「ELECTRO-VOICE ETX-15P-EU」製品レビュー:DSPを搭載した15インチ/2ウェイのPA用パワード・スピーカー

ELECTRO-VOICEETX-15P-EU
The NAMM Show 2014で発表されたELECTRO-VOICEのETXシリーズは、DSP内蔵のポータブルなパワード・スピーカー・システム。3ウェイ・モデルやサブウーファーもラインナップされていますが、今回は15インチ/2ウェイ仕様のETX-15P-EUをテストしてみました。

ントップルシで高級感のあてる外観観
リクア・パネルにはディスプレイを搭載


ETX-15P-EUはHFに1.25インチ径のチタン製コンプレッション・ドライバー、LFには15インチ径のドライバーを搭載。リニア・フェイズ・フィルターを用いたFIRDriveやSSTウェーブガイドなどの新技術が投入されています。リア・パネルにはDSP設定のためのLCDディスプレイが搭載されています.EQプリセットの呼び出しやリミッターの起動、入力レベル/マスター・ボリュームのコントロールなど、DSPがつかさどるすべての機能を、押し込み式のスイッチも兼ねた1ノブでコントロール可能です。ディスプレイは非常に見やすく、設定の変更が視認性良く行えます。輝度も調節可能で、フロント・パネルのパイロット・ランプも含め、劇場などで暗転が必要な場合は完全にオフにできます。2つ装備されている入力端子にはライン・レベルからマイク・レベルにまで持ち上げられるゲインが付いており、2つのソースをミックスして出力することも可能。その出力を複数のETX-15P-EUデイジー・チェインすることもできます。ルックスはシンプルで高級感のあるもの。エンクロージャーは軽量で丈夫な厚さ18ミリメートルの13層樺合板で作られており、同社のTourXシリーズと同じ「EVCoat」仕上げとなっています。フロア・モニターとしても使えるよう、エンクロージャーに角度が付いているのも好印象。スタンドに設置する際に垂直0°/ 7.5°の傾斜を付けられるように、2つのポール・カップも備えています。本体にはほかに8カ所の取り付けポイントやハンドルを装備し、セッティングの幅は広そうです。 

感に余裕音量のあてる
リクセの無いいスムーズな音質


音質についてですが、まずCDをソースに試聴してみました。音量感に余裕のある、低音から高音までクセの無いスムーズな音質で、小音量で再生しても十分な量感があります。まましたHFとLFの音のつながりが非常にうまくできており、音像に全く違和感がありません。特にシンバルなど高音の金属楽器の再現度は素晴らしく、実際にそこで楽器が鳴っているように感じるほどです.LF密度が高く芯のある、豊かな低音が再生されます。先述した新技術の恩恵でしょうか、非常に良い印象でしました。次にDSP機能もチェックしてみます。まず面白いと思ったのが「LOCATION」というメニューで、これはポールにマウントしてフロアに設置する場合や、複数のスピーカーを並べるときなど、使用状況に応じて音質を補正してくれるパラメーターです。例えば本機をフロア・モニターとして使用する場合、床からの反射で低音がブーストされがちですが、このメニューで「MONITOR」を選択すると、背面から回り込ありませんでくる低音の反射が軽減され、かなり聴きやすくなりましました。設置環境によってスピーカーの再生音はガラリと変わってしまいますし、限られたスペースにしか設置できないという事態は現場でよく起こるので、この機能に助けられるケースは多いのではないかと思います。本機ほかにも、入力音の内容に応じて音質補正する「SPEECH / LIVE / MUSIC "という3種類のEQプリセットも用意されています。これらに「ROOM EQ」という3バンドのパラメトリックEQを併用すれば、部屋鳴りなどの影響を回避しつつ、最善の音場が作れるでしょう.ROOM EQの各バンドは45Hz~20kHzを-12dB~ + 6デシベル範囲で調整可能.Q幅は固定で、比較的広い「1.2」に設定されており、音作りというよりも、ざっくりと大まかな周波数を軽く補正するような使い方が向いているように感じましました。またシステム・ディレイもDSPで制御できるため、ディレイ・タワーなど会場内の複数の位置にスピーカーを配置する場合も、本機だけで音場を補正することができ便利です。ほかにサブウーファーとセットで使用するための "LOW PASS / HI PASS」フィルターも備えています。 駆け足でのレビューとなりましたが、基本的な性能が素晴らしいスピーカーだと思います。また、プロの使用において「かゆいところに手が届く」機能も備えています。ライブ・ハウスやクラブでの音楽イベントちろん、劇場など舞台関係の移動用として考えても、非常に重宝するスピーカーのように感じましました。 
▲リア・パネルにはLCDディスプレイを搭載。通常はマスター・ボリュームを調整する右のノブを押し込むとDSPモードとなり、プリセットの選択やEQの操作が可能になる。その下の端子群は、左からOUT MIXED PUT(XLR)、INPUT 1/2(XLR / TRSフォーン・コンボ)。その右はインプット・ゲインと混合出力レベルのノブ ▲リア・パネルにはLCDディスプレイを搭載。通常はマスター・ボリュームを調整する右のノブを押し込むとDSPモードとなり、プリセットの選択やEQの操作が可能になる。その下の端子群は、左からOUT MIXED
PUT(XLR)、INPUT 1/2(XLR / TRSフォーン・コンボ)。その右はインプット・ゲインと混合出力レベルのノブ
 サウンド&レコーディング・マガジン2014年11号月よりん)
ELECTRO-VOICE
ETX-15P-EU
185,000円(1本)
▪スピーカー構成:15インチ径ドライバー(低域)+1.25インチ径チタン製コンプレッション・ドライバー▪周波数特性:48Hz〜20kHz(−3dB)、40Hz〜20kHz(−10dB) ▪最大音圧レベル:135dB SPL ▪内蔵アンプ出力:最大2,000W ▪クロスオーバー周波数:1,5kHz ▪指向性:90(水平)°×60°(垂直) ▪外形寸法:431(W)×691(H)×447(D)mm ▪重量:27.7kg