「APPLE Logic Pro X」製品レビュー:約4年ぶりのアップデートでGUIを一新したAPPLE純正DAWソフト

10年前、僕が本誌でLogicについての連載を書いていたころ、EMAGIC(APPLEに買収される前のLogicの開発元)の最高技術責任者だったゲルハルト・レンゲリン氏にインタビューしたことがあった。僕がユーザー目線で“Logicはこうなると良いのでは?”“こんな機能があったら最高!”と話していると、氏は“要望がかなっていない人はいっぱいいるので、結局どんなアップデートをしても文句は言われるんです(笑)”と語っていたことを今でも妙に覚えている。確かに道具の好みなんて十人十色だし、幅広いユーザー層を持つLogicなら求められるものも多いだろう。今回アップデートされたLogic Pro XはLogic Pro 9の登場から4年も経っているが、果たしてどうなっているだろう? 新規ユーザーには魅力的に感じるのか、はたまた既存ユーザーは文句を言いたくなるのか? 早速見ていこう。

APPLELogic Pro X
10年前、僕が本誌でLogicについての連載を書いていたころ、EMAGIC(APPLEに買収される前のLogicの開発元)の最高技術責任者だったゲルハルト・レンゲリン氏にインタビューしたことがあった。僕がユーザー目線で“Logicはこうなると良いのでは?”“こんな機能があったら最高!”と話していると、氏は“要望がかなっていない人はいっぱいいるので、結局どんなアップデートをしても文句は言われるんです(笑)”と語っていたことを今でも妙に覚えている。確かに道具の好みなんて十人十色だし、幅広いユーザー層を持つLogicなら求められるものも多いだろう。今回アップデートされたLogic Pro XはLogic Pro 9の登場から4年も経っているが、果たしてどうなっているだろう? 新規ユーザーには魅力的に感じるのか、はたまた既存ユーザーは文句を言いたくなるのか? 早速見ていこう。

分かりやすいインターフェースを採用し
GarageBandの兄貴分という位置付け


まずは簡単に概要から。Logicは20年以上前に前述のEMAGICによって譜面作成ソフトウェアとして開発が始まり、その後MIDIシーケンサーの搭載やオーディオ機能追加と着実にアップデートを進めてきた。2002年にはAPPLEに会社ごと買収されるという展開があり、それ以降のLogic 6からはMac専用のソフトウェアとなった。このように歴史の古いソフトだが、すべての機能を1つのソフト内に盛り込もうという気合いは昔から強く、いまやLogic Pro Xを買えばほとんどすべてのものがそこに入っていると言っても過言ではない。この値段でありとあらゆる機能がすべて使えてしまうのだから、サード・パーティのプラグイン・メーカーはますます頭を抱えてしまうかもしれない。初めてDAWを導入する人にとってもLogic Pro Xの全部入りというのはやっぱりうれしいだろうし、Logic Pro Xの中の機能でいろいろ体験してから、あらためて自分が必要なものは何かを考える材料にもなると思う。今回のアップデートでは、APPLEのもう1つの音楽ソフトであるGarageBandの上位ソフトとしてふさわしいものにLogicを作り変えるというAPPLEの姿勢がより明確になっている。GarageBandはMac/iOS機用の音楽制作ソフトで、いわば初心者向けという扱いだが、アップデートを繰り返した現在は一昔前のDAWソフトと肩を並べるほどの高機能ソフトになった。さらにAPPLEお得意の分かりやすいユーザー・インターフェースを備えており、“自分の曲を作ってみたい”“自作のムービーに音楽を付けてみたい”というライト・ユーザーのニーズにピタリとハマって好評を博している。作曲スケッチ代わりに使うプロも多い。一方、Logicはカスタマイズ性が非常に高いソフトだ。ウィンドウのセッティングやキー・コマンドを自分好みに変更して使いこなすのが醍醐味で、誰が言ったか知らないが“人のLogicは触れない”というくらい、使い方に自由度があったのだ。だが初心者にとってはかなり敷居の高いソフトだった。まるで研究所に招待されたような感じで、“はい、いろいろ用意しといたから、好きに使ってくださいね”と言われているかのようだった。そんなわけで、Logicの特徴だったカスタマイズ性はひけらかさず、GarageBandのユーザーが高機能なソフトを使いたいと思ったときに、違和感無く導入できるソフトであるようにしよう、というのがLogic Pro Xだ。 

