の音切れも感じられない
演奏中に感心したのは、DSPによるレイテンシーの低さ。音声処理はAndroid端末ではなくIRigのDSPで行われ、Amplitube UAはそれをコントロールする役割なのです。アンプやエフェクトを変更したとき、もしくはツマミをいじった場合にもレイテンシーが感じられず、実機を扱っているような感覚でした。オーディオI/Oとしての音質はスムーズでクリアなもの。最高24ビット/48kHzのA/D、32ビット浮動小数点演算のDSPというスペック面も、こうしたサウンドにつながっているのでしょう。
Amplitube UAには即戦力となるプリセットが用意されています。メイン画面右下にある“PRESETS”をタップすると、プリセットやユーザー設定を収められる15個のパッドが出現。設定を選択したり切り替えるときに、音切れが全く無いことにも感心しました。これはライブ時にうれしいスペックです。昨今のハードウェア・マルチエフェクターでさえ設定変更時に音切れが発生し得るのに、IRig UAとAmplitube UAを用いればステージ上で困らないどころか、むしろ快適に演奏できるのではと思います。またレコーディングでは、何種類ものアンプを瞬時に試せるシミュレーターならではの恩恵が最も生かされることでしょう。仕事の能率を格段に上げてくれると思います。
ベース用のプリセットがしっかりと搭載されているのも好印象です。ベースをつなぎ鳴らしてみたところ、非常にまとまりのあるサウンドでした。ホーム・レコーディングでギタリストがベーシストの代わりをするときなどに大いに役立ちそうです。
総合的な印象は、“非常に素晴らしい”の一言。練習はもちろん、レコーディングやライブでは即戦力のアイテムとして大活躍してくれるでしょう。少なくとも筆者には、手持ちのAndroid端末からビッグなギター・アンプ・サウンドが放たれることだけでも、大きな感動がありました。携帯性の高いギター機材を探しているAndroidユーザーの皆様にぜひお薦めしたい製品です。



ォン端子が備えられている
(サウンド&レコーディング・マガジン 2015年8月号より)