昨年、ゴティエの「サムバディ・ザット・アイ・ユースト・トゥ・ノウ 〜失恋サムバディ （feat. キンブラ）」が大ヒットしたこともあり、クラブ・ミュージックが大半を占めていた音楽シーンに懐かしくも新しい風を吹かせているインディー・ポップ。本製品は読んで字の如くその現代型インディー・ポップやオルタナティブといった方向性に通じる楽器類（ドラム、ギター、ピアノ、シンセなど）の単発素材やフレーズを、約7GBもの大容量で収録したサンプリング集です。ひとくちにインディー・ポップと言っても幅広い方向性を指しますが、このライブラリーは全体的に温かくまろやかな印象で、空気感やアナログ感を重視しているように感じます。ループ集によくありがちな、主張の強過ぎるメロディアスなフレーズが大量で使い道が……といった悲壮感漂う状況はうまく回避されていて、良い意味で前に出過ぎず、なじみやすく、それでいて作り手のインスピレーションを沸き立たせる絶妙なバランスで収録されています。特に“Pads”のサンプルはひずみ加減が素晴らしく、その奥深さは単体で聴いても涙腺を刺激するほど。またインディー・ポップに不可欠なギターは、ベーシックなアコギのコード演奏から、飛び道具的なエレキギターまで、グルーブ感たっぷりに多数収録されていますので、ギターを演奏できない方でも素材を上モノとして並べていき、さらに動きのあるベース・ラインだけを補って組んでいけば、いとも簡単に人間味あふれるインディー・ポップの音像が完成するはずです。そのほかに“Drum”にはループ、単音サンプル、単音でのループと、状況によって使い分けでき、ベーシックをループ素材で作り、フィル・インを単音素材で組むといった自由度を実現しています。これからの時代、音楽における“人間味”の大切さが再認識されていく中、本製品がクリエイターにとって一つの鍵となるでしょう。