既存ユーザーはLogic Pro 9と共存可能
対応Mac OSは10.8.4以上


ではLogic Pro Xをインストールしてみよう。ほかのMac用ソフトと同様、Logic Pro XもMac App Storeでのダウンロード販売になった。最初にダウンロードするファイルは700MB弱なのでブロードバンド回線なら比較的短時間でダウンロードできる。だが初回起動時に追加のApple Loopライブラリーなどをダウンロードしにいくため(35GB程度)、そっちの方が結構な時間がかかるので覚悟しよう。まあ前バージョンのLogicインストール時もDVDを何度も入れ替えての大仕事だったので、放ったらかしにしておける分、Logic Pro Xの方が楽だ。またLogic Pro 9ユーザーは今まで使っていたLogic Proをそのままにして、新しくLogic Pro Xを追加することができる。つまり2つのバージョンを共存させてインストールしておくことができるので、新しいバージョンでは不安という方も自然なLogic Pro Xへの移行が可能だ。オーディオ・ファイルは最高24ビット/192kHz、オーディオ・ドライバーはCore Audioに対応。OSはMac OS X 10.8.4以降という、多くの人がOSのアップデートから始めないといけないような、最新のスペックを必要とする。でも“Logic Pro Xが安いから、Macも新しいの買ってよね”ということなのだろう。またAudio Unitsプラグインも64ビットのみ対応となった。主立ったサード・パーティのプラグインはほとんど64ビットになっているようだが、32ビットのままのものは使えないので注意が必要だ。そしてLogic RemoteというiPad用のソフトも無償でダウンロードできるようになっている。これはAPPLE純正のLogic用コントローラー・ソフトと言えるものだが、画面デザインから分かるようにGarageBandに使い勝手がよく似ている。iPad2以降を所有する方はこれも試してほしい。 

