約4kgの軽量ボディ
オプションでUSBメモリーに録音が可能
まず箱から出して手に取ってみると、想像以上に軽い(3.85kg)のが好感触。何かと荷物の多い小規模PA現場や宅録ユーザーにはとてもありがたいでしょう。
入力はマイク・イン(XLR)がch1〜4にそれぞれ備えられているほか、ch5/6と7/8にも1基ずつ装備。ライン・イン(フォーン)はすべてのチャンネルに備わっており、ch5/6、7/8、9/10、11/12はステレオ・ペア入力となります(モノラル入力にも対応)。そのほかオーディオ・プレーヤーなどの接続用に2TKイン/アウト(RCAピン)、ステレオ・リターンやAUX/FXセンド・アウト(フォーン)なども装備。またch1〜4にはそれぞれコンプレッサーを標準搭載しています。また、FXセンドに99種類の内蔵マルチエフェクト(Echo、Echo+Verb、Tremolo、Chorusなど)を選ぶことができます。パネル上にリストが書き出されているので、使いたいエフェクトが探しやすそうです。またch1〜8には3バンドEQとローカットが装備され、ch9〜12には2バンドEQを用意しています。
次に紹介するのは本機の一番の特徴だと言える、オプション・スロット・カードです。このカードは本体とは別売りで3種類用意されていて、目的に合わせてトップ・パネル右上のスロットにマウントするだけでさまざまな機能を追加可能。1つ目はL-Pad Bluetooth Card(9,000円)で、これを使えば手持ちのBluetooth対応の携帯デバイスをL-Pad 12CX上にワイアレス接続して、好きな音楽を聴くことができます。2つ目は、L-Pad Player Card(9,000円)。これはUSBスロットが付いたもので、好みのMP3ファイルを入れたUSBメモリー(最大32GB対応)を、このスロットに挿してプレイ可能。3つ目のL-Pad Player/Recorder Card(11,000円)は、前述のPlayer Cardに録音機能が付いたもので、ミキサーのメイン・ミックスの音をカードに挿したUSBメモリーに録音できます。
バランスの取れた音質が好印象
ピークを抑えつつ倍音が増す内蔵コンプ
実際にマイクをつないで音質や使い勝手を見ていきましょう。マイク・ゲインを上げていくと低域から高域までバランスの取れたフラットな音が得られて、PAしやすそうな印象です。次にch1〜4に装備されたコンプレッサーをチェック。コンプレッサーはワンノブ・タイプなので、瞬時にピークをたたくなど簡単にコントロールできます。コンプを強めにかけてもポンピングすることなく、安心して使えました。またコンプを深めにかけていくと、ピークを抑えながらも倍音を増やしていくような印象があるので、例えば声の中域/低域が少し豊かに聴こえてきます。ですからローカットと併用すると音作りしやすいでしょう。EQは固定周波数のみのコントロールとなりますが、Q幅も非常に的を射ていて使いやすく、イメージ通りに素早く音を再現できました。
スタイリッシュかつ軽量、説明書が要らないほどに簡単な操作が魅力的な本機。オプションのスロット・カードはチャンネルの有効利用にも貢献してくれます。老舗ならではの汎用性の高さと使い勝手の良さが際立つ製品という印象でした。
(サウンド&レコーディング・マガジン 2015年1月号より)