ZERO-Gより発売された『Vocal LiX』は、ダンス・ミュージックでよく使用されるボーカル・ライブラリー。サンプルは24ビット／44.1kHzで、約2.44GBがDVD１枚に収められている。Kontakt4、REX2、Halion、EXS24など多彩なフォーマットに対応しているので、使い慣れた環境で使用することができるだろう。素材は、男声女声それぞれのフレーズやワンショット、個性的なニュアンスを含んだシャウト、ボーカル・ハーモニー、エフェクト処理されたボイス、グリッジ、ボーカルのループ素材のほかコンストラクション・キットなどがカテゴリーに分けられており、どのサンプルも自分の作ったトラックに直感的に当てはめながら曲作りを進めていくことが可能だ。特にワンショット素材は、“Ahh”や“Get”“What”など、ジャンル問わず使いやすいものがそろっており、ファイル名も、収録されたボーカル通りに“YeahYeh”や“Baby”などと非常に分かりやすく付けられている。音質面は、そのまま聴いただけでも力強さを感じられ、甘めのボーカル素材は音数の少ないR&Bに映え、グリッジ、ループ、シャウトはエレクトロ・ハウスやダブステップの主張の強い音にも負けない印象だ。そしてちょっとうれしいポイントが、“Vocal Song Kits”というフォルダーに収録された11種類のコンストラクション・キット。ボーカル以外にシンセ・リフやベースラインの素材が入っていて、それらを組み合わせれば簡単に作品の原型が作れてしまうのだ。ボーカル素材を初めて買う人はここから取りかかってみると使い方のコツも分かりやすく理解できると思う。個人的にリズム素材やフレーズ素材に比べて、ボーカル素材は少し取っ付きにくい印象があったが、これだけ柔軟性のある素材があればトラック・メイクに集中するのみ。ダンス・ミュージック・シーンが盛り上がりを見せる中、ほかと差をつけストレスなく使える本製品は非常に重宝するだろう。