Drummerでリアルな生ドラム作成
感覚的にピッチ補正が行えるFlex Pitch


Logic Pro Xの新機能について紹介する前に、音質について書いておこう。前バージョンと比較して変化は無いようだ。試しに両バージョンで同じセッションを開いてバウンスしたWAVファイルを比較してみたが、完全に一致している。これはLogicに内蔵されているソフト・シンセなども使っているセッションだ(プラグイン内部でLFOなどランダムに変化するものがあると毎回のバウンスで音が変わるのでそこは注意)。つまりLogic Pro 9の音質、そしてシンセやエフェクトなどは基本的に同じ音だ。今回のアップデートは使い勝手の改善や、新しい音源の追加に重点を置かれていると言えるだろう。では、主立った新機能を紹介していこう。●新デザイン起動してみると画面デザインの違いに目を奪われる。濃いグレーを基調とした、落ち着いたデザインになった(メイン画面)。使い勝手もAPPLEらしい、というよりGarageBandらしさが随所に見られる。新規プロジェクト・ファイル時のテンプレート(画面①)、ピアノロール・エディターやスコア・エディターも大幅にデザインが変わり、さらにメニュー・バー表記も整理されているので、従来のバージョンを手足のように使っている人は最初戸惑うかもしれない。逆にGarageBandユーザーにとっては同じ感覚で高機能なソフトを手にした!という感触だろう。
▲画面① ちょっと親切過ぎ?な新規テンプレート画面。“Hip Hop”などジャンルを表示するのはアレかなと思うが、各テンプレートに向いたインストゥルメントをずらっとそろえて、新規プロジェクトを作ってくれるのは確かに便利だ ▲画面① ちょっと親切過ぎ?な新規テンプレート画面。“Hip Hop”などジャンルを表示するのはアレかなと思うが、各テンプレートに向いたインストゥルメントをずらっとそろえて、新規プロジェクトを作ってくれるのは確かに便利だ
このGarageBand化に伴い、“画面は1つだけで作業”というコンセプトもさらに加速し、ほぼすべての作業をメイン・ウィンドウで行える。個人的にはこのシングル・ウィンドウ仕様に批判的だったのだが、使い続けて数年経つとショートカット・キーをうまく利用すれば以前と同様に使えるし、Logicに使い慣れていない人でも簡単に使い始めることができるので、最近は全然問題無いなあと思うようになっている。●新プロジェクト・ファイルと自動保存ファイル管理についても幾つかアップデートがある。まずプロジェクト・ファイルについてだが、Logic Pro Xでは使われているオーディオ・ファイルやサンプラーのサンプル・ファイルなどをプロジェクト・ファイルに内包できるようになった。ファイル管理がとても楽になるが、他社製のソフトはこれに対応していない。そのため、他社製のソフト・サンプラーで外部のサンプル・ファイルを読み込んでいるときなどは、今までのようにフォルダーで管理しておく方が良いだろう。また、オート・セーブ機能も刷新された。Logic Pro Xでは定期的に動作を保存しておき、クラッシュした場合も再度そのファイルを開くと、直前の動作か、自分自身で保存コマンドをしたときかを選べるようになっている。●Drummerドラマーが演奏しているようなリアルなドラムのプログラミングは、少なからず知識と技術が必要だ。Drummerはそれをサポートするべく搭載された、AIドラマーとリアルなドラム音源Drum Kit Designerの組み合わせによるドラム自動伴奏機能だ(画面②)。logic_Drummer-ga2_1308
▲画面② 新機能のDrummerトラック(上)と、それに使うDrum Kit Designer(下)。Drummerは仮想ドラマーを呼び出して個々の手癖に沿ったリアルなプレイを再現してくれるというのもので、ドラマーはRock/Alternative/Songwriter/R&Bといったジャンルごとに複数人用意されている。Drum Kit Designerはその名の通りカスタム・ドラム・キットを作成できる音源で、画面左でスネアやシンバルなどパーツ変更、画面右でピッチやサステインといったサウンド特性の調整が行える ▲画面② 新機能のDrummerトラック(上)と、それに使うDrum Kit Designer(下)。Drummerは仮想ドラマーを呼び出して個々の手癖に沿ったリアルなプレイを再現してくれるというのもので、ドラマーはRock/Alternative/Songwriter/R&Bといったジャンルごとに複数人用意されている。Drum Kit Designerはその名の通りカスタム・ドラム・キットを作成できる音源で、画面左でスネアやシンバルなどパーツ変更、画面右でピッチやサステインといったサウンド特性の調整が行える
ジャンルや演奏スタイルの異なるドラマーから自分の好きな人を選び、音量感や複雑さ、フィルの多さなどを指定するだけで生演奏のようなドラム・サウンドが出てくる。リージョンで区切ってパターンや各キットの使い方を指定してあげることでフィルを入れたり盛り上げたりできるので、“ここイントロで、ここからサビでちょっと盛り上げて〜”みたいに、まるで本当のドラマーに指示するかのようにドラム・トラックを作れるのが新鮮で楽しい。こうして自分の好きな雰囲気になってきたら、それらのサウンドをもっと細かくいじることもできるし、パターンをMIDI化して納得いくまで練ることも可能だ。最近のドラム音源には膨大なドラム・パターンを内蔵し、それをDAWソフトにドラッグ&ドロップして簡単にドラム・パターンを構築できる仕組みを持ったものが多いが、このDrummerはDAWに内蔵されている分、ほかではマネのできない仕上がりになっている。これは作曲の段階はもちろん、パターンにマンネリを感じたドラマーなどもいろいろ試してみてほしい機能だ。●Smart ControlLogicには多くのソフトウェア・インストゥルメントが搭載されている。そのおかげでさまざまな音が出せる反面、使い方を覚えるのが一苦労だった。その悩みを解消すべく、Logic Pro XではSmart Controlという機能を盛り込んできた(画面③)。logic_SmartControl1_1308 logic_SmartControl2_1308 logic_SmartControl3_1308 logic_SmartControl4_1308
▲画面③ インストゥルメントのパラメーターを簡易表示することで、素早いコントロールを可能にする新機能=Smart Controlの画面いろいろ。音色によって見た目もパラメーターも変化する。外部コントローラーで操作したり、デフォルト状態を変更して別のパラメーターを登録することも可能 ▲画面③ インストゥルメントのパラメーターを簡易表示することで、素早いコントロールを可能にする新機能=Smart Controlの画面いろいろ。音色によって見た目もパラメーターも変化する。外部コントローラーで操作したり、デフォルト状態を変更して別のパラメーターを登録することも可能
プロジェクト画面左上のライブラリ
ー・ボタンを押すとプリセットのライブラリーが閲覧できる。ここからカテゴリーに沿って音色を選んだら、Smart Controlのボタンを押してみよう。そのシンセ、または音色に応じてある程度のノブやスライダーが用意されており、それらを利用することで簡単に音色を調整したり、オートメーションを書けたりする。また外部MIDIコントローラーから操作することも可能なので、それらを使ってソフト・シンセをいじったりオートメーションを書き込むのにも非常に便利だ。●Track StackLogicにはトラックやリージョンを整理する際にフォルダー化という方法がある。しかしこれはあくまでリージョンを入れ子にして整理しておくだけのもので、音やMIDIの信号の流れについては別途設定する必要があった。しかしLogic Pro Xでは、トラックをまとめる方法をTrack Stackという名前にし、2つの方法を選べるようになった。1つは従来のようにフォルダーでまとめる方法、そしてもう1つは集約スタックという方法だ(画面④)。集約スタックは、その中に収められたトラックの音をすべてまとめられる上、まとめたトラックがインストゥルメントの場合はそれら複数の音源を重ねて鳴らすこともできてしまう。ユーザーがトラックをグループでまとめたとき、何をしたいかちゃんと分かってるなあという感じだ。
▲画面④ Track Stack内の新機能、集約スタック。この画面では4つのソフト・シンセ(Tr.12〜15)が“Su m 15”というトラックにまとめられており、そこにMIDIデータを配置すれば、4つのシンセが一緒に発音し、その音はすべてSum 15トラックに入ってくる ▲画面④ Track Stack内の新機能、集約スタック。この画面では4つのソフト・シンセ(Tr.12〜15)が“Sum 15”というトラックにまとめられており、そこにMIDIデータを配置すれば、4つのシンセが一緒に発音し、その音はすべてSum 15トラックに入ってくる
●Flex Pitchオーディオ・データのテンポを自由に変更できるFlex Timeに加え、Flex Pitchはボーカルやモノフォニック楽器の音程を操作できる(画面⑤)。LogicにはPitch CorrectionやTrasformerというピッチ変換プラグインが実装されているが、Flex Pitchはオーディオ・トラックのデータ自体を細かく補正できる。
▲画面⑤ オーディオ素材のピッチ補正が行えるFlex Pitch機能で、ボーカル・トラックをエディットしている様子。白いラインは基準ピッチからどのくらいシャープして(あるいはフラットして)いるかが示されている。これらのラインを上下にドラッグするとピッチの補正が可能。上下の幅は50セントで、それ以上にしたいときはさらに上下へグイっとドラッグすると変えられる。なお、本バージョンから追加されたオーディオ・トラック・エディターに入れば、ピアノロールを見ながら詳細なピッチ修正が行える ▲画面⑤ オーディオ素材のピッチ補正が行えるFlex Pitch機能で、ボーカル・トラックをエディットしている様子。白いラインは基準ピッチからどのくらいシャープして(あるいはフラットして)いるかが示されている。これらのラインを上下にドラッグするとピッチの補正が可能。上下の幅は50セントで、それ以上にしたいときはさらに上下へグイっとドラッグすると変えられる。なお、本バージョンから追加されたオーディオ・トラック・エディターに入れば、ピアノロールを見ながら詳細なピッチ修正が行える
 

アルペジエイターが大幅に強化
シンプルで自由度の高いRetro Synth


●ArpeggiatorMIDIプラグイン系もいろいろ新しくなったが、中でもArpeggiatorが特に進化している(画面⑥)。
▲画面⑥ Arpeggiatorは通常のアルペジオに加えてコード・バッキング的な動きも作れる。プラグイン動作中に、画面のように左上のボタンをトラックへドラッグ&ドロップすると、その演奏がMIDIリージョンになる ▲画面⑥ Arpeggiatorは通常のアルペジオに加えてコード・バッキング的な動きも作れる。プラグイン動作中に、画面のように左上のボタンをトラックへドラッグ&ドロップすると、その演奏がMIDIリージョンになる
先に紹介したSmart Controlの右上にある階段のようなボタンをクリックすると、音源が即座にArpeggiatorに接続される。最近のアルペジエイターによく見られるインテリジェントな設計になっていて、コードを押さえたらどういう演奏になるかなどかなり細かい設定が可能だ。●Retro Synth今回新しく追加されたソフト・シンセRetro Synthだ(画面⑦)。logic_RetroSynth1_1308logic_RetroSynth2_1308 logic_RetroSynth3_1308▲画面⑦ 新しく追加されたRetro Synth。4つのオシレーター・エンジンがあり、切り替えると見た目もこのようにガラっと変わる。シンプルだが音作りの自由度は高く、ある意味現代的な作りになっている。画面左上から時計回りにANALOG、SYNC、FM、TABLE
▲画面⑦ 新しく追加されたRetro Synth。4つのオシレーター・エンジンがあり、切り替えると見た目もこのようにガラっと変わる。シンプルだが音作りの自由度は高く、ある意味現代的な作りになっている。画面左上から時計回りにANALOG、SYNC、FM、TABLE
 名前の通りレトロな外観だが、4つのオシレーター・エンジンを使い分けることができる。権利上、実名は書いていないが、特徴や音色的にも明らかにこんな感じだ。・ANALOG:MOOG Minimoog系・SYNC:SEQUENTIAL Prophet-5系・TABLE:WALDORF/PPG Wave系・FM:YAMAHA DX7系どれもよく特徴をとらえており、音も現代的にファットで良い。何より従来の内蔵ソフト・シンセに比べて圧倒的にシンプルなデザインなのに、音作りの自由度が非常に高いのが素晴らしい。●設計が見直されたビンテージ音源Logicにはビンテージ鍵盤楽器をシミュレートしたEVP88(エレピ)、EVB3(オルガン)、EVD6(クラビ)が内蔵されていたが、これらが設計から見直され、Vintage Electric Piano、Vintage B3、Vintage Clavという名前になった(画面⑧)。前述したようにLogic Pro XはLogic Pro 9と共存できるので、旧型のプラグインたちとこれらを弾き比べてみたが、明らかに良くなっている。リアリティが増したというか、立体感がある。そして使い勝手も格段に良くなっている。logic_VintageEP1_1308logic_vintageClav-3_1308 
▲画面⑧ 設計から見直されたビンテージ鍵盤系3種類。左からVintage Electric Piano、Vintage B3、Vintage Clavで、最初は見た目だけの変更かと思ったが音も改良されている。前のバージョンと比べるとディテールがしっかりしているように感じる。それぞれに付いているエフェクトの質も良い ▲画面⑧ 設計から見直されたビンテージ鍵盤系3種類。左からVintage Electric Piano、Vintage B3、Vintage Clavで、最初は見た目だけの変更かと思ったが音も改良されている。前のバージョンと比べるとディテールがしっかりしているように感じる。それぞれに付いているエフェクトの質も良い
●その他の新機能最後にその他の新機能もざっと紹介しよう。・ベース用アンプ・シミュレーターBass Amp Designerの搭載(アンプ×3、キャビネット×6)・ストンプ・ボックス・エフェクト追加(7種類)・新しいミキサー・デザイン(コンプの減衰量まで表示可能)・アレンジメント・トラック(プロジェクトを複数セクションに分けて編集)・グルーブ・トラック(特定のトラックのグルーブを他のトラックへ適用)・スコア・エディターでのリージョン別の譜面表示・パッチによる包括的な音色の管理・オーディオ・トラック・エディター追加(単一のオーディオ・トラックを非破壊編集)・Final Cut Pro X/SoundCloudなどへの共有  今回のアップデートはGarageBandの兄貴分らしい見た目と使い心地を実装し、APPLEの音楽制作ソフトとしてふさわしい出来映えに近づいた。いろいろ触っていくにつれ、見た目以外に感じたのは元EMAGICのメンバーとAPPLEとの間で“音楽制作ソフトとはどうあるべきか?”というテーマの下、真剣な取り組みがあったんだろうなということだ。ただ単に楽器やエフェクトを詰め込んでGUIを作り直すだけでなく、“ユーザーが音楽を作るとき、どういうツールが効果的なのかあらためて考えよう”という、従来のDAWソフトよりもさらに一歩踏み込んだ設計思想だ。作曲や編曲の段階においては、“〜な感じの音”というものを早く探し出して使えたらなあ、と誰しもが思う。しかし、ただ膨大にプリセットやループ・ネタを用意するだけでは意味が無く、目的の音を素早く探し出し、フレージングを含めて曲に合わせ込んでいかなければならない。今回のLogic Pro XのDrummerトラックや、Logic Remoteのスマートギター/スマートキーボード(iOS版GarageBandのような入力ツール)などの考え方は従来のDAWにはあまり無かった斬新なもので、“〜な感じの音”を作る作業をずっと分かりやすく、しかも作曲者本位で行えるようにしていると思う。ともすると余計なお世話になりそうな機能だが、それを嫌みなく、みんなが面白いと思える形でLogicの中に組み込んでいったのは賞賛すべきことではないだろうか。とはいえ、まだ現時点では失われてしまっているLogicの特徴が懐かしく思えたりもする。世界最大のハード&ソフト・メーカーであるAPPLEのLogic Pro Xだからこそ、究極かつ最新の音楽制作ツールを目指しこのまま頑張ってほしい。 
  (サウンド&レコーディング・マガジン 2013年9月号より)
APPLE
Logic Pro X
17,000円 (Mac App Storeにて ダウンロード販売)
▪Mac:Mac OS X 10.8.4以降、64ビット・プロセッサー、4GBのRAM、5GB以上のハード・ディスク空き容量(アプリケーション内でダウンロードできるオプション・コンテンツには35GB必要)、1,280×768ピクセル以上のディスプレイ